AWSをはじめとするクラウドで簡単にサーバーレスを使いアプリ構築
――まず御社の提供するサービスについて教えてください。
Serverless Stackでは、スタートアップ企業がAWSでサーバーレステクノロジーを使いアプリを設計するのをサポートしています。
AWS以外にも、クラウドサーバーを提供する企業は数百もの追加のサービスを展開していますが、その中の多くはサーバーレスの性質を有しています。サーバーレスは拡張性の問題を気にせず、チームが小さくてもマシンラーニング等のモデルを設計することができます。
Image: Serverless Stack HP
ただ、これらのサービスは使いこなすのが難しく、学ぶのに時間もかかります。そこで私たちは、スタートアップ企業がAWSをはじめとするクラウドサービスでサーバーレスのテクノロジーを駆使して簡単に設計を可能とするよう助けているのです。
――起業のきっかけは何でしたか。
もともとは大学時代に遡りますが、私ともう1人の共同創設者は当時ルームメイトで、何事も一緒にやってうまくいっていました。
2010年ごろ、2人でTwitterのツイートを分析するマシンラーニングアルゴリズムを設計しました。その製品が気に入られ、多数のユーザーを獲得したのですが、サーバーを維持しUX面での問題を防ぐため、より拡張的にする必要に迫られました。2016年にサーバーレス技術に手を出し始め、そのコストパフォーマンスの良さや、拡張性を気にせず設計できる点に惹かれました。
ただ、知識がないと使いこなせないので、私たちはユーザーマニュアルのような電子書籍を執筆しました。電子書籍は瞬く間に広がり、Serverless Stackは、今ではソフトウェアを設計するまでに成長したのです。
オープンソースコミュニティユーザーのために提携を拡大中
――現在どのようなパートナーシップを模索していますか。
私たちの目標はサーバーレス技術を簡単に使用できるようにすることです。現在はDatadog社のような、クラウドモニタリング企業とのインテグレーションを可能にしています。また、クラウドデータベースを使用したいユーザーのために、MongoDB社とも交渉中です。
私たちのオープンソースネットワークにどのようにしてインテグレーションできるか検討しています。アプリを使うにあたり、ユーザーの利便性を向上させられるようなサービスを提供する企業を探しています。
――事業立ち上げから現在までの道のりはどうでしたか。
2017年に電子書籍を出版し、今年2月にオープンソースのサービスを発表したばかりです。なので、ローンチしてからまだ7ヶ月ほどしか経っていません。現時点では、急速に成長中だと言えるでしょう。
オープンソースで作るということは、どのユーザーでも「このサービスはこんな問題点がある」と言われる覚悟で行わなくてはいけません。私たちもユーザーからたくさんの指摘や意見を受けました。振り返ると、私たちは袖をまくり、意気込んでこのプロジェクトに取り組みましたが、もっと早くやればよかったと思いますね。
日本ユーザーも参加。コミュニティを今後拡大予定
――調達した資金の使い道はどのように考えていますか?
私たちのビジョンは、全てのスタートアップがサーバーレスで構築できるような未来を作ることです。小さいチームでも、活用できるようにすることが目標で、資金はそこに充てる予定です。どのようなクラウドサービスを活用していても、サーバーレス技術を駆使して設計できるように業界大手になりたいですね。
――日本を含む国際的な拡大についてはどのように予定していますか。
AWSは日本でも非常に活発に利用されていると思います。また、私たちの電子書籍も日本人の読者が多いですし、オープンソースコミュニティにも日本人ユーザーが数多くいます。翻訳に貢献してくれた方もいました。
サーバーレスに限ると、日本をはじめ、オーストラリア、イギリス等がテックハブとして機能しています。それらの地域がカバーされるよう、これからも改善に努めていきたいと思います。