温度調整可能なマットレス
―まず、経歴と御社の設立のきっかけについてお教えください。
私は若いころテニス選手でした。それから弁護士となり、2つの会社を立ち上げました。当時私は典型的な経営者で、1日中忙しく働いていました。ところが、ふと考えたのです。「人類が火星に行く時代に、私は1日の3分の1をなんと原始的な方法で過ごしているのだろう。なぜ私の身の回りにあるテクノロジーは疲労回復のスピードを上げられないのだろう」と。調べてみるとベッドを扱う市場、いや、睡眠全般を扱う市場は全くの未開発状態だったのです。そこに商機を感じ、Eight Sleepを立ち上げました。
―具体的なプロダクトを教えていただけますか。
わたしたちは業界初の睡眠健康促進企業です。テクノロジーを使って皆さんの睡眠効率を向上させることが私たちのゴールなのです。PODというスマートベッドを販売しています。温度調節をすることによって睡眠の質を上げるというものです。温度調節によって睡眠の深さが2割増したり、寝つくまでの時間を20%削減したりすることができるという医学的な根拠があります。ベッドにプラスして、スムーズな寝つきや途中で起きないような睡眠の深さ、さらに、気持ちよく目覚める、といった目的のためサブスクリプションとデジタルサービスを提供しています。
顧客はスマートベッドであるPodを購入し、さらに温度調節のために月$20のサブスクリプション契約を結びます。もちろん、毎晩のデータを蓄積して、個人個人のトレンドを見つけ、素早く寝付くことができるように手助けしたり、音を使わずに人を起こす特殊なアラームも装備してあります。
睡眠+テクノロジ-のハイブリッドビジネスモデルで新しい分野の開拓中
―差別化のポイントや強みはどの点でしょうか。
Eight Sleepはテクノロジーと睡眠のハイブリッド会社だと思っています。睡眠業界でAIやマシンラーニング、ソフトウェアを利用した拡張性のあるプロダクトを開発するテクノロジー企業はありません。ですから、今のところ競争相手はいませんね。もちろんこれから出てくるのでしょうが、我々の方がスタートダッシュ出来ている分、有利だと思います。
―なるほど。御社の中長期的な目標は何でしょう。
6時間睡眠で従来の8時間睡眠以上の疲労回復を可能にすることです。言い換えれば、睡眠効率を25%向上させたいと思っています。同時に、スマートベッドが医療用器機の役割も果たせればいいなと考えています。睡眠中の心拍数から呼吸数、睡眠の質まで全てをベッドがモニターします。中期的には、どんどん新商品を世に送り出したいですし、開発現場では、AIを使って、ベッドが収集したデータから病気の早期発見をするプロジェクトに投資し続けたいですね。
日本に理解のあるパートナーを希望
―国際展開、特に日本市場に進出する際、どのような手助けが必要だと思われますか。
日本の顧客のことをよく理解しているところがいいですね。すでに日本で顧客向けに製品販売をしている会社で、我々に製品のプロモーションの仕方を教えてくれるような企業と組みたいですね。アメリカでも州によって違いがありますし、ヨーロッパでもそうです。ですから、日本もアメリカとは違うだろうと思うのです。
―最後に読者へのメッセージはありますか。
健康というのは睡眠、栄養、運動の3柱で成り立っています。特に、睡眠は3つの中で一番重要です。睡眠時間2時間では栄養も何もあったもんじゃありませんから。ですから、声を大にして申し上げたいのは、睡眠を大切にしてくださいということです。そして、Eight Sleepの睡眠促進グッズを使ってくだされば、こんなにうれしいことはありません。