ユーザーの創造性を刺激する自由な遊び場
―まずはRoblox設立の経緯を教えていただけますか。
創立者David Baszucki氏は、Robloxを創業する前に、教育用ソフトウェアを手掛けるKnowledge Revolutionという会社を持っていました。Knowledge Revolution社では、ユーザーがコンピューター上で物理学の実験を行えるソフトウェアを提供していました。ユーザーは自分で実験を組み立てることができ、実験が終わった後もソフトウェアを使い、家を建てるユーザーや、車を作りお互いぶつけ合うユーザなどがあらわれ、自分が面白いと思う物を作り始め自由に遊ぶようになりました。これに気づいたBaszucki氏は、ユーザー自身が想像力を使い創作活動ができるプラットフォームのニーズを汲み取り、Robloxを創立しました。
―ユーザーはゲームのクリエイターでもあり、プレイヤーにもなれるということですね。 ゲームは誰でも簡単に作れるのでしょうか。
そうですね。当社プラットフォームの、クリエイターコミュニティは非常に多様です。世界中のあらゆる年齢層が集まり、様々なアイデアを生み出し、新しいゲームがユーザーによって作られます。Robloxにあるゲームは全てユーザが作ったものです。そして、日々“創造”されるゲームで多くのユーザーが遊び、繋がっています。
ほとんどのユーザーは、最初はプレイヤーとしてスタートし、次にクリエイターになります。Roblox内には、ゲームの作り方を学べる動画やコンテンツが数多くあり、昨年だけで、100万人以上の子どもたちが作り方を学びました。また、Robloxはサマーキャンプなどでも活用されているので、先生向けのウェビナーを隔週で開催し、カリキュラムも提供しています。
アメリカのZ世代はリアルとデジタル両方の世界で生きている
―Robloxは特にZ世代に人気です。どういったところが彼らを惹きつけていると思いますか。
私が子どもの頃は、学校から帰ると友達と一緒に自転車で森に出かけたり、日が暮れるまで遊んでいました。子どもが定まった形がない遊びに費やせる時間は年々減り続け、今の子どもたちの放課後は、習い事や大量の宿題で終わります。友だちと遊べる自由な時間は夜になるまでありません。Robloxは、彼らにとって、貴重な自由時間内に友だちと集い、独自の発想で創作し、冒険ができる大切な場所になっています。
例えば私と同世代の妻は、16歳の息子がパソコンに向かっていると「友だちと遊びに出かけないの?」と言います。息子は「今遊んでるよ」と答えます。私たちの世代にとって、リアルとデジタルの世界は全く別物ですが、息子の世代は、両方の世界で生きていて、両方「現実」です。
2019年に最もプレイされたゲームのクリエイターは高校生でした。彼らにとってデジタルの世界も友人と一緒に遊びに行く場所の1つなのです。そして、コロナ危機により、物理的な距離を気にせず繋がりを保ち続けることができる、第三の場所がより一層注目され重視されています。
―RobloxもCOVID-19の影響がありましたか。
プライベートサーバ機能(特定の人間だけで集まる機能)を、誕生日のパーティーや、個人的な集いでの利用するユーザが増えました。また、大規模なイベントへの参加者も増えました。
例えば、少し前にトップクリエイターに賞を贈る「Bloxy Awards」をRoblox内で開催したところ、600万人以上が参加しました。COVID-19救済コンサートには400万人が集い視聴しました。
クリエイターたちが年間総額2億5,000万ドル稼ぐプラットフォーム
―Robloxのビジネスモデルを教えてください。
Robloxは、無料でダウンロードでき、無料で遊べますが、Robuxという通貨を使って購入できる有料のアバターやアイテムなどがあります。
Robloxのサービスを提供し続けるために必要な費用はこうした有料コンテンツの売上から拠出し、利益はクリエイターと私たちで折半しています。
―今現在、何カ国語で展開されているのでしょうか。
フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語そして日本語にも対応しています。
日本のゲーム業界は長い歴史があり、多くの創造的なアイデアを生み出してきた非常に重要な市場です。日本での展開は始めたばかりなので、時間をかけて日本市場のニーズを見極め、成功を収めたいと考えています。
※(9/16訂正)事実に即していない記述があり、一部修正させていただきました。