Image: Gravitational
クラウドネイティブのメンバーで設立したGravitationalはこれまで煩雑だったクラウドソフトウェアの稼働・管理を一カ所からできるオープンソースソフトウェアを開発している。今回はCo-founder & CEOのEv Kontsevoyに話を聞いた。

クラウドネイティブのメンバーで創業

―まず、Gravitationalの設立経緯について教えていただけますか。

 Gravitationalは、元々クラウド関連で一緒に働いていたメンバーで設立した会社です。2008年、Amazonが当時まだ実績のなかったクラウドに力を入れ始めた頃、その時代では珍しいクラウドを使ってメールを送受信する会社を立ち上げました。

 その後、企業にクラウドが普及していくうちに、企業が問題に直面しはじめたのです。私たちはその一つ、クラウド上でどうやってソフトウエアを実行するのかという問題を解決するため、Gravitationalを立ち上げました。

Ev Kontsevoy
Gravitational
Co-founder & CEO
1999年からソフトウエアエンジニアとしてNational Instrumentsで活躍。2006年から2008年までGE Securityのエンジニア主任。2010年にクラウド環境でメールの送受信を実現するMailgunを設立。その後、Rackspace Hostingに買収され、2015年5月まで同社で製品・戦略ディレクターを務める。同月、クラウドのさらなる問題解決のため、Gravitationalを発足。
 

異なる地域でのソフトウェア管理を一カ所で可能に

―なるほど。では、御社が現在提供している製品について詳しくお話しください。

 クラウド環境下でソフトウエアを動かす場合、一番大きな問題は、ソフトウエアを設計するエンジニアとは別に、ソフトウエアを動かす人が必要になることです。従来のソフトウエアはソフトウエアを作成するだけでよかったのですが、クラウド環境ではソフトウエアを動かす人も雇わねばならないため、手間とコストがかかってしまいます。

 また、ソフトウェアを使用できる地域にも制限があります。通常、ソフトウエアは開発された地域でのみ使用することを想定されています。そのため、別の地域で使用するには1から作り直さねばならず、負担がかかりすぎることから、実質不可能といえます。

 そこで我々は「Gravitational Teleport」という、製品を開発しました。Teleportは世界中のどのクラウド、オンプレミスサーバーを使っていようと、一カ所からアクセスが必要な人に必要な権限を安全に与えることができます。

 企業の場合、安全性を高めるため、例えば複数のセキュリティの層を作ったりしますが、2つの問題をはらんでいます。1つは、セキュリティシステムの構成などの為に優秀なチームが必要なことです。昨今どこの会社でも能力のある社員の確保に苦労している中で、これは大変なことです。さらに、開発チームが理由もなしにアクセスを拒否され続けると、セキュリティに抜け穴を作るような人が現れるかもしれません。

 しかし、Teleportは両方の問題を解決します。構成に専門性の高いセキュリティチームを必要としませんし、オープンソースのため、顧客の側で有効性を確認できます。もちろん、理由もなくアクセスを拒否されることもないわけです。さらに、オープンソースであるため、どんな端末にもインストール可能です。

―他にも開発された製品はありますか。

 Teleportはクラウド環境でソフトウエアを自動的に動かす目標の第一歩にすぎません。Teleportで端末とソフトウエアをつなげた後、一気に何百という地域で同じソフトウエアを稼働させなければなりません。それを解決するのがGravityです。

 Gravityは顧客の会社の全てのデータやアプリケーション、環境設定に一か所からアクセスできるようにしています。これは、仮想マシーンの中で指示を出すと、一つの指示として内部に保存されますが、その指示のレプリカを数百作成し、数百か所に保管、そしてこの数百になった指示を同じソフトウエアの中に存在させることで実現しています。

 そのため、アップデートの必要があるときには、すべてのデバイスに指示し、全ての機械がまったく同じようにアップデートされるのです。これで、地域ごとにソフトウエアを実行するチームを組む必要がなくなります。

すでに日本でも顧客を獲得

―国際展開について教えてください。

 すでに我々のソフトウェアは韓国の国際的企業や日本でも大手企業に利用いただいています。

―日本市場に進出する際にはどのようなパートナーが必要でしょうか。

 はい。とくに日本の場合は、必要不可欠だと思っています。まずは日本のエンドユーザーに魅力を伝え、そこから先は、日本語で日々顧客にあったサポートを提供してくれる現地企業にお願いするのが一番だと思っています。



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