Image: Planet Labs
農業や各国政府などに航空写真を提供しているPlanet Labs。元NASAの開発者たちがコストを抑えて衛星を作ることに成功し、150個を軌道に乗せて運用している。CEOのWill Marshall氏に聞いた。

Will Marshall
Planet Labs
Co-Founder & CEO
2004年に、オックスフォード大学で物理学博士、ジョージワシントン大学、ハーバード大学でのポスドクなどを経て、2006年から5年強NASAで科学者として働く。NASAでは月探査機LADEEや無探査機LCROSSのプロジェクトにかかわる。2010年にPlanet Labs創業。

他社の10倍の数の衛星

―御社のサービスの特徴、強みはどこにありますか。

 日常的に1ピクセル当たり3~5メートルの航空写真を提供しています。航空写真の会社は他にもたくさんありますが、地球上のどこでも、高解像度の画像をほぼリアルタイムで更新できるようにしたのは私たちだけです。

 300の衛星を作り、すでに298が飛び立っています。これは競合他社の10倍の数にあたります。単体の企業としては最大である150個を軌道上で稼働させています。毎日7テラバイトのデータが世界中の地上の32拠点に送られてきています。機械学習により膨大なデータを解釈するサポートもしています。

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政府やGoogleに提供

―どのように活用されているのでしょうか。

 顧客やユーザーは100か国におよびます。農業、政府関係、商業用の地図作成など様々な用途で使われています。森林関係、消費財、金融などの業種で新たな需要も出てきています。米政府やGoogleも顧客です。サブスクリプションモデルで、必要としているデータの大きさ、頻度などによって利用料が決まっています。

NASAの開発者たちが集まる

―どのような経緯でこのビジネスを始めたのですか。

 私たちはPlanetを立ち上げる前、NASAで月探査機LADEEや無探査機LCROSSのプロジェクトに関わっていました。Planetのゴールは、地球上の命を助けるために宇宙空間を使うというものです。物理学者とエンジニアの小さな集まりからスタートしたのですが、私たちの思いは10年以上の期間と数十億ドルの費用をかけなくても衛星を開発したいというものでした。

 高額な開発費用がかかる衛星のかわりに、ソフトウェアのような反復可能なアプローチをとり、パフォーマンスが高く安価に開発できるようにしました。衛星を小さく安くできたことで、他社よりもたくさんの衛星を作ることができ、ビジネスにつながったというわけです。

Image: Planet Labs

地球上すべての土地を画像に

―今後の展望を聞かせてください。

 日常的に地球上のすべての土地を画像にするというのが一つの大きなマイルストーンです。現在、私たちはデータを分析可能な状態に持っていくことにフォーカスしています。生データから、付加価値を作っていきたいということです。すでにある分析ツールも改善していきます。

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