楽天執行役員としてアジア市場に触れる
―どのような経緯で起業をしたのですか。
FreeCauseというノンプロフィット事業の資金調達を援助するテクノロジー企業を友人とともに起業したところ、楽天がテクノロジーパートナーとして投資してくれました。その後、楽天はそのFreeCauseを買収しました。私はそのままFreeCauseのビジネスを楽天内で運営し、また楽天本体の投資関連の事業にも関わるようになりました。
日本の仲間は大好きだったのですが、米国で妻との時間も取りたく、日本を離れることにしました。でもこの時、特に中国などのアジア市場に触れたことが刺激となり、起業することにしたのです。
―中国の市場に触れたことで何を感じたのでしょうか。
大きくてインパクトを与えるビジネスをするには、その市場でのトレンドをつかみ、人々が好きな素晴らしい商品を売ることが大事です。スマートフォンが普及する中でオンデマンド経済が立ち現れていたこと、そして中国では欧米と異なりPC革命を経ずにいきなりスマートフォンでデジタル化されていくことを肌で感じていました。
そこで、企業向けに、単にアプリやモバイルサイトに広告を打つのではなく、すぐに取引を開始してお金を生み出せるようなプラットフォームを作りました。
広告ではなく購入に直結
―Buttonのサービス内容を教えてください。
アプリ同士を滞りなくつなぐ、アプリ間ディープリンクを提供しています。たとえば誰かがどこかへ行こうとしているや何かを買いに行こうとしていると、自動的にButtonがライドシェアアプリのダウンロードへ導きます。我々はユーザーの目には見えないテクノロジーレイヤーの役割を果たし、アプリのユーザーが簡単にアプリをダウンロードし、ライドシェアを利用できるようにしています。
―具体的にはButtonでどのようなことができるのでしょうか。
たとえば、あるブランドの服について記事を読んだりインフルエンサーがコメントしているアプリから、すぐに商品を購入できます。地図を見ているときに、そこから直接Uberを頼むことなどもできます。
SamsungPayとも提携していて支払いの履歴も小売側が生かせるようになっています。SamsungPayのような決済側が5〜10%の手数料を取り、私たちはそれより少ない比率の手数料をもらうビジネスモデルです。
2020年には日本にローンチ
―海外、特に日本市場への展開をどう考えていますか。
2020年に日本市場にローンチできるよう、今年中に日本市場への拡張に向けた人材発掘や投資をはじめたいと考えています。楽天での経験から、バイリンガルの優秀なカントリーマネージャーが必須だと感じています。日本の大きなプラットフォーム企業や決済関係を担える金融機関との戦略的パートナーシップも考えています。