Image: Netlify
Netlifyは、「リアルタイム」「モバイル中心」「分散型」となったマイクロサービス時代に適したプラットフォームサービスの提供とサーバーレスアーキテクチャを提唱し、世界中のデベロッパーから支持を得ている。今回はCEOのMathias Biilmann Christensen(Matt)氏とPresidentのChristian Bach(Chris)氏に話を聞いた。

Mathias Biilmann Christensen
Netlify
CEO
デンマーク出身。2004年からフリーランスの音楽ジャーナリストとして活動後、2006年にプログラマーに転身。2010年にCMSプラットフォームWebpopで起業しサンフランシスコに移住。2013年にホスティングプラットフォームBitBalloonを公開。2014年にBach氏とNetlifyを共同で設立しCEOに就任。
Christian Bach
Netlify
President
デンマーク出身。2006年にデジタルハイブリッドWebカンパニーCAPSIZE productions ApSを設立。2012年よりCONNECTED A/Sのパートナー/CDO(Chief Digital Officer)を務め、デジタルストラテジーにフォーカスする。2014年より現在もDanish Digital Awardの審査員を務める。2015年にNetlifyの共同設立者としてPresidentに就任。

大規模オープンソースプロジェクトの約60%がNetlifyを使っている

―まずNetlify設立の経緯を聞かせてください。

Matt:私はサンフランシスコに来る前は、スペインのWeb制作会社でCTOとして働いていました。当時は、一週間に100サイト制作するペースでしたので、数えきれないほどサイトを作りました。サイト一つひとつに、営業担当者、デザイナー、コーダーにプログラマーなど、多くの人間が関わり、HTMLやCSSを扱うコーダーがフロントエンドを担い、プログラマーがバックエンドを担ってWebアプリケーションを作っていました。

 この時の経験から、CMS(コンテンツ管理システム)プラットフォーム「Webpop」を作り、サンフランシスコに移住しました。そこでGitなどフロントエンドの新技術やGitHubといったソフトウェア開発プラットフォームの台頭を目の当たりにました。こうした新しい技術と相互作用するようにブラウザも進化し、ローカルでWebページの見た目や動作確認が行えるNode.jsなど、ツールも劇的に進化していきました。

 さらには、Webが「一枚岩」のようなモノリシックアプリケーションから「分散システム」のマイクロサービスに移行するようになり、私自身も新しいアーキテクチャの可能性に気づき、「BitBalloon」を作りました。

 これは、公開したいフォルダをドラッグ&ドロップするだけでホスティングするサービスで、現在の「Netlify Drop」の基になっています。「BitBalloon」でアーキテクチャの変革を確信し、20年来の友人であるChrisに声をかけたんです。それが、Netlifyの始まりです。

Image: Netlify

―Netlifyはローンチ当初からワークフローのシンプルさ、機能性の高さが評判となっていました。

Matt:そうですね、私たち二人で構想を練り2015年3月にNetlifyの前身となるプラットフォームサービスをローンチしたところ大きな反響があり、同年末までのWeb Requestは約2億5,000万に及びました。

 すぐに私たち二人だけでは対応できない規模になり、2016年に約200万ドルの資金調達に至りました。さらには、2018年のシリーズBで3,000万ドルの資金調達を果たし、現在50人ほど社員が働いています。

Chris:私たち二人で始め、現在も小規模なチームですが、大規模オープンソースプロジェクトの約60%が使うプラットフォームをNetlifyが提供するまでに成長しています。

サーバーレスアーキテクチャの先駆け

―Netlifyのサービスの特徴について教えてください。

Chris:とても簡単にいうと、従来のWebサイトはサーバーを使っていましたが、Netlifyはサーバーを使わないのが特徴です。サーバーを使わず静的サイトのフロントエンドをビルド、デプロイ、そしてホスティングします。

 サーバーを使わないNetlifyのサービスは、より安全で、安く、パフォーマンスも高い。あらゆる面で優れています。この特性に目をつけたのは私たちだけではありません。現在は同様のサービスがいくつかあります。しかし、私達は他より早く行動を起こしたため、いまだに他社より先を行っていると考えています。

―日本への進出についてお聞かせください。

Chris:私たちが意識的に日本展開を図ったわけではありませんが、日本のユーザーがNetlifyとJAMstackの本を出版していると聞いています。ユーザーマニュアルのような、チュートリアル的な本です。私たちは、日本の皆さんに興味を持っていただいていることをとても喜んでいます。こうして多くの方が使ってくださっていることで、自分たちの方向性が間違っていなかったと実感しています。そして、私たちも皆さんの期待に真摯に応え続けたいと考えています。



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