Image: Knotel
Knotelは世界の主要15都市でオフィス物件の紹介からオフィスデザイン、引越し、オフィス施設や備品等の管理まで提供するフレキシブル・オフィスを運営するスタートアップだ。2019年の資金調達ラウンドで森トラストや伊藤忠が参加し、日本市場参入に向け弾みをつけた。今回はCo-Founder & CEOのAmol Sarva氏に話を聞いた。

セミオーダーメイドの内装・家具付き「拡張可能」物件

―まずはKnotelのサービスについて教えていただけますか。

 企業が成長すると、本社オフィスの拡張や移転など、不動産も変化が必要になります。しかし、不動産の変更には手間とコスト、そして時間がかかるという問題があります。Knotelは、企業を対象にしたフレキシブル・オフィスの運営を担い、従来の不動産問題を解決しています。

 オフィスの移転は、日本では特に困難ですね。首都圏の物件の賃貸契約期間は通常2年間で、入居時の工事に加え、引っ越した後の原状回復工事が必須な場合がほとんどです。そして、柔軟性の低さから、日本でオフィスを拡張しようと思うと多くの場合は移転することになり、かなりの費用がかかります。当社の物件では、こうした問題が軽減されます。

 顧客のご希望に沿った当社物件の紹介、オフィスデザインや家具の手配など、移転業務を一括で担い、新しいオフィスの施設や家具・備品等の管理、空調管理から社員用のドリンクまで、オフィス運営・管理も当社が担います。また、契約期間中にオフィススペースの拡張やレイアウト変更が必要になった際にも当社がお手伝いいたします。当社が、こうした業務を一括で請け負うことで、移転にかかる時間を短縮し、入居する企業の業務負担と費用負担を軽減しています。

Amol Sarva
Knotel
Co-founder & CEO
コロンビア大学にて経済学と哲学を学び、スタンフォード大学にて哲学の博士号を取得。コロンビア大学在学中にウェブサイトやCD-ROMの制作会社を設立、博士課程在学中にVirgin Mobile USAの設立メンバーとしてFinance and Corporate DevelopmentのDirectorを務めた。卒業後は、McKinsey & CompanyにてEngagement Managerなどを務め、自身で複数のスタートアップを設立。2015年にKnotelを共同設立、CEOに就任。2016年よりコロンビア大学の教職員も務める。
 

費用は定額の利用料金を月額支払

―御社の物件に入居すると、どういったメリットがあるのでしょう。

 当社は、企業に専用のオリジナルオフィスを、フレキシブル・オフィスとしてご提供しています。シェアオフィスではありませんが、費用は定額で月額利用料金のみです。当社のサービスを使う場合と、全てを社内で行う場合では、多くのケースで約30%の費用削減になっています。高品質なフレキシブル・オフィスを使いながら、費用の節約にもなる、これが当社サービスを使うメリットの一つです。

―どういった規模の企業が御社の物件を使っていますか。

 当社は、ニューヨークだけで約125のビル内にオフィス物件を持っています。米国内の主要各都市の他、ロンドンやパリなどのヨーロッパ、サンパウロなど南米でもオフィスを運営しています。顧客には世界的な大企業が多く、世界各国にある全ての拠点で当社の物件を使っている企業もいます。

 当社の顧客が使っているオフィススペースの定員は平均100人です。オフィスの定員として100人というサイズは一般的で、例えば東京丸の内にあるビルもフロアーの定員は大体100人から200人で設計されています。規模が大きい企業は、定員100人程度のオフィスフロアーを数フロアー使っていると思います。

「柔軟に変化するオフィス」新しい概念を日本市場に

―伊藤忠や森トラストから資金調達されていますね。日本展開する場合は、どういったサポートを希望されていますか。

 当社の事業に必要なパートナーは、ビルのオーナーですね。現在、多くの不動産会社と話し合いを進めており、日本のビルオーナーや不動産会社のパートナーを見つけたいと考えています。

 次に、当社はオフィスデザイン・工事と運営・管理を担います。これらは東京ではとても複雑なプロセスでしょう。われわれは米国やヨーロッパで展開しているように当社の「イノベーション」を日本でも展開したいと考えています。日本におけるローカライズの方法を理解し、また、日本市場の違い、日本の数々のイノベーションを学びたいです。

―日本市場ではどのような企業がターゲットになってくるのでしょうか。

 東京は大規模なオフィス市場です。日本にある企業のうち10%から20%は外資系企業が占めています。しかし、多くの外資系企業は、日本にオフィスを開設する際の複雑なプロセスを難しいと感じています。当社は、そのニーズに応えていきたいと考えています。

 柔軟性があるフレキシブル・オフィスサービスは、特に日本の大企業にとって新しい概念だと思いますが、メリットを感じていただけるサービスですので、日本企業にも是非ご利用いただきたいです。



RELATED ARTICLES
既存の監視カメラをAIでアップグレード、製造・物流現場の安全性を向上 Spot AI
既存の監視カメラをAIでアップグレード、製造・物流現場の安全性を向上 Spot AI
既存の監視カメラをAIでアップグレード、製造・物流現場の安全性を向上 Spot AIの詳細を見る
宇宙の「ラストマイル問題」に取り組む、北海道大学発スタートアップ Letara
宇宙の「ラストマイル問題」に取り組む、北海道大学発スタートアップ Letara
宇宙の「ラストマイル問題」に取り組む、北海道大学発スタートアップ Letaraの詳細を見る
ソフトウェア開発のエンジニアと「共に歩む」AI 市場を席巻するGitHub Copilotがライバル Augment Code
ソフトウェア開発のエンジニアと「共に歩む」AI 市場を席巻するGitHub Copilotがライバル Augment Code
ソフトウェア開発のエンジニアと「共に歩む」AI 市場を席巻するGitHub Copilotがライバル Augment Codeの詳細を見る
自発的に学習する航空業界向けAI開発 精度バツグンの「ダイナミックプライシング」実現するFetcherr
自発的に学習する航空業界向けAI開発 精度バツグンの「ダイナミックプライシング」実現するFetcherr
自発的に学習する航空業界向けAI開発 精度バツグンの「ダイナミックプライシング」実現するFetcherrの詳細を見る
プラセボ治験者を「データ」に置換し臨床試験を短縮 Johnson & Johnsonとも協業するデジタルツインのUnlearn.ai
プラセボ治験者を「データ」に置換し臨床試験を短縮 Johnson & Johnsonとも協業するデジタルツインのUnlearn.ai
プラセボ治験者を「データ」に置換し臨床試験を短縮 Johnson & Johnsonとも協業するデジタルツインのUnlearn.aiの詳細を見る
人手不足の米テック企業の救世主?中南米や東欧の「隠れた凄腕エンジニア」を発掘するTerminal
人手不足の米テック企業の救世主?中南米や東欧の「隠れた凄腕エンジニア」を発掘するTerminal
人手不足の米テック企業の救世主?中南米や東欧の「隠れた凄腕エンジニア」を発掘するTerminalの詳細を見る

NEWSLETTER

世界のイノベーション、イベント、
お役立ち情報をお届け
「オープンイノベーション事例集 vol.5」
もプレゼント

Follow

探すのは、
日本のスタートアップだけじゃない
成長産業に特化した調査プラットフォーム
BLITZ Portal

Copyright © 2024 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.