高齢化の進展が加速する中、世界中で健康寿命の延伸が社会課題となる一方、個人のレベルでも健康意識が高まってきているように感じられます。人工知能、通信、センシング技術の急速な発達ともあいまって、医療・ヘルスケア分野のデジタル化が加速し、リモート医療やヘルスケアデータの活用、よりパーソナライズされた医療の提供もますます現実味を帯びてきました。今回は、ヘルステックに関連するテーマを12に分けて、テーマごとに代表的なスタートアップを紹介します。

※本記事はTECHBLITZが配信した「Health Tech Trend Report」をダイジェストで紹介したものです。レポートをご覧になりたい方はこちらまたは本記事末フォームまでお問い合わせください。

<目次>
パーソナライズ医療にも現実味
ヘルステック、12の注目カテゴリー
1. 遠隔医療サービス
2. AIを活用した画像診断
3. 医療記録のデジタル化
4. 処方箋薬のデリバリー&薬の飲み忘れ防止
5. 高齢者の見守り
6. アクセシビリティ
7. ウェアラブル&ヘルストラッキング
8. 自宅検査サービス
9. メンタルヘルスケア
10. 従業員向けヘルスケアサポート
11. FemTech
12. フィットネス

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パーソナライズ医療にも現実味

 高齢化の進展が加速する中、世界中で健康寿命の延伸が社会課題となる一方、個人のレベルでも健康意識が高まってきているように感じられます。人工知能、通信、センシング技術の急速な発達ともあいまって、医療・ヘルスケア分野のデジタル化が加速し、リモート医療やヘルスケアデータの活用、よりパーソナライズされた医療の提供もますます現実味を帯びてきました。

 その流れに呼応するように、ヘルスケア分野には医療機関向けの高度な技術から個人ユーザー向けのサービスまで、非常に幅広いスタートアップが誕生し、医療機関や製薬会社、医療機器会社との協業も多数進行しています。ヘルスケアの領域ではさらに、異業種からの参入が増加していることも見過ごせません。その代表格が、いわゆるテックジャイアントでしょう。

※本記事はTECHBLITZが配信した「Health Tech Trend Report」をダイジェストで紹介したものです。レポートをご覧になりたい方はこちらまでお問い合わせください。

ヘルステック、12の注目カテゴリー

1.遠隔医療サービス

 日本でも新型コロナウイルス感染症対策の特別措置として2020年4月から初診患者のオンライン診療が解禁となりましたが、世界各国でも、感染の可能性を考え、医療機関の訪問を避けたいと考える患者、あるいはまずは遠隔で医師に相談したいという人々の間で、オンライン診療サービスに対するニーズが急増しました。

98point6
AI、テキスト、医師の力を組み合わせリモート診断を提供
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $247.3 M / Series E
出資者 Goldman Sachs, L Catterton, Activant Capital, etc.
URL https://www.98point6.com
AIを搭載したテキストベースのモバイル・プラットフォームを介して、医師が患者の診断を行うオンデマンドのデジタルプライマリケアサービス。ビデオを用いた診断サービスを提供する競合が多い中、テキスト情報を重視(必要に応じて写真、音声、ビデオ機能も利用)。テキストベースであるため自宅だけでなく職場や外出先でも医師に相談をしたり、処方箋を依頼することができる。
Image : 98point6 HP
MDBox
ビデオチャットを通した医師による遠隔診断
所在地 US
創設年 2016年
資金調達額累計 $15.3 M / Seed
出資者 Capital Factory, Micro Ventures, Dreamit Ventures
URL https://www.mdbox.com
専用アプリを通し、風邪やインフルエンザ、副鼻腔炎、避妊、尿路感染症、発疹、アレルギー、嘔吐、下痢など緊急性の高くない症状を医師に相談することができる。高額請求を恐れ医療機関訪問を躊躇しがちな保険未加入者の医療アクセス拡大を促したいという思いから、利用料 / 診察料を一律$49.95に設定。
Image : MDBox HP

2.AIを活用した画像診断

 診断から治療に入るまでの1分1秒が状況を左右する緊急医療の現場では、画像診断技術の精度はもちろんのこと、使い勝手のよさも重要です。本レポートでは、特にその点に優位性をもつ画像診断装置を取り上げました。どちらも、データに基づきAIが画像分析を行い、医師の迅速な意思決定をサポートしています。

Viz.ai
AIを活用した脳卒中の画像解析
所在地 US
創設年 2016年
資金調達額累計 $80.6 M / Series B
出資者 GV, Kleiner Perkins, CRV, Threshold, etc.
URL https://www.viz.ai
ディープラーニング技術を活用して脳画像を解析し、脳卒中の疑いの早期発見や発生時の正確な情報を医療従事者に提供するトリアージ(治療の優先度の決定)診断プラットフォーム。脳卒中発生時はいかに迅速に血栓を取り除けるかが回復への、そして死や後遺症を回避するための鍵となる。救急車内で脳画像をスキャンし、専門医に送信することで、病院に搬入後直ちに治療に入れるよう受入体制を整えることができる。
Image : Viz.ai HP
Exo
ポータブル超音波画像診断装置
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $87.6 M / Series B
出資者 Applied Ventures, TDK Ventures, Intel Capital, Sony Innovation Fund, etc.
URL https://www.exo.inc/
圧電マイクロマシン超音波トランスデューサーと呼ばれる超音波技術を用いた高画質な小型超音波画像診断装置を開発。ハンドヘルド型のポータブル機器のため、集中治療室や救急医療の現場でも利用しやすい。AI搭載クラウドプラットフォームで臨床関連データを分析し、医師による診断、意思決定に必要な洞察を提供する。
Image : Exo HP

3.医療記録のデジタル化

 患者の治療履歴の電子データ化も進んでいます。医師が情報を記入する際の時間を短縮し、労力を軽減するAIアシスト技術に加え、電子化されたデータを医療機関の間で共有することで、検査の重複や誤った多剤投薬、緊急時の情報不足といった問題を解消し、医師の診断と適切な治療の提供を後押しするプラットフォームも拡大しています。

PatientPing
医療機関や介護施設の間で過去の治療経緯を共有
所在地 US
創設年 2013年
資金調達額累計 $101.2 M / Series C
出資者 Andreessen Horowitz, GV, SV Angel, etc.
URL https://patientping.com
患者の治療履歴や薬の服用状況などの情報をホームドクター、総合・救急病院、医療介護施設などの間でリアルタイムに共有、可視化するコラボレーション・プラットフォーム。情報連携により、医療従事者やケアプロバイダーは過去の治療ヒストリーを確認したうえで、治療にあたったり、ケアプランを策定したりすることができる。
Image : PatientPing HP
SUKI
医師のための音声対応AIデジタル・アシスタント
所在地 US
創設年 2016年
資金調達額累計 $40.0 M / Series B
出資者 Venrock, First Round Capital, Marc Benioff , etc.
URL https://www.suki.ai
医療現場での利用を目的に開発された、医師のためのAI音声アシスタント。医師の声を聞き取り、カルテの確認、新たな診察内容の記入、処方箋の作成などを自動的に処理。医療用業務ソフトウェアとの連携もサポート。カルテの記入にまつわる作業をデジタル・アシスタントに任せることで、診察中、患者との対話に集中できるようになるという利点もある。
Image : SUKI HP

4.処方箋薬のデリバリー&薬の飲み忘れ防止

 新型コロナウイルス対策の影響もあり、処方薬のデリバリーサービスに対する需要も高まっています。この分野では、本レポートでは紹介しきれませんでしたが、薬局のオンライン化とデリバリーサービスの立ち上げを支援する薬局版「Stripe」のようなサービスもビジネスを拡大しています。また、治療の長期化や医療コストの増大にもつながる薬の飲み忘れの防止策についても、最新技術を活用したものから行動心理学の考えを取り入れたものまで、多様なソリューションが登場しています。

Medly Pharmacy
デジタル薬局による処方薬の同日配達
所在地 US
創設年 2017年
資金調達額累計 $100.0 M / Series B
出資者 Volition Capital, Greycroft, Lerer Hippeau, etc.
URL https://medly.com
処方薬を無料で同日配達するデジタル薬局。患者が診療所で、受け取り薬局にMedly Pharmacyを指定するだけで、アプリ経由(電話も可)で薬の配達スケジュールを指定することができる。薬局で待つことなく、その日のうちに自宅で処方薬を受け取れ、配達状況のトラッキングも可能。現在、実店舗を持つニューヨークを中心に6州でサービスを展開、将来的には全国に拡大していく計画。
Image : Medly Pharmacy HP
Popit Medical
薬の飲み忘れを通知
所在地 Finland
創設年 2016年
資金調達額累計 $1.2 M / Seed
出資者 Amor & Labor, Butterfl y Ventures, Capital A Partners
URL https://popit.io
錠剤の飲み忘れを防止する小型電子デバイス「Popit Sense」を開発。錠剤が梱包されるPTPシートに機器をクリップのようにとめるだけ。小型デバイスに搭載されたセンサーが、薬の開封や服用個数を感知、専用アプリに自動記録するほか、設定された時間に薬の服用が確認できない場合には本人や家族にアラートを発し、飲み忘れを防止する。
Image : Popit Medical HP

5.高齢者の見守り

 一人暮らしや介護施設で生活する高齢者が増加するにつれ、高齢者の心と身体を守る様々なサービスが生まれています。本レポートでは特に、高齢者のプライバシーに配慮した見守りソリューションと、望まない孤独が心身にもたらす悪影響が指摘される中、孤独の解消と社会的なつながりのサポートに重きを置いたコンパニオン・ロボットを取り上げました。

Vayyar Imaging
RF技術でプライバシーを守りながら転倒を検知
所在地 Israel
創設年 2011年
資金調達額累計 $188.0 M / Series D
出資者 Bessemer Venture Partners, ClalTech, Battery Ventures, etc.
URL https://vayyar.com
高度なRF(Radio Frequency)技術を用い、物体の背後や内部を透視し、高解像度の4Dマッピング画像をリアルタイムで作成する技術を高齢者の見守りに応用。カメラによる監視も、ウェアラブル機器を常時装着する必要もなく、高齢者のプライバシーと利便性に配慮。壁を透過するRF技術により、センサーが設置された部屋とは別の場所(浴室やトイレなど)での転倒も検知する。バイタルサインのモニタリングも可能。
Image : Vayyar Imaging HP
Intuition Robotics
高齢者の孤独を解消するコンパニオン・ロボット
所在地 Israel
創設年 2015年
資金調達額累計 $58.0 M / Series B
出資者 iRobot, Toyota AI Ventures, Sompo Holdings, Samsung NEXT, Bloomberg Beta, etc.
URL http://www.intuitionrobotics.com
高齢者向けアシスタントロボット「ElliQ」を開発。カメラとタブレットが搭載されており、家族や友人との対話、音楽やニュースの再生、受信メッセージの読み上げ、質問への回答など、オンライン情報の利用をサポートする。薬の服用のリマインドにも対応。また、AIがユーザーの行動や嗜好を学習し、適切なアクティビティを提案するなど能動的に高齢者と対話。高齢者の孤独解消や積極的な活動を後押しする。
Image : Intuition Robotics HP

6.アクセシビリティ

 聴覚や視覚に障害をもつ人々の生活を支援するAI搭載ウェアラブルデバイスも、近年ますます性能が向上すると同時に小型化しています。下記で紹介したウェアラブルデバイスのほかにも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事や学校の授業がビデオ会議プラットフォームへ移行する中、困難に直面した難聴者を支援しようと、プラットフォームに依存せず会議や授業で交わされる声を瞬時に書き起こすクローズドキャプション技術なども生まれています。

OrCam
文字を読み上げる、メガネ装着型ウェアラブル
所在地 Israel
創設年 2010年
資金調達額累計 $86.4 M / Series Unknown
出資者 btov Partners, Intel Capital, Clal Insurance Enterprises Holdings, etc.
URL https://www.orcam.com/en
AIと高度な画像認識技術による文字の自動読み上げで、難読症や視覚障害の人々を支援するウェアラブル・デバイス。メガネのつるに装着すると、本や名刺、メールなどの活字を認識し、耳元のスピーカーを通して読み上げる。色や商品の識別もできるほか、人の顔を100人分まで登録可能。対面相手を認識し名前を教えてくれる。世界30ヶ国、日本語を含む20以上の言語に対応。
Image : OrCam HP
Whisper
AIと機械学習で耳の不自由な人をアシスト
所在地 US
創設年 2017年
資金調達額累計 $35.0 M / Series B
出資者 Sequoia Capital, First Round Capital, IVP etc.
URL https://whisper.ai
AIと機械学習を用い、不要な音をリアルタイムに分離したうえで必要な音声だけを耳元で「ささやく」聴覚アシスト装置。ポケットサイズのWhisper Brainがリアルタイムで周囲の雑音を分離、最適化された音がイヤーピースへ送信される仕組み。デバイスは補聴器の専門店経由で、サブスクリプションサービスの形で提供される。サブスクリプション期間中、最新のソフトウェアが常時アップデートされ、時代遅れの補聴器をつけ続ける必要がなくなる。
Image : Whisper HP

7.ウェアラブル&ヘルストラッキング

 健康状態の管理や問題の予防を目的としたウェアラブルデバイスによるヘルスデータのトラッキングと聞くと、まずApple WatchやFitbitに代表されるスマートウォッチが思い浮かびますが、下記のような指輪型のもの、パッチ型、あるいは特定の疾患のモニタリングに特化したウェアラブルなど、この分野には多種多様なツールが存在します。

ŌURA
バイタルデータを取得するスマートリング
所在地 Finland
創設年 2013年
資金調達額累計 $48.3 M / Series B
出資者 Gradient Ventures, Forerunner Ventures, MSD Capital, etc.
URL https://ouraring.com
心拍、体温、動きをモニタリングし、ユーザーの睡眠状態や健康の改善を支援するスマートリング。指輪の内側には、赤外線LED、NTC温度センサー、3D加速度計、ジャイロスコープなどが組み込まれている。指には多くの動脈や毛細血管があり信頼性の高いデータが得られるほか、肌に常時ぴったりと密着させることができるため、高い測定精度を実現できるという。
Image : ŌURA HP
Siren
糖尿病患者をサポートする「スマートソックス」
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $30.9 M / Series B
出資者 Founders Fund, Khosla Ventures, DCM Ventures, 500 Startups, etc.
URL https://siren.care
糖尿病患者の健康状態をトラッキングできる「スマートソックス」を開発。マイクロセンサーが埋め込まれた繊維素材のソックスで、患者の足の温度をモニタリング。炎症の兆候や体温の変化を検知すると、ユーザーのスマホアプリや担当医師へアラームが発せられる。利用には医師の処方が必要となる。ソックスは洗濯も可能。
Image : Siren HP

8.自宅検査サービス

 自宅で簡単に尿や唾液、血液などを採取し、健康チェックを行うことのできる検査キットも数多く登場しています。検査できる項目は多岐にわたり、自宅ですぐに結果が判明するものから、サンプルをラボへ郵送して検査結果を待つものなど様々ですが、「忙しい」「恥ずかしい」「より頻繁に検査をしたい」などの理由で自宅検査サービスを選択する人が増えています。

Vivoo
自宅でできる尿検査キット
所在地 US
創設年 2018年
資金調達額累計 $2.5 M / Seed
出資者 Draper Associates, Bayer Pharmaceuticals, Techstars, 500 Startups, etc.
URL https://vivoo.io
自宅で簡単に尿検査による健康診断を行うことができるキットをサブスクリプションで提供。尿をかけたステック型の検査シートを専用アプリでスキャンするだけで、体内の水分量、尿のpH値、ケトン体、尿路感染症や肝機能、腎機能などに関する指標が示されるほか、パーソナライズされた栄養や生活習慣のアドバイスが提供される。
Image : Vivoo HP
EverlyWell
食物アレルギーや代謝など 複数の自宅検査キットを開発
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $325.0 M/ Series D
出資者 Lux Capital, BlackRock, Highland Capital Partners, NextGen Venture Partners, etc.
URL https://www.everlywell.com
アレルギー、食物過敏症、甲状腺、ビタミンD値、代謝、コレステロール値、不妊、性感染症など、様々な検査キットを製造。自宅でサンプルを採取後、ラボへ送付。認定ラボでの検査後、数日で結果を受け取ることができる。2020年には、新型コロナウイルスの在宅検査キットもラインアップに追加。
Image : EverlyWell HP

9.メンタルヘルスケア

 ストレスや不安、気分の落ち込み、睡眠障害など人々の心の健康が世界中で問題視されています。そのような中、スマホアプリを活用したヨガや瞑想プログラム、AIカウンセラーとのチャットを通して、自分自身で心の健康維持を図ることのできるサービスに人気が集まっています。下記のほかにも、若年層をターゲットにしたゲーミフィケーション技術を用いたメンタルケアアプリや、VR技術を活用したより専門的なソリューションなど、様々な技術とサービスが生まれています。

Calm
メンタルヘルスの改善をうながす瞑想アプリ
所在地 US
創設年 2012年
資金調達額累計 $218.0 M / Series C
出資者 Lightspeed Venture Partners, Insight Partners, Goldman Sachs Asset Management, Marc Benioff , etc.
URL https://www.calm.com
世界中で深刻化する精神的ストレス、それに起因するうつや不眠症などの症状を軽減、予防するとともに、メンタルヘルスの強化を図るスマホアプリ。音楽、映像、ナビゲーション付きの瞑想プログラム、ストレッチングのビデオレッスン、専門家によるマインドフルネスの指導など、多岐にわたるコンテンツを提供。法人向けのサービスもある。
Image : Calm HP
Woebot Health
AIチャットボットによるメンタルサポート
所在地 US
創設年 2017年
資金調達額累計 $22.8 M / Series A
出資者 AI Fund, New Enterprise Associates, Jazz Venture Partners, etc.
URL https://woebothealth.com
AIと自然言語処理技術、認知行動療法の知見をベースに作られたチャットボットとの対話を通してメンタルヘルスの改善を図ることのできるアプリ。フレンドリーで思いやりのある会話を通して、うつ症状や不安症などメンタルヘルスの問題を抱えるユーザーの気分を定期的にチェックし、変化を把握、分析する手伝いをするとともに、日常的なストレスを軽減するテクニックを提案。人間の心理療法士とは違い、いつでもどこでも必要な時に利用できる。
Image : Woebot Health HP

10.従業員向けヘルスケアサポート

 未治療のメンタルヘルスの問題が、従業員のパフォーマンスに大きな影響を与えていることに対する認識が広まり、前ページで紹介したメンタルヘルスケア分野のスタートアップの多くが法人向けのサービスも提供しています。本ページでは、高血圧や心疾患、あるいは重い荷物を運ぶ物流部門のスタッフや長時間の着座姿勢による腰痛の問題など、身体の健康に焦点を置いたケアサポートを取り上げます。

Hello Heart
高血圧や心疾患予防のための健康アプリ
所在地 US
創設年 2013年
資金調達額累計 $23.2 M / Series B
出資者 Blue Run Ventures, Khosla Ventures, Maven Ventures, Resolute Ventures, etc.
URL https://www.helloheart.com
企業の従業員向けにワイヤレス血圧計を配布し、血圧やその他のヘルス関連データを最新の行動科学と臨床科学をベースに分析、健康改善のヒントをアプリ経由でリアルタイムに提案する。血圧計のほか、血糖計や各種ヘルストラッカーと連動させ、高血圧対策だけでなく、糖尿値やコレステロール値、肥満、ストレス値の把握を通して、広く健康改善のためのアドバイスを提供。
Image : Hello Heart HP
Hinge Health
リモートでフィジカルセラピーを提供
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $426.1 M / Series D
出資者 Atomico, Bessemer Venture Partners, Insight Partners, etc.
URL https://www.hingehealth.com
背中や腰など慢性的な体の痛みにフォーカスしたオンラインフィジカルセラピー。現場で働く従業員の腰痛や関節痛による欠勤、離職は、雇用主にとっても大きなコストになっている。ユーザーにはウェアラブルセンサーとタブレットコンピュータが配布される。痛みのある箇所にパッドを装着し、週に3、4回パーソナルコーチとのオンラインセッションを受けることができる。
Image : Hinge Health HP

11.FemTech

 近年、女性の健康に焦点を当てたFemTech分野のスタートアップの活動も活発化しています。新世代の生理用品、月経周期のトラッキングや妊活、不妊治療、月経前症候群(PMS)の軽減、更年期障害対策、女性特有の病気の検査など、その内容もバラエティに富んでいます。生理用品をスマート化し、病気の早期発見を目指す技術開発なども進められており、今後の展開が非常に楽しみな分野です。

Carrot Fertility
不妊治療を企業の福利厚生プログラムへ
所在地 US
創設年 2016年
資金調達額累計 $39.2 M / Series B
出資者 Founders Fund, CRV, Y Combinator, etc.
URL https://www.get-carrot.com
法人企業の福利厚生に不妊治療プログラムを組み込むためのプラットフォームを提供。企業は、心身そして経済的負担の大きい不妊治療をサポートすることで、従業員のリテンションに結びつけることができる。従業員は、専用のデビットカードを利用して提携先の医療機関で治療を受けられる。保険会社とのやりとりや支払いなど煩雑な管理業務は同社が引き受け、顧客企業の負担も軽減。現在50か国以上、2,700の医 療機関と提携。各国の法規制や医療制度に合わせてサービスを展開している。
Image : Carrot Fertility HP
inne
唾液からホルモンの変動をトラッキング
所在地 Germany
創設年 2016年
資金調達額累計 $8.0 M / Series A
出資者 Blossom Capital, Monkfi sh Equity, etc.
URL https://www.inne.io
毎日一定の時刻に唾液を採取し、自宅でホルモン値をトラッキングすることのできる小型デバイスを開発。専用アプリ上で月経周期にともない変動するプロゲステロンなどのレベルを可視化。妊娠しやすい、あるいは妊娠しにくいタイミングを把握することができる。生理日や基礎体温を入力して月経周期を自動計算する既存のアプリよりも正確かつ簡単に排卵のタイミングを確認することができるという。
Image : inne HP

12.フィットネス

 新型コロナウイルスの感染拡大にともなうスポーツ施設の休業や、在宅勤務中の運動不足を背景に、自宅で利用可能なフィットネスコースに対する需要も高まりました。下記のようにインタラクティブ・デバイスと組み合わせたもの、中高年や高齢者層にターゲットを絞ったものなど、様々なプログラムが提供されています。この間、屋外での活動を後押しするサービスもユーザー数を伸ばしました。

VAHA
AIを活用したフィットネス用ミラー型デバイス
(2022年にBioniqが買収。2023年6月追記)
所在地 Germany
創設年 2019年
資金調達額累計 $29.6 M / Seed
出資者 Porsche Ventures, Global Founders Capital, HV Capital, etc.
URL https://vaha.com
AI搭載のミラー型デバイスとオンライン・フィットネスプログラムを提供。ミラーには、カメラ、スピーカー、マイクが内蔵され、双方向の通信が可能。筋力や有酸素運動、ダンス、ボクシング、ヨガ、瞑想など多岐にわたるコースが用意され、世界中の人気インストラクターから指導を受けることができる。デバイスはユーザーの動きや心拍数をリアルタイムに把握。AIがデータを分析、それぞれのトレーニング目標の達成をサポートする。
Image : VAHA HP
Strava
サイクリングやジョギングをより楽しむためのソーシャルアプリ
所在地 US
創設年 2009年
資金調達額累計 $151.9 M / Series F
出資者 Sequoia Capital, TCV, Sigma Partners, etc.
URL https://www.strava.com
アスリートのためのトラッキング&ソーシャルアプリ。スマートフォンやスマートウォッチ を利用し、距離や標高、ルート、心拍数や消費エネルギーなどを記録し、自身のパフォーマンスを分析することができる。ソーシャル機能がついており、ジョギングの途中で撮影した画像をアップしたり、友人やフォロワーの間でデータを共有してコメントを残したり、チームやグループ内で記録を競い合うなど、楽しみながら運動を継続できる。
Image : Strava HP

※紹介している企業情報は、「Health Tech Trend Report」制作当時のものです。
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