データにもダウンタイム問題がある。それを解決するプラットフォーム
――まずはMonte Carlo設立の経緯を教えてもらえますか?
多くの企業が、データドリブンな組織への変革や、データを活用したカスタマーサクセスに取り組んでいます。その全てのもとになるのが、データの信頼性です。
以前、私がカスタマーサクセスソフトウェア企業のGainsightで勤務していた時、活用するデータの信頼性を確認することが非常に重要であり、課題となっていました。しかし、これを解決できるソリューションがなかったんです。
実は、Monte Carloのもとになっているアイデアの多くは、ソフトウェア・エンジニアリングの概念をデータ産業に応用したものなんです。
――どのようにソフトウェア・エンジニアリングの概念を応用しているのでしょうか。
データを扱ったことがある方はお分かりだと思いますが、全てのデータが完璧なわけではありません。不的確あるいは不正確なデータは存在しますし、“ダウン”することもあるんです。私たちは、この問題を「データダウンタイム」という言葉で表すようにしています。
例えば、数十年前のWebサイト自体が新しかった時代には、企業のWebサイトがダウンしても、誰も気づかないような小さな出来事で済みました。
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しかし、Webサイトやアプリケーションが企業や組織にとって非常に重要な役割を担うようになると、ダウンタイムをなくし、確実に稼働させる必要性が高まりました。そして、アプリケーションのリアルタイムオブザーバビリティが重視されるようになりました。
私たちは、データにも同じことが起きていると考えています。活用されているデータの中に不正確なデータが含まれていても、今は大きな問題になりませんが、数年後も同じ状態が続くとは思えません。アプリケーションのダウンタイム管理が進んだように、データのダウンタイムも管理していく必要があります。
当社は「データダウンタイム」をなくすことで、企業のデータ活用を支援しています。例えば、ソフトウェアのオブザーバビリティプラットフォームのNew Relicのように、データのオブザーバビリティプラットフォームとして世界中のデータチームに使ってもらえるようになることを目指しています。
コロナ禍、政府が犯したデータのミス
――今の社会では、アプリケーションが動かなくなると大事です。データがダウンすると、アプリケーションにも影響が出るということですね。
まさにその通りです。全てのアプリケーションは、データを使って動いていますので、データがダウンすると言うことは、アプリケーションがダウンするよりも問題です。また、Webサイトのデータに間違いがあった場合は、Webサイトがダウンするのと同じ、あるいはそれ以上に大きな問題になります。
例えば、英政府機関のイングランド公衆衛生局は、データ形式の問題で1万6000件の新型コロナウイルス陽性診断データを誤認しました。もう1つの具体例として、米政府は、新型コロナウイルスの給付金のうち14億ドル分の小切手を、誤って死亡者宛てに送ってしまいました。これは、データが最新になっていなかったからです。不正確なデータがもたらす影響は非常に大きくなっています。
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――収益モデルはどうなっていますか。
SaaSで提供しています。顧客は主に中堅企業やフォーチュン500社の大企業です。
――日本も含めて海外展開は視野に入っていますか?
当社はグローバル企業です。チームメンバーだけでなく、主要顧客は中堅企業やフォーチュン500に含まれている企業で、中にはグローバル企業もいます。
私は幼児期に京都に住んでいたことがあるので、日本に対して親しみがあります。それだけでなく、メルカリのようなデータファーストな文化があるユニコーン企業もいますし、スタートアップを取り巻く環境に優れ、優れたeコマース企業も多いので、市場としても魅力的です。
――最後に、日本の読者に向けてメッセージをお願いします。
データの信頼性という新しいカテゴリーで、既存の顧客企業と共に実績を築けていること、ウェイティングリストができるほど、多くの企業から強い支持を得ていることに感謝しています。
そして、2020年9月のシリーズAラウンドで1600万ドルの資金調達に成功し、ワクワクしています。様々な業界で必要とされるソリューションとして、顧客基盤の拡大、雇用の拡大と、データの信頼性という新しいカテゴリーの成長に力を注いでいきます。