1980年代から高度なロボットシステムを構築
―御社の設立は1983年で、スタートアップと呼ぶには歴史の長い会社です。どのような経緯で発展してきたのでしょうか。
当社は1980年代初頭、ユタ大学の研究チームが独立するかたちで設立しました。ディズニー向けにヒューマノイドを製作するなど、人間の運動と自然な動きに注目した高度なロボットシステムを構築するとともに、特定の問題を解決するための多種多様なアプリケーションを作ってきたのです。
2015年に現在のCEOが当社を買収し、よりITに特化したサービスにシフトしました。300を超える特許をもとに完成されたのがGuardian S、Guardian GT、およびGuardian XOというGuardianシリーズです。
次世代ロボットGuardianシリーズが造船、原子力、介護、建設などで活躍
―Guardianシリーズの具体的な特徴など、製品について詳しく紹介してください。
まずは、Guardian S。これは駆動型のIoTロボットです。人が入れないような場所で作業するための小型ロボットで、サイズとしては20センチ程度ですが、どんな地形でも自力走行します。強磁性で金属表面に吸着するので、戦車の検査などを行うこともできます。遠隔操作しながら5つのカメラを使った目視検査を実施できるので、石油やガス、建設、鉱業などさまざまな業界で利用されています。
次のGuardian GTには2つのロボットアームがついていて、各アームがそれぞれ最大500ポンド(約227キロ)まで持ち上げることができます。操作方法は少し変わっていて、コントローラーを装着した人間のオペレーターが動作することで、Guardian GTに信号を送信して操作します。たとえば、オペレーターが右手を動かせばロボットの右手が動く、とういうように両者は連動しているわけです。圧倒的に大きな力で細かい作業ができるので、原子力装置などの作業時に使われますね。
―現在開発中のGuardian製品があると聞きましたが?
Guardian XOですね。これは完全装着タイプの外骨格スーツです。これを装着すれば、誰でも200ポンド程度(約90キロ)の重りを軽々と持ち上げることができます。今のところ、こちらはリース契約を念頭に置いています。
―まさに最先端のロボットですね。実際にはどういった現場でのユースケースを想定しているのでしょうか。
Guardian Sは、人間が物理的に入ることができなかったエリアにアクセスできるので、危険な物質やガスなどがある場所で活躍します。ですので、たとえばボイラーのパイプライン検査などに使われます。Guardian GTは製造環境で役立ちます。造船や原子力の現場など、人間が関与することが難しい場が得意ですね。
そしてGuardian XOについては、自動車製造の組立ラインなどを想定していますが、リハビリや介護現場など、ヘルスケア業界にも応用できると思います。患者さんの移動など、今は人力で苦労している作業を、Guardian XOを使えばかなり労力が軽減されるはずです。
―会社として、今後の目標やビジョンはどのように描いているのでしょうか。
まずはGuardian XOのリリースを目指して開発を進めていきたいですね。2020年の前半の商業利用開始を目指しています。ゆくゆくは航空宇宙産業をはじめ、幅広い分野に進出するために今、地ならしをしているところです。
―日本市場への参入はどのように考えていますか?
今後のビジョンを描くなかで、日本の企業とも接点を持ち、具体的に話もしています。ただ、我々はそこまで大きな企業ではないので、今あるリソースでもっともリターンの大きい事業を見極めていかなければならないので、焦らず、進むべき道を決めていこうと思っています。