小規模事業者向けの信用アセスメントビジネス
―まずNavを起業するまでの経緯を教えてもらえますか。
大学を中退して電子看板やネオンなどを製造する小さなビジネスを立ち上げました。ゼロから始めてそれなりに顧客を抱え、成功していましたが、その会社は売却してホテルやレストランのフランチャイズ、そして一部金融サービスも手がけるようになりました。
業界によって信用獲得や資金調達の方法が異なって毎回自分自身が苦戦したので、その後にビジネスローンの会社を始めました。何千もの起業家を支援していたのですが、彼らは選択肢の少なさや利子の高さに不満を持っていました。
シリコンバレーに夢を抱く人は、単に問題を解決したいのです。しかし実際のところ、私は彼らが簡単に融資を受けられるようにしていただけで、根本的に何も解決できていませんでした。ましてや、彼らが多重債務を抱えてしまうことすらありました。
―それをどのように解決しようと考えたのですか。
何とかしたいと思っていたときに、ちょうど弁護士事務所を開いた友人が同じような問題意識を持っていることがわかりました。彼とホワイトボードに向かってディスカッションしていた時に、小規模事業者向けのCredit Karmaのような(個人向け金融)信用アセスメントビジネスを立ち上げてはどうかというアイデアが生まれました。
―具体的にはどのようなビジネスなのでしょうか。
Credit Karmaは個人向けで、ある程度ローンの方法なども限定されますが、個人のローンに比べてビジネス向けはかなり複雑です。我々は信用調査機関や顧客の預金口座データ、セールスデータなどを機械学習が分析することによって、どのビジネスクレジットカードやビジネスローンが最適かについての予測を可能にしました。これにより顧客の金融債権データが明確な状態となり、ローンの選択肢が増えます。
融資やクレジットカードの契約が成立すれば、私たちは金融機関側から手数料を受け取り、借りる側からは受け取りません。これが私たちの収入の80%を占めています。残りの20%は顧客に提供しているプレミアムモデルから得ています。
業界でオリジナルなポジションを確立
―競合他社はいるのでしょうか。
我々はアメリカのいくつかの信用調査機関から独占的にデータを取得してます。業界でオリジナルなポジションを築いていて、データの量や資金調達の規模においても突出していると思います。
―米国以外での展開はしていますか。
中小企業のオーナーたちが、古いコンピューター形式から、スマホやクラウドの世界に移ってきています。これはグローバルな変化であり、ブラジル、中国、英国、カナダ、オーストラリアなどは注意深く見ています。
日本についてはまだきちんと見ている状態ではありませんが、市場について知見のある投資家と組んだり、コーポレートベンチャーという形式でパートナーを得たりすることはあり得ると思います。日本も今は波が来ていないかもしれませんが、変化がひとたび訪れれば、私たちのような技術が加速度的に受け入れられていくと思います。