Gray Beasley氏は不動産テックを立ち上げ続けてきたシリアルアントレプレナー。Gray氏にとって3社目にあたるRoofstockは戸建賃貸住宅を売買できる、不動産投資プラットフォームだ。

Gray Beasley
Roofstock
CEO & Co-founder
1993年、スタンフォード大学にてMBA取得。不動産とテクノロジーの「交差点」でキャリアを積み、2001年にオンラインブローカーZipRealtyのPresident & CFOに就任。国内トップ10にランクする住宅ブローカーに成長させ2004年にNASDAQで上場を果たす。戸建て住宅に特化した上場企業としては米国最大級の不動産信託Starwood Waypoint Residential Trustの共同CEOを務めた。2015年にRoofstockを共同創業しCEOに就任。

米国不動産業界の常識を変えた

―Roofstockのサービスと既存サービスの違いを教えてください。

 Roofstockは戸建て賃貸住宅の売買プラットフォームで、当社の独自審査を通過した認定物件のみ取り扱っています。従来の戸建て賃貸物件の売買は非常に非効率な面があり、その問題を解決し効率化したのが当社の特徴です。

 米国の不動産エージェントはMLS(Multiple Listing Service)という会員組織に所属し、MLSが提供する不動産情報システムから情報を得ています。オーナーが賃貸物件を売る時は、MLSのデータベースに不動産情報を載せるために居住者を退居させ、ブローカー(不動産会社)を雇う必要がありました。そして、賃貸物件を買う側としては、住民がいない物件を買うわけです。このやり方では、売り手も買い手も数カ月分の家賃収入を犠牲にします。

 MLSのデータベースが居住中の物件に対応していないため、こうしたことが起きていたのです。そこでRoofstockではこの課題を解決し、家賃収入を犠牲にしない売買を実現しています。

―RoofstockのサービスはMLSの課題を解決する発想で生まれたわけですね。サービスについて教えてもらえますか。

 Roofstockは機関投資家と個人投資家の両方を対象としています。取り扱う物件に関しては、調査会社による鑑定、家賃の適正調査、既存居住者の家賃滞納履歴などの調査、所有権関係の確認、そして現地の不動産管理者の認証などを当社が行い、それに基づいたレポートを提供します。こうした物件自体の情報に加え、割り当てられている学区の学校のレベルや地価相場変動予測など近隣の調査も行い、投資目的に応じた項目で5段階評価した情報も提供しています。

 従来は契約後に提供されていたサービスをアップフロントで提供し、投資と投資物件のオペレーションを切り分けたことで物件のオーナーが現地に来る必要も、管理に関わる必要もないため、地理的なバリアがなくなった結果、世界中の投資家が顧客になっている点も従来のサービスとの違いになるかもしれません。

 

 また、Roofstockでは30日間の返金保証と、初年度のみ賃料保証がありますので、不動産投資に慣れていない投資家も安心して参入できるように配慮しています。

 さらに、当社は成約課金型で課金率は2.5%です。ブローカーに依頼すると成約金額の5〜6%課金されますのでその半分以下です。投資家はRoofstockと直接つながるので、ブローカーに支払うマージンが不要です。また、物件のバーチャルツアーも提供しているので、見学はリモートで行われます。従来のように現地で案内するスタッフは不要ですから、人件費も削減しています。こうしたことで、課金率を低く抑えています。

米国不動産に投資するチャンス

―日本の投資家も御社プラットフォームを利用していますか。また、日本企業とのコラボレーションについてお聞かせください。

 日本人の投資家もRoofstockの顧客にいらっしゃいます。また、大手日本企業の資産管理部門と提携して日本の投資家に当社サービスを周知する可能性を模索したこともあります。現在も日本を含め海外の投資家を誘致する活動は継続しておりますし、最近「Roofstock One」という海外投資家向けの商品をローンチしました。最低5,000ドルから投資が可能で、保証も手厚くなっています。この商品は日本、中国やシンガポールなどの海外投資家や提携企業の要望に応える内容になっており、海外投資家が米国の不動産に投資する理想的な方法だと考えています。

 日本企業とは、戦略的パートナーシップも視野にいれています。Roofstockを日本の投資家の皆さんに広めるお手伝いをしてくれる日本企業があれば、是非パートナーシップを検討したいですね。



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