企業内のセキュリティとネットワークサービスを1つに融合するという画期的なアイデアをソリューションにした企業がある。2015年にイスラエルで設立されたCato Networksは、現在日本では、資生堂、ライオン等で導入されているSASE(※Secure Access Service Edge)プラットフォームの開発者である。共同創業者であり、30年にも渡る業界経験を有するShlomo Kramer氏が取材にこたえた。
※バラバラに存在するネットワークセキュリティサービスを包括的に管理する新しいフレームワーク

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全く新しいクラウド型のセキュリティサービス

――まず御社のサービスについて詳細を教えてください。

 Cato Networksは、SASEプラットフォームを提供しています。SASE(サシー:Secure Access Service Edge)とは、もともと2019年にガートナー社のアナリストによって作られた略語です。当社は、MPLS技術に依存する既存のアーキテクチャを刷新し、全く新しいクラウド型のセキュリティサービスを提供しています。

Shlomo Kramer
Cato Networks
Co-Founder & CEO
Tel Aviv Universityの学士課程で数学を専攻、The Hebrew University of Jerusalemの修士課程でコンピューターサイエンスを専攻。1993年にCheck Pointを設立後、15社以上で投資家兼取締役を歴任。2014年にネットワークセキュリティ企業Impervaを設立し、CEOに就任。2015年にCato Networksを共同設立し、CEOに就任。

 ユーザーは、ネットワークのセキュリティをクラウドサービスの恩恵として享受することができ、安全で適切な環境でアプリ開発等を行うことができるようになります。本来、この業界は数千億円規模に上る市場で、通信会社やMPLS、一部のベンダーによって管理されていましたが、私たちは、本業界にAWSに匹敵するようなサービスを持ち込もうとしており、この改革のトップランナーだと自負しています。

Ciscoなどの大手と競合。法人向けに強固なプラットフォームを開発

――どのような点で差別化を図っていますか。

 世界中にまたがる数千もの法人向けにネットワークセキュリティサービスを開発するのは至難の業です。アプリケーションレベルでは非常に信頼性がなくてはいけません。昨今主流となったビデオ通話などは、安定して24時間毎日世界中のどこでもシームレスに動く必要があり、さらに安全性も保たれなくてはいけません。私たちは、世界で初めての、そして世界で唯一のシームレスなSASEプラットフォームを開発した企業だと自負しており、Palo Alto Networksや、Ciscoといった大手企業が競合相手です。

 AWSのようなサービスでクラウドアーキテクチャを設計するのと、クラウド上で自社のサービスをホストするのは全く異なります。クラウド上でホストするシンプルさや、柔軟性などユーザーにもたらす価値が全く違うのです。またオペレーションコストの点でもシンプルさが勝ります。私たちには強固なソリューションがあり、他のスタートアップとは競っていません。相手にするのは大手企業です。

――今後の目標は何でしょうか?

 主に3つの戦略的な目標があります。1つ目は、より大規模な顧客の獲得を目指す営業活動です。規模の大きい法人向けのソリューション開発はうまくいっており、投資もたくさん行っています。

 2つ目は、セキュリティ保護の追加機能の提供です。次の数週間で様々な機能がローンチされますが、過去2年間で行った投資の成果が来年にも発表される予定です。

 そして最後に、可能な限り多くの提携を組むことです。私たちはチャネルパートナーシップを採用しています。私たちの収益の77%はチャネルパートナーから入ってきます。次の四半期で非常に期待値の高い結果が出るでしょう。

MSPやCSPとの提携に意欲。日本でも導入が進む

――具体的にどのような企業と提携したいと考えていますか?

 MSP(マネージドサービスプロバイダ )です。私たちは、従来のMPLSの代替となるような収益源を業界に持ち込みました。もともと大手通信会社の存在のせいで、MPSは私たちのようなサービスは受けられずにいました。

 私たちのサービスは、業界のどのソリューションよりも優れた営業利益を弾き出しています。大手のCSP(クラウドソリューションプロバイダー)にも同様のことが言えます。私たちはどのような提携の形でも、顧客に価値を提供することができます。

――日本でも展開しているそうですね。

 日本でも、マクニカがディストリビューターとして私たちのソリューションを提供しています。日本に強力なチームを置いており、私たちにとっても非常に重要な市場となっています。

――総額500億円超の資金を調達していますが、調達した資金の使い道は何でしょうか?

 調達した資金の多くはまだ銀行に預けてあります。会計的な安定性は、私たちと提携を希望する会社にとって魅力的な部分となるでしょう。主に来年からですが、非常にアグレッシブに海外展開を行う予定です。

 また、既存のマーケットでサービス展開を図るとともに、より大規模な法人向けにサービスを展開する予定です。そのためにはより多くのエンジニアを雇い、ソリューションもより強固に、よりシンプルに、拡張性を持たせなくてはいけません。

 将来的に株式上場するのが目標で、今はそれに向かって進んでいます。

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