今回、「TECHBLITZ」編集部では、2月に資金調達を行ったスタートアップをピックアップして4社を紹介する。今回紹介する4社はCEOへ直接取材を行い、詳しい事業内容や日本展開への興味などを聞いた。

マシンラーニングを利用した簿記・会計サービスで小規模ビジネスオーナーを支援するXendoo


Image:Xendoo

   Xendoo従業員20人以下の小規模ビジネスオーナー向けに簿記・会計プラットフォームを提供している。

 Co-founder & CEOのLillian Roberts氏は「US Bankによると93%もの小規模ビジネスは銀行口座内にあるお金でやりくりしています。そして93%のうちの82%がビジネスに失敗します。なぜなら、キャッシュが不足するからです」と語る。

 Xendooのプラットフォームを利用することでマシンラーニングにより簿記の分類や節税の最大化を図ることが可能だ。ユーザーはオンラインでXendooにサインアップし、その後Xendooの従業員と電話での相談を予約。Xendooはユーザーの銀行口座やクレジットカードと連携し分析、ユーザーはプラットフォーム上で分析結果を確認することができる。

 ビジネスモデルは月額のサブスクリプションモデルで、すでにオーストラリアや中国、香港など12カ国に展開している。

 日本企業とのパートナーシップの可能性については「アメリカ国内の小規模ビジネスオーナーと関わりのある日本のソフトウェア企業とは連携できると考えています」とRoberts氏は語る。長期的な目標としては10万件の小規模ビジネス、そして100万件とサポートするビジネスオーナーを増やしていきたいそうだ。

資金調達額:534万USドル
2月の資金調達額:8万USドル
2月の資金調達先:MetLife Foundation, Village Capital
所在地:Fort Lauderdale, Florida
URL:https://www.xendoo.com/

簡単に複数のEコマースサイトを作成しABテストができるShogun


Image:Shogun

 ShogunEコマースサイトをドラッグ&ドロップで作成するプラットフォームを提供している。GrouponでソフトウェアエンジニアをしていたCo-founder & CEOのFinbarr Taylor氏が立ち上げたサービスだ。

 Taylor氏は「これまでマーケティングチームはウェブサイトのデザインを考えても、ウェブサイトを構築するツールがないため、開発チームと連携する必要性がありました。われわれが提供するShogun Page Builderはマーケティングチーム自身がウェブサイトを構築することを可能にします」と話す。Eコマースのページ作成は競合も多数いるが、Shogun Page Builderはページの作成だけではなく、複数のデザインで同じ内容のページを作成し、簡単にABテストも行うこともできる。

 ビジネスモデルは月額サブスクリプションで、顧客は個人の起業家からFortune 50企業と幅広い。財布を販売するThe RidgeはShogun Page Builderを使いABテストを行うことでサイトのコンバージョンレートが15%も増加した。

 すでに1万以上のユーザーがおり、日本にも100以上のユーザーがいる。「日本に本格的に展開した際には日本の大手Eコマース企業とのパートナーシップを望んでいます」とTaylor氏は語る。

資金調達額:1222万USドル
2月の資金調達額:1000万USドル
2月の資金調達先:Initialized Capital, VMG Partners, Y Combinator
所在地:San Francisco, California
URL:https://getshogun.com/

本番環境ですぐに使えるGraphQLを自動生成するHasura


Image:Hasura

 データベースとマイクロサービスを接続し、本番環境に対応可能なGraphQLバックエンドを自動生成するオープンソースエンジンを提供するHasura。Hasuraを利用することにより、開発チームの効率性が向上する。

 Co-founder & CEOのTanmai Gopal氏は「われわれのオープンソースエンジンを利用することによって、エンジニアのプロダクションの加速、顧客へのデータ提供、事業部同士でのデータのアクセス等をスムーズにすることができます」と語る。

 Hasuraは誰でも利用できるオープンソースの他に、エンタープライズ向けの「Hasura Pro」も提供している。Hasura Proはエンタープライズなどが安心して利用できるよう、信頼性やセキュリティのオプション機能が追加されている。

 競合と比べ、Hasuraはエンタープライズ向けであり、セキュリティ等も充実しているという。

 短期的にはよりユーザー数を伸ばしたいというHasura。すでに日本でもHasuraを利用しているユーザーは多く、コミュニティもできているという。Gopal氏は「日本のお客様とパートナーに会えるのを楽しみにしています」と日本へのメッセージを話してくれた。

資金調達額:1131万USドル
2月の資金調達額:970万USドル
2月の資金調達先:GREE Ventures, Nexus Venture Partners, Vertex Ventures US, etc.
所在地:Palo Alto, California
URL:https://hasura.io/

飛行機を降りたら自動的にホテルにチェックインも。シームレスな旅の提供を可能にするJournera


Image:Journera

   Journera航空会社やホテルなどの旅行関連企業向けのデータプラットフォームを提供している。旅行関連企業が顧客により良い旅を提供できるようサポートをしている。

 Journeraはリアルタイムで旅行者の情報を顧客へ伝えるほか、ホテルへ旅行客のフライトの遅延や到着の遅れ、キャンセルをリアルタイムで伝えるプラットフォームを提供している。ビジネスモデルは顧客間でデータが行き交う際のデータフローの課金と旅行関連会社への分析データの提供をサブスクリプションで提供している。主要なパートナーはAmerican AirlinesやHilton Hotelsなどだ。

 Journeraのサービスの強みは、マシンラーニングを利用し個人の行動パターンをリアルタイムで分析することで、同じ人物を特定、次のアクションを提案できるようにしている点だ。また重要なプライバシーについても、Journeraで取り扱う個人情報は全て暗号化されており、ハックできないようなセキュリティだ。

 Founder & CEOのJeffrey Katz氏は「われわれは航空会社やホテル等のバックエンドをサポートし彼らが顧客に満足してもらえる旅を提供することをサポートします。われわれはリアルタイムデータを用い、例えば、誰かが航空機から降りた時点でホテルに自動的にチェックインするといったサービスを提供できるよう、航空会社やホテルにプラットフォームを提供しています」と話す。

 日本展開については「日本はテクノロジーそしてカスタマーサービスを第一に考える点においてとても洗練された国だと思います。日本展開する際には航空会社、そしてホテルとパートナーを組めればと思っています」とKatz氏は語った。

資金調達額:2840万USドル
2月の資金調達額:1159万USドル
2月の資金調達先:非公開
所在地:Chicago, Illinois
URL:https://journera.com/



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