企業と消費者の双方に貢献する、人事専門AIアシスタントサービス
―まずは御社のビジネスについて教えてください。
我々が起業する際、あるビジョンがありました。明確なビジネスモデルでBtoBの仕事をするとともに、消費者に対しても直接的な影響力を持つ会社でありたいというものです。その両者を同時に達成できる分野が、人材業界でした。
当初、我々は専門外で知識不足だったので、まずは実際に人材派遣会社を立ち上げてみました。半年間で、色々なことがわかりました。まずはメールやウェブの入力フォームよりも、テキストメッセージの方がやりとりしやすいということ、人間の手による作業には量的に限界があること。そして、その仕事の多くがAIによる機械で自動化できる、ということです。その経験を形にしたのが、AllyOなのです。
―AllyOについてもう少し具体的に教えていただけますか?
社名でもあり、看板商品でもあるAllyOは、採用チームの一員として人材雇用や人事管理に携わるデジタルワーカーです。入社希望者と直接会話して適切な仕事を紹介したり、数学や文法、一般常識などの簡単な試験を実施したり、面接のスケジュール調整を行ったりします。転職してくる中途採用者はたいてい、終業時間を過ぎてから就職活動を行うので、リアルタイムで回答してくれるAIがいれば、連絡待ちや返事待ちなどの時間を短縮できます。
また、採用後も仕事の悩みや問題点などの相談窓口となり、人材担当者にフィードバックしてくれるので、なかなか一人ひとりの社員と向き合うことが難しい企業にとって、問題の早期発見につながり、社員流出防止対策になります。
―採用担当者、応募者の双方にメリットがあるのですね。収益モデルはどうなっているのでしょうか?
年間契約のSaaSモデルです。料金は会社や人材雇用の規模、AllyOがどれだけの役割を果たすか、によって決まります。最先端の高性能テクノロジーなので、価格は安くはありませんが、それだけの価値はあると自負しています。
Image: AllyO
デジタル後進分野である人材部門の成長と拡大を目指し、世界へ
―競合はいますか?また他社にはない、御社の強みはどのような点でしょうか?
我々と同じようなサービスを提供している企業はないと思います。それより我々にとって最大の課題は、むしろこの業界自体を教育し、成長させていくことです。営業や開発などの部門にはハイテクが使われていますが、採用や人事部門は置き去りにされがちです。従業員の仕事を見ても、多くの場合、ただ受話器を握って同じ質問を繰り返すばかりです。仕事の自動化やハイテクの導入の必要性や成功事例を確立し、この分野を育てることがまずは必要です。
―これから先が楽しみな分野ですね。次に、御社の将来的なビジョンについて教えてください。
採用から退職に至るまで、人事関連業務を総括的にサポートするコアアシスタントにしていきたいですね。対応業務を広げて大企業もターゲットにしていきたいと思います。
あとは、これまで通り会社拡大に尽力していきます。ここまで、年間成長率は450%程度を維持していますから。国際展開の一歩も踏み出したところで、ちょうと先日オーストラリア支社をローンチしたところです。
―国際展開が始まったとのことですが、日本市場への参入はどのように考えていますか?
今はまだ日本をはじめ、インドや中国といったアジアの企業とは取引していません。ただ、日本はとても魅力的な市場ですので、前向きに考えています。システム的なローカライズだけでなく、文化などへの理解を深め、ニュアンスを取り込んでいくことが重要だと思います。