Cadreは、データエンジニアリングで裏付けを得た事業用不動産物件を、不動産投資のプロが選定し紹介、投資、不動産取引や資産管理も行えるプラットフォームを個人投資家にも提供している。今回は、FinTechのリーダーでもあり、Real Estate Techで不動産投資を改革する、同社Co-Founder & CEOのRyan Williams氏に話を聞いた。

事業用不動産投資の「不便」をテクノロジーで解決

―まずはCadre設立の経緯を教えていただけますか。

 私は、大学在学中に、アトランタで最初の戸建て住宅を購入し、そこから不動産ビジネスを立ち上げました。また金融関連の団体を立ち上げ、学部生とビジネススクールの学生たちをつなげる役割を果たしました。この団体を通して不動産やプライベート・エクイティ、セキュリティにおける新しい財務カリキュラムを教えました。Cadre設立前は、ブラックストーングループ(The Blackstone Group)で不動産とプライベート・エクイティ投資を担当していました。学生時代から一貫して、不動産、金融サービスとテクノロジーが交差する分野で経験を積み、その集大成としてCadreを設立しました。

 Cadreは、個人投資家も投資できる、テクノロジードリブンな不動産投資プラットフォームです。不動産投資は富を築ける有効な手段ですが、大規模な機関投資家以外にとっては、参入障壁があり、手を出しにくいものでした。Cadreは、利益が出やすい事業用不動産への投資機会を、個人投資家や規模に関係なく機関投資家に提供しています。

Ryan Williams
Cadre
Co-Founder & CEO
2010年にHarvard College卒業後、Goldman SachsおよびThe Blackstone GroupにてInvestment Professionalを務める。2014年にCadreを共同で設立。2016年、Top 100 Influential Fintech Leadersの一人に選ばれる。
 

独自に流通市場を作り、不動産投資の流動性リスクを軽減

―Cadreのプラットフォームについて詳しく教えてください。

 Cadreは、ファミリーオフィスや団体などを含めた富裕層と個人投資家を対象としたプラットフォームです。不動産投資において経験豊富な当社のチームメンバーが、投資機会を評価し、キュレーションし厳選した事業用不動産物件を紹介しています。ご紹介する物件は、集合住宅、オフィス物件、ホテルや商業施設などがあり、これらは通常であれば個人投資家は投資できない物件ですが、当社のプラットフォームでは、不動産の所有権を部分的に買うことができ、売ることも可能です。

―従来の不動産投資とどういった点が違うのでしょうか。

 そうですね、まず手数料が安いです。従来の不動産やプライベート・エクイティ・ファンドと比べると、手数料が最大30%安くなる可能性があります。次に、独自に流通市場を作り、物件の流動性を高めました。当社のプラットフォームでは、投資から1ヶ月後には取引が可能です。従来のファンドですと、投資後数年間は物件を売ることができません。

 他には、会員自身が投資物件を確認できるインターフェースを提供しています。これにより、取引の透明性が保たれ、従来の投資で発生するミスアライメントの減少につながっていると考えています。

―投資先の選定はどのように行っているのですか。

 当社には、400以上の事業パートナーのネットワークがあり、特定地域における不動産投資経験が豊富な社内のチームが、データを用いて、レバレッジを重視し、投資物件を選定しています。そして、データエンジニアリングを活用しオープンデータやサードパーティデータから、よりよい投資決定をより迅速に行っています。

米国内の物件に、世界中から投資が集まる

―今後の目標として海外展開も視野に入っていますか。

 当社の事業は成長と拡大を続けています。現在の投資対象は、米国内の不動産物件に限定していますが、米国外の投資家も当社のプラットフォームで取引が可能です。日本の皆様にも是非当社のプラットフォームをご利用いただき、米国の個人投資家と同じように恩恵を受けて欲しいと考えています。



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