Image: Next Insurance
Next Insuranceは、個人事業主をターゲットとして、各ビジネスの特徴をふまえオンラインに特化した保険を提供している。契約までに数週間を要する通常の保険と異なり、サイト上で金額の査定ができ、数分の手続きで加入が可能。今回はCOOのSofya Pogreb氏に話を聞いた。

Sofya Pogreb
Next Insurance
COO
コンピュータサイエンスの修士号とMITの経営学の学士号を取得。マッキンゼーに8年間勤務後、北米および南アメリカの両方でPayPalのリスクグループを統括。金融サービスに関するキャリアは15年以上。

オンラインの手続きで柔軟かつ迅速な購入が可能

―Next Insuranceの経営理念を教えてください。

 我々は、良心的でシンプルかつフレキシブルな保険により、個人事業主のビジネスを手助けしたいと考えています。

 今日の保険は高額で、個人事業主には手が届きづらくなっています。購入プロセスが長々として煩わしいのも問題点の1つです。我々はそういった既存の保険ではなく、個々の事業主のニーズに応じた柔軟な保険を提供したいのです。

―保険の購入方法について教えてください。

 オンラインの申込書に記入するだけなので大抵は10分もかかりません。すぐに保険料の査定が始まり即時の購入が可能です。従来のやり方だと契約まで数週間かかるのが一般的ですが、Next Insuranceの場合、10-15分もあれば一連の流れが完了します。

 大半の手続きは、スタッフと直接やりとりすることなくサイト上で可能です。日々の仕事に忙殺されがちな個人事業主が、手続きに多くの時間を割かずにすむよう工夫しています。

―ターゲットはどのような職種でしょう?

 建設関連のプロ、具体的には大工、配管工、造園家などに焦点を当てました。最近ではサービス業の専門家、つまり写真家やパーソナルトレーナーやマニキュアサロン、レストランなどにも対象を拡大しています。サイトを訪れる誰に対しても提供可能なサービスというのが目標で、そのシステムを構築できるよう努力しています。

 損害賠償責任保険も提供しています。写真家を例にとれば、カメラや機器のみならず、すべって転んだ場合のカメラの故障や足を負傷した時などの保証も対象としています。

Image: Next Insurance

―どのようにこれらの保証をカスタマイズしていますか?

 個人事業主たちへのヒアリングや調査によって、彼らがどんなカバレッジを必要としているかを探り当てました。たとえば旅の多い写真家にとっては、ただスタジオや自宅にいる時だけでなく、旅行中の保証が大きな意味を持ちます。化学物質を多く扱う造園業者にとっては、公害に関する保証が重要です。このように、それぞれのビジネスに応じ必要な保証が受けられるようにしています。

―現在の顧客数は?

 1万5000人の顧客がいて日々増え続けています。小企業経営者の顧客の大半は社員数5人以下です。

科学的裏付けをふまえた、手数料なしでの手厚いサービス

―ライバル社との違いは?

 3点あります。まず我々はフィーをとっていないため、利用者が負担するのは月々の料金のみです。我々は中立の立場で本当に優れていると思ったサービスを提供することができるのです。

 2つ目に、我々はデータサイエンスとAI、機械学習を重視しています。豊富なデータがあるからこそ、サービスの最適化と正しい値付けが自信を持って行えるのです。

 3つ目は、顧客とのやりとりを重視していることです。社内エージェントチームを設け、電話やメール、チャットを通じて、利用者からの保険に関する質問や相談に応えています。

Image: Next Insurance

3人の共同創業者が人材を惹きつけ、拡大する市場で急成長

―前職について聞かせてください。

 Next Insuranceには、サンフランシスコのスタートアップのCOOから転身する形で途中入社しました。それ以前はPayPalで北米と南米向けのリスク管理の組織を率いていました。さらにその前は8年間マッキンゼーに在職し、金融サービスのコンサルティングに関わっていました。私自身は金融サービス・リスクデータに長けていると自負しています。

 アメリカでスモールビジネスの保険を改良する余地は大きく、市場規模は約1350億ドルと巨大です。このマーケットにはリーダーや独占企業がおらず、我々は先駆者になれると信じています。

 3人の共同創業者はベテラン揃いで、以前にもチームを組んでスタートアップを立ち上げ、成功に導いた経験を有しています。私はこの会社では2年目ですが、経営陣の経歴と能力がNext Insuranceの大きな魅力だと感じています。入社当時の社員数は20名でしたが、現在は120名となり急成長を続けています。

アメリカの巨大市場を舞台に、日本企業との連携も期待

―グローバル展開の予定はありますか。

 今のところありません。アメリカの市場は非常に大きく、やらなければいけないことは大変多いため、国内の市場に焦点を絞っています。

 十分なシェアを国内市場で得たら、グローバル展開も考えられます。スモールビジネスの保険はアメリカ固有のものではなくどの国にも存在し、誰もが保証と保護を必要としています。



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