お金を使わずに物品の売買が可能
―まずはListiaのビジネスモデルを教えてください。
私たちは家にあるいらなくなったものを簡単に売買できるプラットフォームを提供しています。最初は人々がいらなくなったものを他人にあげることができるプラットフォームでしたが、そこからユーザー同士が必要としているものを交換できるようになり、現在ではピアツーピア(Peer-to-Peer)で売買が可能なマーケットプレイスになっています。
ユーザーの出品物は私たちのカスタマーサービスが責任を持って、品質を管理しています。違法なものがないか、詐欺目的なものはないのか。また通常、疑わしいものがListiaに掲載された場合は、他の出品者がフラグを立てます。そして私たちのスタッフが確認をし、その出品物を削除します。
Image: Listia
―売買はどのような仕組みで行われますか。
Listiaを立ち上げた時、まず我々は「Listia Credit」というサービス内の仮想通貨を作りました。「Listia Credit」を使えば、お金を使わずにListia上で商品を売買することができます。例えば、Listiaのプラットフォームで使わなくなったiPhoneを売るとしましょう。出品者はiPhoneをListiaで売れば、数千単位のListia Creditが手に入ります。そして出品者はその稼いだListia Creditを使って、他の商品を購入することができるのです。お金を必要とせず、簡単にいらないものと必要なものをListia上で交換することができるというわけです。
しかし、2018年初めに、私たちは大きな決断をしました。これまでのシステムを大きく変えることにしたのです。
―どんなシステムに変えたのでしょうか?
「INKプロトコル」という完全分散型のピアツーピア決済システムを作りました。プラットフォーム上で利用できる仮想通貨も「Listia Credit」から「XNK」に変更し、Listiaのプラットフォーム上だけでなく、それ以外でも広く使えるようにしました。INKプロトコルの目的は、分散型マーケットの基礎を作ることです。XNKを使用して売買することで、全ての取引がブロックチェーン上に保存されます。つまり、売り手は売買するたびに自身の評判をブロックチェーン上で積み上げているということです。
最終的な目標は、さまざまなマーケットプレイス間で利用可能な「分散型評価システム」を構築することです。マーケットプレイス上で商品を売買することで、良い評価を獲得し、その評価が信用となり、いろいろなマーケットプレイスで商品を売買しやすくなります。
例えば、あなたがEbay上で商品を販売していたとしましょう。そして、あなたへの全てのレビューがポジティブだったとします。しかし、そのレビューはEbayだけのもので、そのレビューを利用して、Craigslistや他のマーケットプレイスで販売することはできません。Ebayがあなたの情報を独占しているからです。私たちが構築したのは、あなたが得た評価をEbayだけでなく、様々なマーケットプレイス上で使用できるオープンシステムです。
―Listiaはコンシューマー向けのプラットフォームですが、OEMモデルやエンタープライズモデルは提供しているんでしょうか。
はい、Listia自体はコンシューマー向けです。しかし、先ほどのINKプロトコルはこの上に新たなマーケットプレイスを構築していただける、オープンソースです。我々はこのシステムを新たなマーケットプレイスへ利用してもらいたいと考えています。
Image: Listia
「ビジネスの場でもなく、Eコマースでもなく、コミュニティとなる」
―御社の将来のビジョンについて聞かせてもらえますか。
私たちはListiaのプラットフォームを人々が簡単に物品を売買できるマーケットプレイスにしたいと考えています。私たちがListiaのプラットフォームで目指しているのはビジネスの場やEコマースではなく、コミュニティとなることです。
INKプロトコルにおいては、より大きなビジョンを持っています。私たちはグローバルで人々が利用できる信頼の置ける売買方法を作りたいと考えています。Listiaだけでなく、EbayやMercariなどの他のマーケットプレイスへ行っても、人々が自分の評価を使用し、商品を売買できるような世界にしたいと考えています。
―日本市場への進出についてはどう考えていますか。
いま私たちは主に北米を中心に活動していますがアジアやヨーロッパへの進出も考えています。Listiaのプラットフォームに関して言えば、私たちはいつでも他のマーケットプレイスとのコラボレーションの機会を探しています。それはListiaのプラットフォーム上にある機能を持ち込む、またはパートナーのテクノロジー、機能をListiaのプラットフォームに取り入れることが可能だと思います。
INKプロトコルサイドではこのテクノロジーを必要としている企業を見つけ、できるだけ多くの企業とパートナーシップを結びたいと考えています。ターゲットはEコマースなどのマーケットプレイス、UberやLyftなどのシェアリングエコノミーも対象となります。