バックエンドの知識は不要
―まずはReshuffleを開発した経緯を教えてもらえますか?
設立当初は、システム基盤サービスを提供しており、Binarisという社名でした。サーバーレスが台頭し始めた時期で、より高速でパフォーマンスの高いサーバーレスプラットフォームを提供していました。AWSと競合するようなサービスです。
コンテナの代替として使用できるサーバーレスプラットフォームを構築し、2018年中旬にローンチしたのですが、既にクラウド環境を構築しているクラウドネイティブなディベロッパーからは「コンテナで満足している」と言われ、一方で大企業からは、「すごくいいと思う。しかし、戦略的だ」と言われ、フィットしませんでした。この経験を通じて私たちが気づいたことは、大企業ではシステム基盤より、アプリケーション開発のニーズが高い、ということでした。
大企業は、より多くのソフトウェアを、より素早く開発し更新し続ける必要があり、これが大きな課題になっていました。そして、アプリケーションは安全で持続可能である必要があり、コンプライアンスも重要で、改正され続ける様々な規制を常に遵守しなければなりません。このニーズに対応できるディベロッパーが限られていることも問題でした。
そこで私たちはこのニーズに応えるために、バックエンドの知識不要で、アプリケーションをフルスタックで開発できるプラットフォームReshuffleを構築し、プライベートデータ版を2019年10月にリリースしました。社名もBinarisからReshuffleに変わっています。
―Reshuffleについて詳しく教えてください。
Reshuffleにおけるアプリケーション開発はスタート時点から従来のやり方と全く違います。まずReshuffleのサイトを開きます。アプリケーションのテンプレートが並んでいますので、利用したいアプリケーションを開きます。開く際にダウンロードも、コンパイルもユーザー環境での設定も不要で動きます。Reshuffleのアプリケーションは、Reactを使いソースコードを書き変えカスタマイズすることが可能で、バックエンドは自動的に処理されますので、ディベロッパーはフロントエンドの知識だけでクラウドを管理する必要はありません。最終的に自分が「これだ!」というアプリに仕上がったら、ダウンロードします。
まずは草の根レベルで反響を呼びたい
―御社のミッションは何でしょうか?
当社のミッションは、ディベロッパーをよりクリエイティブにすることで、生産性を高めることです。
Reshuffleは、GitHubのようにソースコードをオープンにするだけではなく、YouTubeに動画を投稿できるように、ディベロッパー同士が自分のアプリケーションを公開し共有できるコミュニティを作っています。これはコンポーネントのエコシステムにおける新しい形です。
例えば、既存のアプリケーションに地図機能を加えたい時、地図をゼロから作るのではなくGoogle Mapを活用しますよね。それと同じように、Reshuffleや他のユーザーが提供しているアプリケーションを組み合わせてオリジナルのアプリケーションを作ることができます。コードを書く時間も、デモを確かめるために必要だった手間も不要なため、ディベロッパーは時間と労力をよりクリエイティブなことに使えるようになります。
―日本や海外での展開は検討していますか?
JavaScriptはどの国でもJavaScriptなように、テクノロジーはインターナショナルです。サーバーレスの動きも日本にとってはとても魅力的だと思います。ですから、私たちのメッセージは日本のディベロッパーにも響くでしょう。しかし、アプリケーションの使い方に関しては、それぞれの国の文化や考え方によって違います。日本の組織における制約や需要なども違うので、日本での展開は挑戦になると思います。
Reshuffleは、ベータ版を公開したばかりでスタートを切ったばかりです。まずは草の根レベルで、日本のディベロッパーコミュニティでReshuffleに対する反響があれば、ぜひコミュニティに接触したいと考えています。