ドライバーの安全性を重視し、事故とリスクを減らす
――今までのご経歴を教えて下さい。
私自身はもともと車両運行管理や安全業界の出身ではなく、これまでヘルスケアや保険、そしてアート・テクノロジーの分野など、様々な業界を経験してきました。その中には、初期段階の企業を、最終的にゼネラル・エレクトリック社や他のプライベート・エクイティ投資家のような大企業に売却した例もあります。GreenRoadの創業は2004年ですが、私がチームに加わったのは2022年6月と比較的最近です。
――御社が提供するDriver Safety Telematics Platformについて教えて下さい。
この製品の本質は、ドライバーの行動管理です。安全性を重視した製品で、ドライバーのイベントや運転パターンをモニターすることができます。つまり、曲がる時、ブレーキを踏んだ時、スピードを出す時などを感知し、リアルタイムでドライバーに伝えるのです。
そして、ドライバーが運転を修正できるように、赤、黄、緑の3色のビジュアルという非常にシンプルな方法で表示します。そうすることで、非常に細かい事象に基づいたフィードバックが継続的に行われるのです。これにより、ドライバーは衝突事故や「ヒヤリハット」をなくし、スムーズで安全な運転パターンを身につけることができるのです。
私たちのソリューションのユニークな点は、フリート、バス、コーチ、そしてモバイルワーカーに焦点を合わせていることです。何千人ものドライバー、何千台もの車両に一貫性を持たせることができるため、管理者は、何千人ものドライバーを全体として見て、モニターすることができます。
例えば、曲がり角が多く、交通量の多い場所に入る場合は、経験に基づいて、より注意深く運転しなければならない場所があると警告することができます。その結果、事故が減り、安全性が高まります。安全でスムーズな運転は燃料の消費を減らすので、二酸化炭素排出量や燃費の削減へとつながり、車両にとって大きな節約になります。安全な運転をすることにより修理の回数やメンテナンスの問題も減ります。つまり、車両を全体的に見て安定運用を可能にするプラットフォームなのです。
――同様のサービスを展開する競合相手をどうお考えでしょうか。
競合他社にはそれぞれの特徴があります。フリートテレマティクスやフリートマネジメントの場合、車両や車両の状態に焦点を当てますが、私たちはドライバーに焦点を当て、さらにデジタルでドライバーへのフィードバックやトレーニングに力を入れています。
安全事象を捉えるだけでなく、実際にドライバーの行動に影響を与えることができることから、一般的なテレマティクス分野と比較して、競争相手が少ないと感じています。お客様のニーズも高く、安全を最重要視している分野においては、私たちが常に優位に立つことができるのです。
――御社のミッションを教えて下さい。
ドライバーの行動と車両の安全性を向上させることです。そして、事故を減らすこと、排出ガスを減らすこと、そして環境にやさしい世界をつくることに焦点を置いています。なぜならば、これらの実現は人々の幸せに影響を与えるだけではなく、経済的なメリットもあるからです。
特に昨今は、自動車のデジタル化と電化が進み、あらゆる国、政府、自治体で、より環境にやさしく、より燃費のよいものにすることが重要になってきています。そういった点において、私たちは、非常に適切な存在であると言えるでしょう。70カ国以上のドライバーが当社のプラットフォームを使っています。
Image: GreenRoad Technologies
優れた人材の確保に注力し、さらなるグローバル化を目指す
――2005年から2015年の間、計7回のラウンドで合計9,890万ドルの資金調達に成功しています。資金の使途について教えて下さい。
業界をリードし続けるために、技術や製品にどれだけ投資するかという点を考えています。また、グローバルな市場にアクセスする必要があるのなら、市場やパートナーシップに投資する必要があります。将来への投資と現在の投資のバランスを取る必要があるのは明らかです。
その原動力となるのは、最終的には人です。ですから、目指すべき成果を達成するために、最高の人材とチームメンバーを雇用し、維持する必要があります。私たちは、欧州、北米、アジア、中東の一部に注力しており、この地域をサポートするためのリソースを十分に確保することに重点を置いています。
GreenRoadは規模を拡大し、収益を上げています。投資家の皆様にはコミットしていただいていますので、当面は追加資金調達の予定はありません。
Image: GreenRoad Technologies
安全性とプロフェッショナリズムを重視する日本市場に関心高く
――御社は既にグローバルに展開していらっしゃいます。日本市場への進出はお考えでしょうか。
本社と研究開発チーム、製品チームがテルアビブにあります。イスラエルの他に、イギリス、ドバイ、米国、シンガポールにオフィスを構えています。オペレーションはカスタマーサクセス、セールスと同様に世界中に広がっており、私たちの製品の性質上、グローバルに展開し、70カ国以上のドライバーが当社のプラットフォームを使用しています。
以前在籍していた医療関連の会社では、日本とビジネスをしていたことから、私自身も何度か日本を訪れました。当時、日本市場への参入を手助けしてくれた日本のパートナーを通じて、日本市場での医療販売で素晴らしい経験を積むことができました。
日本市場には興味があり、ぜひ参入したいと考えています。特に、安全性とプロフェッショナリズムを重視する日本において、私たちが提供するプラットフォームは非常に適しています。日本では公共交通機関が多く使われていますので、私たちの安全性とドライバーの行動管理を通じて、輸送中に起こりうる事故を回避することが出来ます。
このように非常に日本市場には興味があるのですが、残念なことに現在まだ日本では事業は展開していません。
もし日本でビジネスをするのであれば、パートナー企業が成功するためのサポートを提供し、必要に応じて製品をカスタマイズして、市場、言語、特定のニーズ、ワークフローに対応するようにしたいと考えています。
Image: GreenRoad Technologies
――長期的なビジョンについて教えて下さい。
ドライバーの行動管理分野におけるリーダーであり続けること。また、世界各地にいるフリート顧客のデジタル化、電子化を促進する存在になりたいと考えています。そして、将来に向けて、優れた製品と技術を構築し続けること、これが私たちのコミットメントです。私たち自身の使命に忠実であり続け、サービスを強化し続けたいと思っています。