技術は人々の生活を豊かにするためにある
―まずはCEOの経歴と、Misapplied Sciencesについて教えていただけますか。
私は、スタンフォード大学の博士課程で、ハイパフォーマンス・コンピューティングを学び、同時期に、Microsoft Research(MSR)で新しいディスプレイ技術を研究しました。当社の製品、「PARALLEL REALITY™」は、ハイパフォーマンスコンピューティングと新しいディスプレイ技術、この2つの技術を融合しています。
また、Co-founderのDave Thompsonは、Walt Disney Imagineering(ImaginationとEngineeringを掛けた造語)で約20年間、Imagineer(イマジニア)を務めた人物です。彼は、米国、ヨーロッパそしてアジアなど世界中の魔法の国、ディズニーランドで、アトラクションを作ってきました。
Misapplied Sciencesは、最先端技術の開発と、人を魅了する「体験」の提供、この2つを組合せたDNAを持っています。
1つのディスプレイに異なる情報が表示されるマルチアングルなアプローチ
―「PARALLEL REALITY™」ディスプレイについて、ご紹介ください。
当社のディスプレイ「PARALLEL REALITY™」は、1つのディスプレイを複数の人が同時に見た時、それぞれが自分に必要なコンテンツを見ることができる、新しいディスプレイ技術です。あなたと隣の人は同じディスプレイを見ていても、あなたは自分に合わせたコンテンツを、隣の人はその人に合わせたコンテンツを見ることができます。
「PARALLEL REALITY™」には、世界的に最も洗練されたディスプレイ技術の1つが使われ、製品化には、新しいプロセッサアーキテクチャ技術の発明、コンピュータビジョンアルゴリズムの開発、光学機器製造プロセス開拓など、多くのイノベーションが伴っています。そして、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアなど付属的な技術が組み合わさることで、完成されたユーザーエクスペリエンスを創り出しています。
日本展開も視野に
―デルタ航空CEOのEd Bastian氏がCES2020の基調講演で「PARALLEL REALITY™」を紹介されました。デルタ航空とのパートナーシップについて教えてください。
当社は、設立以降CES2020までの5年間は、ステルスモードで基盤技術を構築してきました。デルタ航空は、米国内のスタートアップエコシステムに加わっていますし、カスタマーエクスペリエンスを非常に重視している企業です。空港では、様々な人が、様々な情報を探しており、それぞれの言語で見たいなど、要求もバラバラです。デルタ航空とのパートナーシップは、非常に自然なものであり、完璧にフィットしました。今年の半ばにはデトロイト国際空港のデルタ航空用ターミナルで最初の「PARALLEL REALITY™」が設置され、実用化する予定です。
空港などの交通のハブで「PARALLEL REALITY™」を活用いただけること、そして、それ以外の業界からも多数お声がけをいただいていることに、とてもワクワクしています。小売業、エンタメ業界、人的接客サービスを提供するホスピタリティ業界などでの活用も検討が進んでいます。今後、米国だけでなく、日本でも当社のディスプレイを展開できるよう、パートナー探しを進めています。
Image: Misapplied Sciences
―日本での展開を視野にパートナーを探しているということですね。
そうですね。様々なパートナーシップが考えられます。スタジアムや娯楽施設、小売店や交通機関のハブなど、様々な業界での展開に協力してくれるパートナーが必要です。そして、技術的なパートナーも必要ですし、コンポーネントの調達など製造面でのパートナーも必要です。
当社は、事業展開を始めたばかりの若い会社ですが、非常に機能性の高い製品を作り上げました。
当社のパートナーとなってくださる日本企業と協力し、世界に「PARALLEL REALITY™」を広めていくことを楽しみにしています。