ブロックチェーン上の悪意あるアドレスを検知し犯罪を抑止
―Chainalysisの事業内容を教えてください。
政府機関や金融機関に対して、コンプライアンス管理と調査のソリューションを提供し、ブロックチェーンで何が起きているのかを可視化しています。たとえば、誰が管理しているのか知りたいビットコインのアドレスがあるなら、我々のソリューションを使えばいい。データからその誰かを見つけだすことができます。
―調査に際しては、Chainalysisのソフトはどう機能するのでしょうか?
我々のソフトで調査することで、資金の流れに関するフロー図を作ることができます。たとえばビットコインのアドレスらしき手がかりを持っているなら、それをペーストすることで、資金の流れが表示され、それをたどることで管理者についての情報を見つけることができます。
―具体例を挙げてもらえますか?
大規模なビットコインが消失し破綻したMt. Gox(マウントゴックス)の事例があります。私は破産管財人と協働し、Mt. Goxのデータベース全体にアクセスし、データベースを我々のソフトウェアに落とし込みました。そしてデータベースに記録されていない、交換外のトランザクションを見つけることができました。それは仮想通貨が盗まれたか少なくとも記録されていなかったことを意味します。
私はデータベースを比較し、Chainalysisのソフトウェアを使ってその後の資金の行方を追跡しました。失われたのは約800,000ビットコインであることを突き止め、それぞれの交換履歴を追跡し、一部はMt. Goxに戻りました。
―収入はどのように得ているのですか
基本的にはSaaSのモデルです。政府機関などに対してはユーザーごとに1年契約でサービスを提供しています。仮想通貨交換所のような民間セクターである場合は、APIでサービスを提供し、トランザクションごとに請求します。
日本でのマーケット拡大に大きな関心
―Chainalysisを起業した経緯は何でしたか。
量子力学の博士号をとり、長年にわたりヨーロッパで研究に携わってきました。2011年、ビットコインに強い関心を抱き、ビットコインの世界に飛び込みました。2013年、サンフランシスコの仮想通貨交換所のKrakenに加わり、COOとして仮想通貨業界で経験を積みました。2014年にはKrakenをより大きな企業にしようと銀行や役所に熱心に働きかけ、その際、仮想通貨産業の最大の弱みは,コンプライアンスのソリューションがまったく存在せず、また調査する方法がないことだとわかりました。私は、それこそ本当に解決すべき問題だと考え、2014年にChainalysisを立ち上げたのです。
―日本企業との連携について考えを聞かせてください。
私たちはすでにいくつかの日本企業に販売をしており、日本市場の開拓に関心を持っています。2019年後半には、日本にもスタッフを置くつもりです。