サイバー攻撃の「旨味」を減らす
―まずはCEOの経歴と、Intezer設立の経緯を教えていただけますか。
Intezer設立前は、IDF(イスラエル国防軍)で、イスラエルのインフラストラクチャに対して行われるサイバー攻撃に対処するインシデント対応チームを率いていました。残念ながら、サイバー攻撃は日常的に行われており、ロシア、中国、イランからの攻撃に対処する毎日でしたが、とても興味深い仕事でした。しかし、私はIDFを去るまで、自分が扱ってきたサイバー攻撃が非常に高度な攻撃だったことに気づいていませんでした。
そして、サイバーセキュリティ市場は数十億米ドルという莫大なお金が注がれているのに、問題が解決されるどころか拡大している状況を知った時は、おかしいと思いました。更に、サイバー攻撃を行っている犯罪組織の時価総額が高騰している現状は、本当にありえないことです。こんな市場、他にありません。
そこでIDFからの親友と、特権ID管理のグローバルリーダーとして有名なCyberArkの設立者と私の三人で、サイバー攻撃の経済性を変える、つまり、ROI(投資利益率/費用対効果)を下げることを目的にIntezerを設立しました。
車、ドローンやIoTにも。対象を限定することなく適用可能なサイバーセキュリティ
―具体的にどういった製品を提供しているのでしょうか。
機械学習やAIを使い異常を調べ検知する、特定分野で活用可能なサイバー攻撃検知ソリューションは多くありますが、当社のアプローチは全く異なります。当社のサービスは、潜在的な脅威の出所を調べます。そして、特定分野だけでなく多様な分野で適用が可能です。例えば、インターネットからダウンロードしたファイルがあるとします。それが疑わしい動作をしていなくても、そのソフトウェアの作成者と、ソフトウェアやコードの出所を特定することで、脅威なのかそうでないかの判断に役立てることが可能です。
製品は二つあります。一つは、インシデント対応とセキュリティ運用において、接する全てまたは不審なファイルの出所を特定するソフトウェア「Intezer Analyze」です。もう一つは、クラウドにおけるセキュリティ問題の助けとなる「Intezer Protect」です。クラウドインフラストラクチャで実行されている全てのコードが信頼できる出所からのものか。不正な、または悪意のある出所からでないことを確認します。
すでに日本でもサービスを提供
―日本でもサービスを提供されていますね。
約3年前から日本のクライアントに当社のサービスをご利用いただいています。例えば、政府機関、金融や製薬会社など、多様な業種でご利用可能です。
私の個人的な感想ですが、日本のクライアントは細かいところまで確認されますね。米国企業のCEOなど経営陣は大まかな事業案を確認するのみですが、日本企業の経営陣は、大まかな事業案だけでなく、実際の技術や機能など細部まで確認します。当社の技術が真に革新的だということを、トップマネジメントが自らご理解くださったからこそ、日本の大手企業での採用に至ったと考えています。
日本には戦略的なパートナーも複数社います、セキュリティソリューション大手のLAC社もパートナーです。