ラジオはこれからハイテクになる
―どんなビジョンで、サービスを提供していますか。
オーディオプラットフォームを提供しています。私たちは、オーディオ革命の中心になっていきたいと思っています。人々がメディアや情報にアクセスする方法は、近年大きく変化してきていますよね。新聞からTwitterへ、テレビからYouTubeへ、雑誌からInstagramへ。
でも、ラジオについては、いまだに皆ラジオを聴いているんですよ。この領域も、もっと近代化され、個別化されたハイテクのプラットフォームに置き換わっていくと信じています。私たちはその中心で、ユーザーが聴きたいコンテンツを簡単に検索して、アクセスし、作っていくことができるようなプラットフォームでいたいと思っています。
―ユーザーはCastboxを使ってどのようなことができますか。
ポッドキャストを含む様々なオーディオ形式で9500万のコンテンツを提供しています。この中にはオーディオブックやラジオコンテンツのようなものも含まれています。使う人によってオススメを表示し、お気に入りのコンテンツが簡単に素早く見つけられるようにしています。
オーディオの中で言及されているキーワードを検索することもできます。たとえばシリコンバレーについて会話している音源で「シリコンバレー」と検索すると、「この音源の何分何秒の場所でシリコンバレーという単語に言及しています」ということまでわかる。世界中でこれができるのは現時点で私たちのプラットフォームだけです。
コミュニティ形成を手助け。ミニクラウドファンディングも可能に
―配信する側にはどのようなサービスを提供していますか?
ポッドキャスター側にユーザーからのアクセスを増やすための手助けもしています。無料で分析ツールも提供していますし、ユーザーを維持するためのコメント機能も備えています。ただのツールではなく、コミュニティを形成できるようなコメント機能の充実に注力しています。
さらに、ブロックチェーンを使って、この産業を根本的に変えようとしています。デジタルコンテンツに対するマイクロペイメントを安価なフィーで実現しようとしています。
―マイクロペイメントを使うことで、具体的にはどのような事例が考えられますか?
たとえばポッドキャスターが、あるショーを計画したいというときに、そのためのお金を調達するのはこれまで大変でした。ベンチャーキャピタルに行っても興味を持ってもらえないかもしれないし、寄付を募っても寄付をしてくれた人に還元することもできない。
でも、ブロックチェーンを使えば、ミニクラウドファンディングのようなことができます。たとえば、シーズン1を配信したものについて「こういうアイディアがあるんだけど、シーズン2をやるにはお金が必要なんだよね」とフォロワーに呼びかけ、お金を集め、その人たちに対して実際に配信されたときに視聴できる権利を自動的に提供できるようになります。
―クリエイターを支援するプラットフォームでもあるわけですね。
はい、これによってクリエイターたちができることが非常に広がっていくでしょう。Premium Paywallというクリエイターがプレミアムコンテンツをユーザーに売ることができるサービスも次の四半期で始める予定です。
たくさん売ることができるクリエイターだけではなく、100〜200名のユーザーを持つ小規模なクリエイターもお金を得られるようなプログラム提供も2019年には始めようと思っています。クリエイターがマネタイズできることが先決です。
Image: Castbox
日本の通勤が起業のきっかけ
―どうしてこのビジネスを始めようと思ったのですか。
実は日本に住んでいたことがあり、通勤時間が長かったことがきっかけです。それで何か通勤中に聞きたい、音楽だけではなく何か情報を耳から入れたいなと思って、英語や中国語のコンテンツが聞けるものやお勧めをしてくれるプラットフォームを探しました。
アップルユーザーにはiTunesがあったけれど、当時私はアンドロイドのスマホを使っていて、アンドロイド向けのアプリでは似たようなものがなかったのです。それで自分で作ることにしました。日本より中国のほうが起業しやすい環境だと思ったのでまず中国に戻り、自分の住んでいた家を売って起業したのです。
―日本市場への関心はありますか?
日本でもこの分野はエアポケットになっていると思います。たとえば私の日本の友人は、子供に英語や日本語で読み聞かせをするコンテンツを探していると言っていました。もし日本で良いパートナーが見つかれば、ぜひ組みたいですね。Castboxで配信してもいいコンテンツの著作権を保有しているパートナーがいれば、海外での配信のお手伝いもできます。