Image: Lambda School
9ヶ月で仕事を得るための実践的な知識や技術を身につけられるオンライン教育、Lambda School。CEOのBen Nelson氏にビジネスモデルや今後の展望について話を聞いた。

Ben Nelson
Lambda School
CEO
2016年Brigham Young University卒。ソフトウェアエンジニアなどを経て、Lambda Schoolを創業。

教育の機会不平等を解決したい

―どうしてこのビジネスをはじめたのですか。

 私と共同創業者はユタの田舎出身で、優秀なのにいい教育へのアクセスがないゆえに低収入しか得られない人たちをたくさん知っています。教育の在り方は100年以上も変わらないままです。オンラインで教育を根本的に変えたいと考えました。プログラムを受けるのは完全に無料で、何のリスクもありません。

―卒業生の質の保証はできますか。

 私たちのプログラムはプリコースを受けて入学試験を通った人が参加することができ、卒業することというよりも仕事を得ることが目標です。18歳以上なら誰でも利用でき、たとえば「今は外食業界で働いているが、テック系の仕事に就きたい」といったジョブチェンジのための利用も多くあります。

 プログラム期間は9ヶ月でフルタイムです。もし9ヶ月でプログラムを終えられなければ、自分のペースで時間をかけてやり直すこともできます。プログラムを修了したということは、つまり仕事を得るために必要な知識は身についた状態ということを示しています。

 インストラクターは大学の教授ではなく、熟練したソフトウェアエンジニアたちで、中にはGoogleやNASAなどで働いたことがある人たちもいます。

実践的で、あくまでも「仕事を得ること」に焦点

―他のオンライン教育サービスとの違いはどこにありますか。

 MOOCsなどのオンライン自習型サービスは修了するのがとても大変です。修了率は5%と言います。コーディングキャンプのようなものもありますが、こうしたものは短期間で集中的にやっておしまいです。

 私たちのコースは本当に仕事につなげるための実践的な内容にフォーカスしています。生徒たちは企業で求められるスキルをつにつけるため、何千時間もコードを書きます。米国のいくつかの企業は、私たちのプログラムをスクリーニングとして評価してくれており、修了生の中から多数の面接をして、採用してくれている企業もあります。企業側は教育費用がかからず、採用の手間も減ります。

―個人学習のスタイルになるのでしょうか。

 グループで同時にスタートして、レクチャーに一緒に参加し、プロジェクトや宿題に一緒に取り組みます。TAもいますので、インストラクターやクラスメート、TAとスクリーンをシェアしたり、お互いのコードを見ながら、理解を深めることもできます。

学生に優しいローンの形式

―どのように売上を得ているのですか。

 プログラム期間中は、授業料はいただきません。プログラム修了後、仕事を得られた場合、年収5万ドルを超えてから2年間、月収の17%を支払ってもらっています。  最初はインターンなどで年収が3万ドル、4万ドルということもあると思いますが、その場合はその期間は支払う必要はありません。あとから5万ドルの仕事についたらそこから支払いをスタートしてくれればいいという仕組みです。失業したら支払いは一時停止もできますし、支払いの上限も決まっています。年収がものすごく上がっていったとしても、3万ドル以上はいただきません。

 学生ローンを学生に優しい形で提供したいのです。うまくいけばどんどん年収は上がっていきますから、12万ドルの仕事を得ても合計額は3万ドルです。生活支援のための給付金を支給する制度もあります。子供がいる人もいますし、パソコンを買うなど支援が必要な人もいますから。

テクノロジー以外にも教育分野を広げたい

―海外展開や今後についてはどのように考えていますか。

 現在、米国以外にヨーロッパでも展開しています。いずれ多言語に翻訳していきたいと考えていますが、当面は英語のプログラムで展開します。日本も進出候補リストのトップの1つです。日本はテクノロジーエコシステムが確立されているからです。

 将来像については、Amazonが本屋からはじめて今やあらゆるものを扱っているのと同じように、私たちはテクノロジー教育からはじめましたが、世界中でどこででも、仕事を得るためのあらゆる教育が得られる場を目指していきたいですね。



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