データ保護の困難な問題を解決
―創業でインスピレーションとなったことを教えてください。
私は様々なビジネスを見ていて、プライバシー規制が変化していると感じました。ガートナーの調査では地球上でデータ保護がされている情報はおよそ10%だといいます。2022年までにはこれが50%になると予想しています。しかし、企業はそもそもどのようなシステムを使っているのかわかりませんし、どのデータがどのシステムに入っているのかわからないのです。そうすると、消費者が私のどのような個人情報を持っていますかと企業側に問いかけた際に、企業は答えることができないのです。私たちはこれを解決したいと思いました。
自動化でヒューマンエラーのリスク低下
―どのようなプロダクトでしょうか。
Fourtune500企業では、100を超える数の異なるシステムが使われており、システムそれぞれに個人情報が含まれています。
DataGrailはまず、Live Data Mapで、クライアント企業が使うシステムを把握し、どれが個人情報かを把握します。このプロセスからデータの場所とデータを移す場所を把握します。
次に、クライアント企業が使っている異なるアプリケーション全てをつなぐプレビルトコネクターを構築しました。これにより企業が使用している、様々なシステムをつなぐことができ、消費者は企業が持つ自身の全ての個人情報にアクセスができます。
最後に、消費者とコミュニケーションするシステムをつなぎます。現在はプッシュ通知やアンケートといった消費者と関わる窓口が多くあります。企業はこれらの窓口を扱うため、様々なシステムを使用しています。データを管理するためには、企業はこれらのシステムにある様々なデータを中心的に管理することが必要になってきます。われわれはそれに対応するため、これらのシステムを繋ぎ、消費者がより自身の情報を管理しやすいようにしました。それによって企業全体のプライバシーリスクも下げることが可能になります。
―どのようなビジネスモデルでしょうか。
数年単位の契約によるSaaSプラットフォームです。顧客は大企業や中堅企業が多いですね。
―強みはどこにあると考えていますか。
従来、プライバシーポリシーは法律事務所がフレームワーク作りを主導し、人手によるインタビューや調査を通して存在するデータを把握してきました。しかしここには膨大な数の人間が関わります。人間はミスをするもので、人手ではヒューマンエラーのリスクが高いです。個人情報管理はごくわずかでもミスがあれば致命的なことになります。
プライバシー規制はグローバルな課題
―今後のビジョンについて教えてもらえますか。
今年から国際展開を始めようとしています。今年の後半には欧州とAPAC(アジア太平洋)に事業拡大しようと考えています。現在そのプロセスを進めているところです。2018年5月25日にはGDPR(EU一般データ保護規則)が導入されました。プライバシー規制はグローバルな課題です。私達が力になれると考えています。
私は日本市場を大変気に入っています。2009から2011年に同志社大学でMBAプログラムに通っており、その時の友人が多くいます。2014年には東京でEメールサービスプロバイダー事業を行ったことがあります。日本は特にテクノロジーに対してとても受容的な市場だと気付きました。日本への進出も目指していきたいです。日本企業との協業にも期待しています。