今四半期に注力すべき案件や成約可能な案件を特定
――まずはAvisoの製品について教えてもらえますか。他のCRMとはどんな違いがあるのでしょう。
今使われているCRMは、単一のシステムあるいは、単一のデータベースとしてデータを管理するツールか、営業担当者のワークフローを最適化し付加価値を高めるオペレーティングシステムのいずれかです。
企業の担当者が取引を進めるためにどのような支援が必要か? リスクを軽減するためにどのように予測すればいいのか? 顧客の営業担当者が「Avisoを使うと、より早く、より大きな取引ができる。時間を適切に配分できる」と体感できるようにするには? Avisoはこうした考えのもとで構築した、営業担当者用のオペレーティングシステムとプラットフォームです。AIを使い、販売サイクル全体を効率化したり、営業活動の成果を高める様々な機能があります。
――具体的にどんな機能があるのでしょうか。
販売サイクルにおいて、営業担当者が見込み顧客に商談を行うSQL(Sales Qualified Lead)と見積から契約締結までの間で、重要になるポイントは違います。
SQLの段階では、どのリードが実際の取引につながるのか、注力すべきリードを判断します。Avisoは、独自の機械学習アルゴリズムと時系列データベースを使い、トップダウン営業あるいはボトムダウン営業のどちらの場合でも、次の四半期において注力すべきリードを予測し、見通しを立て、分析します。例えばDell、Honeywell、Splunkなどの主要顧客は、過去20四半期連続で98%以上の精度で、今四半期に注力すべき案件や成約可能な案件を特定することができました。
他には、顧客のデジタルアイデンティティー確認機能があります。これは、例えばLinkedInに登録されているAさんが、CRMシステムに登録されているAさんと同一人物かを確認します。新型コロナウイルスの影響で、対面での商談ができなくなり、営業活動がデジタル化しました。当社のデジタルアイデンティティー確認機能は、こうした変化に応えるものです。
また現在のパンデミック下で、実際に対面で営業ができない状況を踏まえ、当社はバーチャル営業ルームも提供しています。営業のデジタル化を進めているのです。
売上150%、顧客獲得数200%の急成長の背景
――ターゲットにしている特定分野はありますか。
製薬会社は医療従事者とのコミュニケーション方法を特に大幅に変えなければなりませんでした。製薬会社向けソリューションを新たに提供し、大きな反響を得ています。
従来からのメイン顧客層は、大規模なハイテク企業や、顧客と効果的にコミュニケーションを取り、消費量や需要を正確に予測し、サプライチェーンを最適化したい企業です。
また最近では、金融サービスにも進出しています。大規模な金融企業に対して、AIを使い、顧客や消費者のデジタルアイデンティティー管理の支援や、既存製品の中からより高額な商品の販売につながる、次に取るべきアクションの提案を行っています。
――どんなビジネスモデルをとっているのでしょう。
SaaSで、月額の利用料をいただいています。このモデルはOracleやSalesforceなどと変わらりませんが、当社がユニークなのは、当社のソフトウェアを使っていなければ利用料を支払う必要がないということです。当社のソフトウェア利用率は、週平均で96%、月平均で98〜99%ですので問題ありません。しかし、「私のソリューションを使わないのであれば、お金を払わなくてもいい」と自信を持って言えるプロバイダーは他にはいないでしょう。
――今期の売上や成長率など教えてもらえますか。
売上は、今期末には昨年比で150%増、新規顧客の獲得数は200%に達する見込みです。当社のソリューションはこの1年半で大きく変化しました。より多くの企業に興味を持っていただけるようになり、大幅な成長を遂げました。
日本市場に取り組まずして、グローバル企業を名乗れない
――今後の目標として日本での展開も視野に入っていますか?
個人的に、日本はとても懐かしい場所です。私は、幼少期に日本で過ごしたこともありますし、日本語も話せます。日本の歴史にも詳しいです。特に戦国時代に興味があり、武田信玄は私の英雄で「風林火山」という言葉が大好きです。
Avisoにおいて、最高の目標に向かい努力する実力主義を企業文化として作ってきましたが、日本的な価値観に基づき、最高の目標を達成するためにチームとして効果的に働ける人材も重要だと考えています。
日本は当社にとって、主要ターゲット地域です。日本はAIや機械学習を受け入れ、自らを再発明している時期にあります。今後1年以内の進出を目指します。私は、日本市場に取り組まずにグローバル企業を名乗れないと考えています。