コロナ禍、ヘルスケア分野で「日常業務の改善」に焦点を置いたサービス
――まずはLumiataのミッションを教えてもらえますか?
当社は、ヘルスケア分野でAIを活用したパイオニア企業の1つで、AIファースト、そしてデータサイエンスファーストであることに注力してきました。
私たちのミッションは、AIとデータサイエンスを民主化し、ヘルスケア業界における重要課題を解決することです。私たちは、データサイエンスチームだけでなく、ヘルスケア業界のビジネスユーザーが、AIを使って日々の業務に取り組めるようなプラットフォームやアプリケーション、ツールキットを構築しています。
ヘルスケア業界では、他のどの業界よりも多くデータが生成されています。さらに、今回のパンデミックでは、データ量は2倍になったと言われています。こうしたデータを活用できる今は、未来を予測する大きなチャンスだと思っています。特にポストコロナにおいて、ヘルスケア業界の課題を解決していきたいと考えています。
ノーコードでのアプリケーション開発を可能に
――具体的なサービスの概要を教えてもらえますか。
Lumiataには2つの製品があります。ひとつはリスク管理やケアマネジメント向けのAIを活用したアプリケーション。もう一つは医療機関のデータサイエンティストに提供し、彼らが独自のアプリケーションを構築できるツールキットです。
Photo: Lumiata データをAIで分析することで、引受リスクを特定でき、コスト削減ができる
顧客は保険会社と医療事業者で、BtoBのビジネスです。現在のモデルではエンドユーザーにサービス提供はしていません。
――Lumiataの特徴は、主にアンダーライティングで活用されている点にあるのでしょうか。
その通りです。米国ではGDPの5分の1を医療費が占めるほど、巨大な支出です。ヘルスケアには様々なセグメントがありますが、当社は初期からリスク管理分野に重点を置き、健康保険のアンダーライティングにおけるコスト管理に焦点を当ててきました。
当社のアルゴリズムは、病気の進行や将来の潜在的リスクに関連しているのでケアマネジメントにも適用できますが、今もリスク管理に重点を置いています。
――Lumiataはノーコードだという点も特徴的ですね。
当社のサービスを使うデータサイエンティストは、コーディングの知識を持っている必要はありません。当社のツールキットはPythonでコーディングできないデータサイエンティストも使え、わざわざコードを書かなくても、学習モデルの生成や実験ができるのです。これこそ、当社のミッションである、AIとデータサイエンスの民主化を実現しています。
Photo: Lumiata ノーコードでの開発が可能
――どんな利用事例がありますか。
たとえば、当社のツールを使うことで、医療保険の支払いの不正防止に役立てられています。また、南フロリダの医療機関であるアカウンタブル・ケア・オーガニゼーション(Accountable Care Organization)では、再診率を下げるために、どの患者が病院に戻ってくる可能性が高いかを予測し、その患者たちに自宅でのケアを提供しています。
薬局のお客様の中には、当社のツールを使って、薬を買いに来た患者さんのリスクを判断し、健康管理や薬についてアドバイスしています。このように利用事例は多岐にわたっています。
――今後の目標として日本市場も視野に入れていますか?
答えは「イエス」です。今年1月に1400万ドルの資金調達に成功しました。この投資には、日本の保険会社も参加しています。日本にはデジタル化された医療システムがあり、高齢化も進んでいます。日本で当社のサービスが役立つと信じています。