Image: Intrinstic ID
Intrinstic IDは強固な信頼性のあるセキュリティを構築する電子認証プロバイダー。2000年代前半からIoTが巨大市場になることを予測していたという、創業メンバーのBen Jones氏に話を聞いた。

(2024年3月にSynopsysが買収。同年4月追記)

信頼性がIoTの鍵

―創業ではどのようなことにインスピレーションされたのでしょうか。

 私はPhillipsの研究所でPUF(物理複製困難関数)技術の研究に携わっていた2000年代、IoT(モノのインターネット)の時代が来ると予測していました。今で言うIoTは当時、パーベイシブ・コンピューティングまたはAmbient Intelligence(環境知能)と呼ばれていました。ここには巨大市場になるポテンシャルがあると考え、創業に至りました。

―IoT時代において、なかでも何を解決したい課題と考えていますか。

 私たちが解決したい課題とはIoTにおけるセキュリティの問題である「認証」です。認証とはデバイスが通信する他方のデバイスを認識し、他方のデバイスが信頼できるどうかを判断することです。ここで、信頼できる情報を得たことを認識したら、それは信頼できるデバイスからの通信であり、偽証または攻撃ではないことや情報が改ざんされていないことを示します。

 また、機器の状態を監視して不具合の兆候が出たらメンテナンスを行う予知保全があります。これは情報が正確であれば有用なものになりますが、情報が正確でなければ大きな無駄な出費になります。

 信頼性はIoTでの成功で鍵となる要素です。当社はそれを解決しようとしています。

Pim Tuyls
Intrinsic ID
CEO
PhilipsにてPrinciple Scientistとして約9年間勤める。その後、University of Leuvenにて教師として働き、2008年にIntrinsic IDのCTOに就任。2010年よりCEOを務める。

チップの「指紋」を暗号キーに

―「信頼性が鍵」ということですね。そこでどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。

 当社のソリューションはPUF(物理複製困難関数)技術に基づいています。半導体チップは全て同じように製造されているようですが、実は個々のチップには物理的に違いがあります。この物理的な違いによって、全てのセルには一つ一つ固有の価値が生じるのです。当社はこの違いを人間の「指紋」のように考えています。これを当社の技術に取り入れました。つまり、複製困難なチップの「指紋」を利用してキーを作り、そのキーによる暗号セキュリティシステムを築くことで、強固な安全を作り出しているのです。当社の保全システムにより、クラウドとOSのアクセスを安全にしたり、メーカーが機器の状態をチェックすることもできます。  

―どのようなビジネスモデルですか。

 ライセンスロイヤリティモデルです。当社のサービスにアクセスするためのライセンスを与えるごとに、ロイヤリティを請求します。アクセス数に応じて料金が変わります。 

全てのものを認証

―国際的にも展開していますか。

 現在、米国、欧州、中国、台湾で展開しています。

―日本で事業拡大する場合、何が必要だと考えていますか。

 現在、日本での活動はごく小規模ですが、日本について知り、マーケティングをすることが必要です。半導体産業、IoTデバイスを製造するOEMとの協業を模索しています。

―今後のビジョンを教えてください。

 長期的には全てのものを認証するようになることです。短期的には顧客に私たちのプロダクトを導入してもらい、顧客が簡単に信頼性のあるデバイスを構築できるようにすることです。



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