IBMやGoogleでの研究職を経て、「雇用」に着目
―2016年にEightfoldを立ち上げるまでは、どのようなことをしていたのですか。
2002年にイリノイ大学で機械学習の博士号を取りました。その後、IBMやGoogleで検索の個人最適化を研究していました。
2008年にGoogleを辞めてEコマースをカスタマイズする企業を立ち上げてCTOをしていましたが、個人個人に合わせたレコメンドをしたり、検索や発見をもたらしたりするうえで、機械学習をどのように使うのがいいだろうかと考えていました。
どこで働いているときも、「人々のことをより理解できているだろうか」「彼らが、何が好きで何が嫌いか」「彼らの長所短所は何か」「それをうまくコンテンツとマッチできているか」ということを常に考えていたのです。
―その問いがEightfoldにつながったのでしょうか。
20年間、こうした問題に取り組んできたわけですが、社会に目を向けたときに「雇用」こそが私たちがすべきことだと思いました。
仕事探しというのは近年とても難しくなっています。雇う側にとっても、いい人材を見つけるのがますます難しくなっています。背景に同じ問題が潜んでいるのは分かりますよね。人々のことを理解し、正しい機会にマッチングすることが必要なのです。これができれば仕事を探している側、人材を雇う側の両方の問題を解決できると考え、2016年にEightfoldを立ち上げたのです。
企業が持つ人材ネットワークを分析し、ポテンシャル採用を実現
―具体的にはどのようなサービスを提供していますか。
主に大企業向けに、人材インテリジェンスプラットフォームを提供しています。今つながりがある人材、つまり従業員や卒業生、過去に関わった人たちなどをより理解するためのツールです。同時に、企業内のデータから、彼らの役割にどのようなものがあり、仕事を成功させている要因は何かを分析しています。
また新規採用を迅速に行い多様性をもたらすようなツール、顧客と同じくらい大事な関係者に良いユーザーエクスペリエンスを体験してもらうためのサービスなども提供していきます。
今後の主役となっていくミレニアル世代は仕事に意味を求めるので、彼らに企業内でキャリアパスや成長をもたらすことを支援していきたいですね。
―今後のビジョンは何ですか。日本展開についてはどう考えていますか。
これまで、一般的な採用は、履歴書などをベースにこれまで何をしたか、何を知っているかを重視してきました。でも、私たちはポテンシャルを評価し、何がこれからできるかを評価し、それを採用につなげたいと思っています。
日本の大企業が抱える課題にも関心があります。前の会社で日本でもオペレーションをしていましたが、異なる市場に出ることで学ぶことは多いのです。東京や京都、大阪などの都市で、どのように大企業が人を雇おうとしているか理解したいと思っています。