スタートアップ業界で20年の経験
――どのような経緯でCreatorIQに参画したのですか。
20年間、急成長分野のスタートアップで仕事をしてきました。20年前に参画した検索連動型広告のOvertureは16億ドル規模でYahoo!に買収され、次に入ったオンライン教育のスタートアップAcademy123はDiscovery Communicationsに、CFOを務めていたFandangoという会社はComcastに買収されました。
その後、インフルエンサーマーケティング領域のMachinimaという会社に入り、その会社はワーナーブラザーズに買われるのですが、ここでCreatorIQのことを知りました。
データベースに1700万人のインフルエンサー
――CreatorIQはどのような製品を提供しているのですか。
CreatorIQは、企業がインフルエンサーマーケティングを管理し、最適化するプラットフォームを提供しています。我々のデータベースには1700万人のインフルエンサーが登録されていて、住んでいる場所や性別、関心、影響の及ぶ視聴者数などに応じて検索ができて、キャンペーンに応じたインフルエンサーを見つけることができます。
インフルエンサーに連絡をしてキャンペーンに参加してもらい支払いをしたり、服や靴のサイズなども登録されているので試供品を提供して試してもらったりという一連のワークフローもプラットフォーム上でできるようになっています。インフルエンサーに投稿してほしい写真を送ることもでき、投稿がされたあとは、何人が「いいね!」押したか、何人がシェアしたかといった情報も分析できます。
Image: CreatorIQ 媒体・興味・読者層など様々な切り口でインフルエンサーを検索できる。
――多くの大手企業が御社のプラットフォームを利用しています。その理由は何でしょうか。
顧客は主にブランド企業で60ヵ国に渡り、Amazon、Unilever、Disney、Mattelといった大企業が使ってくれています。私たちの強みは6年前にスタートして以来、エンタープライズの利用に適した技術を提供してきた点です。私たちのCEOは技術者で、他の企業でCTOとして膨大なデータを扱ってきました。
現在、数百社の顧客がいて、各社が投下予算を増やしています。創業時からARR(年間経常収益)は毎年倍増しています。
日本ではすでに楽天やアマゾンジャパンは顧客ですが、来年には東京でフルタイムのチームを雇いたいと思っています。
誰もがインフルエンサーになりえる時代
――今年5月、シリーズCの2400万ドルの資金調達にも成功しました。調達した資金をどのように活用しますか。
1つは、製品への投資を継続し、製品の機能を向上させることです。データ分析の精度を上げて事前予測を可能にし、顧客に対してレコメンドできるようにします。第2に、ワークフローをさらに向上させ、自動化させていきたいと思っています。そして3つ目は、サードパーティとの統合です。パートナーとの連携を強化することで、より多くの機能をクライアントに提供することができます。
――新型コロナウイルスによりビジネスにどんな影響がありますか。
我々自身が在宅勤務に慣れていなかったり、顧客の方も契約に今までより時間がかかったりはしましたが、夏からは非常に堅調です。長期的に見て、インフルエンサー領域、つまりSNSや個人の影響力は今後どんどん大きくなっていくと思います。有名人でなくても、家族や友達に影響を与えるという意味で、誰もがインフルエンサーになりえます。引き続き、成長が期待できる領域です。