多様な求職者から、優れた営業担当を見極めて教育
――Flockjay設立の経緯を教えてください。
私は2008年に金融不況の中で大学を卒業したため、学校では教えてくれない、金融リテラシーに興味を持ち、10年近く金融業界で勤務しました。その後、テック業界ではどんなスキルが必要なのかを理解したいと思い、サンフランシスコに移ってスタートアップで働きました。
求職者から見た営業担当は、出身大学や性別・人種・地理などに関係なく誰もがアプローチできる職種です。こうして、最高の教育と就業の機会を支援するというミッションを掲げ、Flockjayを立ち上げたのです。
――Flockjayの特徴や優れている点は何ですか。
私たちは、トレーニングプログラムによって求職者のスキルや特性を評価します。営業職に向いた人を発掘するノウハウを持っているのです。適性を持つ人に対して、質の高い営業会社から講師を招いた授業を提供し、最終的には、SlackやZoom、Salesforceなどのパートナー企業へつなぐお手伝いもします。
多様性の欠如の課題を抱える企業にとっては、さまざまなバックグラウンドを持つ人を採用しながら、事業を成長させられるメリットもあります。
Photo: Flockjay Flockjayの卒業生の就職先
ビジネスモデルは、授業料と人材紹介料です。卒業生は就業したあとに授業料を負担します。これは初年度の年収の10%です。就業先の企業が支払う人材紹介料は、各企業との契約によって異なります。
私たちの活動で最も刺激的な部分のひとつが、テック業界で活躍することによる、世代を超えた富の創造です。前職でウェイターやファストフード店スタッフ、用務員など、3万5000ドル〜4万ドルの年収だった方たちが、Flockjayを通じてテック業界で働くことで、1年目から従来の2倍から3倍の収入を得て、さらに成長しています。卒業生の中には、新居に移転し、家族4人とより良い生活を始めたシニア女性の例もあります。
テック業界の急成長により営業担当者の需要は高まる
――テック業界にとって、営業担当の育成は大きなトレンドになりますか?
営業は業界で最もエキサイティングなトレンドの一つです。私は、米国ではおよそ2000万人の人がテック業界以外の営業職に就いていると考えています。それらの仕事は合理化・自動化されつつあるため、彼らはテック系の営業職を効果的に探す必要に迫られるはずです。一方でソフトウェア市場は急成長していますので、年間100万人の営業職が新たに生まれても、足りないのではないかと推測します。
Photo: Portrait Image Asia / Shutterstock
私たちの事業は既にカナダ、ヨーロッパ、インドから多くの関心が寄せられています。今はすぐに対応できませんが、日本での事業展開も視野に入れたいです。実は私の母親は神戸出身で、私自身も日本で夏を過ごすことが多かったため、いつか親しみのある日本でもビジネスをしたいと思っているのです。
日本には、少数の大学から一流企業への就職につながる仕組みがあることを知っています。しかし私たちは、未開拓の才能に目を付けることに力を注いでいます。日本に進出するならば、日本のテック業界の営業文化と、才能のある人材の働き方を理解することが重要と考えます。有名大学出身者以外にも素晴らしい人がいることを理解し、高い才能を持つ人を発掘できるチームとのつながりが重要だと考えます。