非効率な契約業務を効率的に
―そのときにEvisortを設立しようと思い立ったのですか。
ロースクール在籍中に顧客の支援をしていたときのことです。ある顧客がMITでPhDを取ろうとしながら新しい会社の立ち上げをしていたのですが、その顧客に私はこんなことを言いました。「弁護士って、契約書類を作るのに無駄な時間を使っているのに、その一方で1時間800ドル顧客に課してるんだ。契約書類のキーワードを自動で探してくれる技術ってないの?AIで何とかならない?」と。私がこう言った相手が今の共同創業者となり、Evisortを創業しました。
Evisortは私がロースクールにいたときに「本当にこの非効率な業務はどうにかならないのか!」と感じた経験が元になっています。
契約書の管理がクラウド上で
―Evisortのサービスを具体的に教えてください。
今私たちが提供しているサービスは、契約書を私たちのシステムに取り込むと、契約相手が誰で、期限がいつで、重要な要綱は何かということを自動で読み込み管理することができるツールです。我々はこれを自然言語処理やコンピュータービジョンなどのAIを利用して実現しています。
年間のライセンスフィーで、クラウド上で使うことができます。4年半前に思いついたときはほんのアイディアに過ぎず、既存の類似サービスはなかったので、実現するかわかりませんでした。数学専攻で機械学習にも取り組める共同創業者の彼が技術的観点、私が弁護士の観点を持ち寄り、独自のアルゴリズムを立ち上げました。
―強みはどのような点にありますか。
私たちのサービスはAIで自動化したエンドツーエンドのコラボレーションプラットフォームです。契約書を作るところから、その交渉や承認のワークフロー管理ができます。多くの他社はAIがいまいちだったり、コラボレーションプラットフォームしか提供していなかったりするのですが、私たちはこのどちらも良質なものを提供しています。異なるソフトウェアをつなぎあわせて使う必要もありません。
調達や財務にも広げたい
―中長期的なゴールはどう設定していますか。
中期的には今ある製品を広げていくことですね。長期的には、調達や財務、会計に拡大してユースケースを増やし、支払いや請求などにおいても支援ができるようにすることです。契約システムは売買や採用、銀行からの出入金などで需要があるはずだと思っています。
―日本市場にも可能性を感じていますか。
既に富士通などの日本企業の顧客がいます。製薬会社など、今後もっと広げていきたいと思っています。私たちの投資家にはシンガポールのテマセック系も入っており、アジアには高い関心を持っています。