Amazon EC2での経験がきっかけ
―どのような経緯でビジネスをはじめたのですか。
前職でAmazon EC2(クラウド上の仮想サーバー)の担当をしており、月末に顧客がクラウド利用の費用がびっくりするほど高額になっていることに不満を持つという問題に直面していました。この問題を解決できないかと仲間とともに起業しました。今のCTOはAmazonに11年勤めていたベテランでした。
クラウドにシェアリングエコノミーを
―どのように問題を解決しようとしているのですか。
クラウドコンピューティングのシェア・エコノミーを実現したいと考えています。Google Cloud、 Amazon Web Services、 Alibaba Cloudなどの大きなプレイヤーは巨大なサーバーを持ち、顧客にそれを再販売するビジネスモデルを展開しています。
ただ、いまや「データセンターは死んでいる」と言われているように、多くが稼働率の低さに直面しています。たとえばサンフランシスコのあるデータセンターを訪れたところ、9%しか使われておらず、91%は顧客を待っている状態でした。通常1、2社しか顧客がおらず、移転などがあると急に80%の利用が失われたりするのが現状なのです。なので、私たちは、自分たちで資産を持たずに、グローバルなネットワークを作り、市場を作れたらと思いました。
Win-Winの関係築く
―どのようなビジネスモデルなのですか。
値段はダイナミックプライシングモデル、つまり需要と供給で、需要が高いエリアについては値段も上がるモデルにしています。これにより、利用側はAmazonのサーバーの半額程度で使うことがえきますし、サーバー側も無駄を減らすことができ、Win-Winの関係を作れます。
最初の製品はDCCN(Distributed Cloud Computing NetworkまたはData Center Computing Network)といって、今はデータセンターに焦点を当てていますが将来的にはクラウドを個人の機器やモバイルフォン、IoTデバイスなどに提供していきたいと思います。ブロックチェーンでクラウドの請求を計測や契約をできるようにしています。5Gネットワークによって、モバイルフォンでも、もっとデータの行き来が活発になるはずです。
米国と中国はリスクが高い
―海外展開は考えていますか。
実は私たちは他の米企業と異なり米国市場にフォーカスはしていません。米国と中国は多くの顧客がアリババかAmazon、Googleを利用しているので、こうした巨大プレイヤーと競合するコストは高くつき、リスクが高いと考えています。
むしろ、ベトナム、インドネシア、インド、日本や韓国などを市場として考えています。日本企業ともすでに話をはじめており、APACエリアへの進出を考えています。個人のデータサイエンティストやデベロッパー、中小規模の企業からのニーズもこれから増えていくと思っており、こうした層がターゲットになります。