YouTubeの歴史に成り立ちあり。「新古」スタートアップ
―まずPlanetScale設立の経緯を教えてください。
設立の経緯には、私ともう一人の創設者Suguのバックグラウンドが深く関わっています。私とSuguは最初の職場で知り合い、25年以上の付き合いです。SuguはElon Musk氏のX.com社からPayPalを経て、Googleに買収される数ヶ月前にYouTubeに移籍しました。その当時、私はGoogleにいて、YouTubeがGoogleに買収された後、SuguからYouTubeに誘われ、2007年にGoogleのエンジニアとして初めてYouTubeに加わりました。
YouTubeが急激に成長し、データベースが爆発しそうになっていた時期でもあり、私たちはその対応に迫られていました。そこで、2010年頃にSuguともう一人のYouTubeのエンジニアがオープンソースプロジェクト「Vitess.io」を立ち上げたのです。
2016年にMySQLでバイナリプロトコルを扱えるようにしたことで、VitessはYouTube以外の企業にとっても魅力的なシステムになり、引き合いが来るようになりました。この流れからPlanetScaleを設立しました。
―PlanetScaleのサービスについて教えてください。また、どういった企業が使っていますか。
VitessとMySQLは、オープンソースで使えるシステムです。PlanetScaleは、Kubernetesオペレータを提供し、Vitessのデプロイ、モニターおよび管理を行うソフトウェアです。MySQLの水平方向スケールアウトを実現するだけでなく、KubernetesでMySQLまたはトランザクション処理ワークロードを実行する機能もあります。
当社は、企業を対象にしたソフトウェアライセンス販売と、クラウドデータベースのDBaaS(Database as a Service)も提供しています。これはマルチクラウドDBaaSで、AWS(Amazon Web Service)やGCP(Google Cloud Platform)で使われており、近々Microsoft Azureでも使用が始まります。2018年12月から約6ヶ月の間、β版を約15の顧客に対して配信し、2019年の秋頃には有料の正規版を公開する予定です。他には、ライセンス販売に伴うサポート対応や研修、Vitessのサポート業務も行っています。
日本での活動は始まっている
―日本にも既に進出していると聞きました。
現在の顧客の多くは米国内の企業ですが、もちろん海外にも展開していきたいと考えています。日本には、当社のエンジニアを1名配属しており、6月にVitessミーティングを東京で行いました。
日本ではまず翻訳が必要です。資料やWebサイトの和訳ですね。そして、市場を理解している日本企業とパートナーシップを結び、顧客開拓を進めたいと考えています。
当社は数ヶ月前にAndreessen Horowitzから2,200万ドルの資金調達に成功したばかりで、現在の規模では、まだ海外展開を真剣に考える段階にありませんが、動き始めています。来年前半までには、それが明らかになる予定です。