Uberのモニタリングシステムを構築
―まずはChronosphere設立の経緯を教えていただけますか。
私は、配車アプリ「Uber」などを運営するUber Technologies(以下 Uber)でエンジニアリングマネージャーを務めていました。当社のもう一人のCo-founderもUberのエンジニアでした。
2015年の話ですが、他の企業と同様に、Uberもクラウドネイティブアーキテクチャに移行していました。そして、モニタリングシステムとメトリクスの問題を抱え、私たち社内のエンジニアチームがその解決に取り組んでいました。多くのデータが生成されているのに、作成中のデータも含めデータをストア(保存・蓄積)できるツールがなく、GoogleやFacebookなどの大手テクノロジー企業は自社でツールを開発していました。そこで、Uberでも同じように社内でツールを作ることになり、それが、オープンソース式で開発したメトリクスプラットフォームM3です。
私たちはUberで、3年かけてこのプラットフォームをスケールアップし、世界最大規模のモニタリングシステムの構築に成功しました。そして、それを区切りにUber社を退職し、コアソース技術を活用した製品の提供を通じて、Uberと同じ様にモニタリングシステム問題を抱える企業を支援するためにChronosphereを設立しました。
低コスト、高拡張性、最高の信頼性で他社に差をつける
―Chronosphereのサービスは、M3プラットフォームを使っているということですね。サービスの特徴について教えてください。
そうですね、オープンソースのM3プラットフォーム上に、セキュリティやアクセスコントロール機能、リソースコントロール機能と、メトリクスやアラートのダッシュボードをワンクリックで生成する自動機能付きの可視化ツールを加えた、独自の製品を提供しています。
現在はSaaSとして提供していますが、クラウド環境ではなくハイブリッド環境を使っている企業を対象に、オンプレミスでの提供も予定しています。
―他社との違いを教えてください。
当社の製品は、他社製品より費用を大幅に削減しながら、40から50倍のデータをストア(保存・蓄積)することが可能です。また、複数のクラウドプロバイダー上で実行できるため、一つのクラウドプロバイダーの機能が停止したとしても、我々の製品は問題なく稼働し続けます。大手企業が重要視する信頼性もこれで担保しています。
技術スタックが世界中の大企業のニーズに応える
―御社のサービスを使っている日本企業はいますか。
非公開で配信しているベータ版を使っている日本企業が2社いたと思います。SaaSなので、世界中に顧客がいます。技術スタックを使っている企業であれば、国に関係なく当社の製品をご利用いただけます。
―日本の読者にメッセージをお願いします。
モニタリングプラットフォーム市場は企業数が多く、顧客の選択肢は多くあります。しかし、大企業のニーズに応えるサービスはまだ少ないです。
私たちには、Uberが使っているモニタリングプラットフォームを開発した実績と経験があります。そして、更に改良した可視化ツールや各種コントロール機能を揃えた当社の製品は、業種に関係なく、技術スタックが複雑で生成データ量が多い大企業において有用で、ニーズに応えるものだと考えています。