医療機器もサイバー攻撃の対象に
――まずはMedigate設立の経緯を教えてもらえますか?
Medigateは2017年に、私と2人の共同創業者で設立した会社です。私たち3人は、イスラエル軍で情報部隊に所属していた時からの友人です。情報部隊では、サイバーセキュリティに関連したプロジェクトに携わっていました。
Image: Medigate Medigateの3人の創業者。中央がCEOのJonathan Langer氏。
――イスラエルで創業した後に、米国に拠点を移したのですか?
そうです。50人いる技術職はイスラエルにおり、米国には営業、マーケティングやフィールドエンジニアなどの担当者が30人ほどいます。ヨーロッパと、日本でも事業を展開しています。
遠隔診療の普及にも対応。病院が医療に集中できる環境をつくる
――病院もサイバー攻撃を受けているのでしょうか?
2017年に攻撃が開始されたWannaCry(ワナクライ)というサイバー攻撃をご存知でしょうか。これは、Windowsの脆弱性を狙った攻撃で、2017年5月から非常に広範囲に感染が拡がったのです。
医療機関でも、脆弱性がある医療機器や古いOSを使っていたことから、非常に大きな被害を受けました。このWannaCryを機に、医療機関の危機意識が変わったと思います。
――御社のサービスの特徴を教えていただけますか?
医療機関では、輸液ポンプ、MRI、血糖測定器、除細動器、患者のモニターや胎児モニターなど、様々な機器が使われていますが、現場で働いている人々は、どの機器がネットワークにつながっているのか把握していません。
また、これらの機器は独自のプロトコルを持っており、それぞれ違うプログラミング言語を使用しているため、通常のセキュリティ製品では対応できませんでした。
Image: Medigate 様々な医療機器のセキュリティ状況を一元管理できる。
当社のソリューションは、ネットワーク上にある全ての医療機器を把握し、インベントリー管理を可能にします。その上で、リスク評価を行い、必要なところに、必要なセキュリティ機能を構築できるようにします。
また、同時に運用効率の改善にも貢献しています。それぞれの機器の使用頻度を把握できるため、買い換え予測など設備の最適化も可能にしています。
――どんなビジネスモデルをとっていますか。
サブスクリプションモデルをとっています。接続された医療機器の数に基づいて費用をいただいています。
――医療現場では、サイバーセキュリティ意識も高まっているのでしょうか?
そうですね。多くの人が問題意識を持っています。医師、看護師や介護者などは、常時稼働する在庫の自動管理などに対する、プロアクティブな監視や、ゼロトラストアプローチを必要としています。
しかし、彼らはセキュリティよりも医療の提供に集中すべきですし、病院がセキュリティのために人員を増やすことは難しいです。当社は、サイバーセキュリティに加え、ワークフローを自動化し、直感的に操作できる使いやすいプラットフォームをSaaSで提供することで、問題をトータル的に解決しています。
また、最近では遠隔診療が急速に普及していますので、遠隔診療で使用するスマートフォンなどの機器も、既存の医療機器とつながるようになりました。こうした変化にも対応していきます。
日本の医療機器や医療市場にも対応
――日本でも、SOMPO CYBER SECURITYなどのパートナーがいるようですね。
日本は高齢化が進んでいるため、非常に大きな医療市場があり、参入を進めていきたいと考えています。日本で事業を展開する時は、言語や文化の違いや日本市場が持つ様々なニーズがあるため、日本のリセラーを持つことが非常に有益です。SOMPOは、非常に良いチャネルパートナーです。
日本に限らず、当社にはチャネルパートナーと戦略的テクノロジーパートナーの2種類のパートナーがいます。
――日本でも既に一部の医療機関で導入されていると聞きました。日本市場向けにカスタマイズ等は必要でしたか?
日本の医療機関では、東芝や富士通など国内メーカーの医療機器が多く使われています。これらは、米国の医療機器とはプロトコルが異なりますので、当社のソリューションも日本市場用にカスタマイズを進めています。