MemVergeは、革新的メモリ技術「3D XPoint」が、サーバーを含むコンピュータのレガシーアーキテクチャを再定義することを予見し、2017年に設立された。「3D XPoint」を使ったメモリモジュール「インテル® Optane™ DC パーシステント・メモリー」搭載コンピュータ用のソフトウェアを開発している。今回はCEOのCharles Fan氏に話を聞いた。

既存プログラムを次世代メモリで動かすソフトウェア

―まずMemVergeが開発しているソフトウェアについて教えてください。

 当社は、2019年夏から発売が始まった、インテル® Optane™ DC パーシステント・メモリー(以下 Optane™)を搭載しているハードウェア用のソフトウェアを開発しています。

 Optane™は、革新的なメモリテクノロジーで、上位互換性のあるメモリまたは、下位互換性のあるストレージとして使用するメモリモードと、メモリとストレージを同じデバイスでマージして使用するAppダイレクトモードという2つの動作モードがあります。Optane™の機能はAppダイレクトモードにおいて最大限活用できますが、既存アプリケーションを動かすためには、アプリケーションのプログラミングロジックを変更する必要があります。

 当社のソフトウェアの主な機能は、ハイパーバイザのようにハードウェアとアプリケーションの間の仮想化レイヤーとなり、既存アプリケーションを書き換えることなくAppダイレクトモードで使用できるようにすることです。そして、分散ストレージシステムにより、ストレージ機能を強化し処理速度を上げ、拡張可能な分散メモリシステムにより、アプリケーションがアクセスできるメモリサイズを拡大します。

 これは、従来のメモリとハイパーコンバージドを融合した、新カテゴリに属するシステムです。このシステムを当社では、Memory-Converged Infrastructure(メモリコンバージドインフラストラクチャ/以下MCI)と呼び、独自のDistributed Memory Objects(分散型メモリ・オブジェクト/以下 DMO)技術を使用しています。

新技術、新市場で先行者となる

―どういった業種で利用されるのでしょうか。

 IT系、金融、ヘルスケア、DNAシークエンシングなどの分野の顧客に対し、2019年6月からβ版の提供を始めました。当社のDMOは、データエントリー用アプリケーション、特にカメラ、センサー、コンピュータなどによって生成された機械生成データの処理用プラットフォームに適しています。例えば、Spark、PrestoやTensorFlowなどでの活用です。

 こうした機械生成データは、急速に成長しているデータ領域でもあり、世界のデータの大部分を占めています。

―ビジネスモデルは、ソフトウェア・ライセンスですか。

 そうですね、ソフトウェアとしての販売と、SaaSとして提供する予定です。

―競合他社はいますか。

 当社のソフトウェアが、最初で唯一のPersistent Memory(永続性メモリ)ベースのMCIシステムだと思いますが、同様の製品の開発に取り組んでいる会社は他にもあるかもしれません。Optane™は全く新しいハードウェアですし、MCIシステムも全く新しいソリューションですから認知度を高めるためにも、競合となる他社の参入は大歓迎です。

―市場としても新しいということですね。

 そうです。この新技術は、既存のPersistent Memory(永続性メモリ)のブレイクスルーになり、新しい市場ができると考えています。現在のDRAM市場は1,000億ドル規模ですし、SSDは約200億ドル市場です。新市場が既存市場を全て替えていくとは考えていませんが、今後5年から10年以内に、100億ドル規模の市場になるだろうと予測しています。当社は、その新市場における先行者となり、独自の価値を提供し、持続可能なソフトウェアビジネスを構築していきたいと考えています。



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