オンラインでも、チームでホワイトボードにアイデア出しできる感覚
――まずはMURALを立ち上げた経緯について教えてもらえますか。
私は、2005年にビデオゲーム会社Three Melonsを立ち上げ、2010年にFacebookでサッカーゲーム「Bola」を公開しました。そして同年に、ソーシャルゲームメーカーのPlaydomに買収され、最終的にPlaydomはDisneyに買収されました。「Bola」は公開から2年後の2012年には、約2000万人のプレイヤーが使うゲームに成長しました。
MURALは、ゲームデザイナーだった私自身のニーズから生まれています。まだ深く詰められてない完璧ではないアイデアを、ホワイトボードに下書きするような感覚で使えるツールがほしいと思ったのです。
――MURALはどんなツールで、どういった方々に利用されているのでしょうか。
イノベーションは、最初はひらめきから始まると考えています。MURALは、言わば「クラウド型のひらめき可視化ツール」です。MURALはひらめいたアイデアを可視化でき、共有することができます。こういったツールは特にデザイン思考を重視し、迅速にプロジェクトを進めたいチームには必要なものです。
当社の顧客にはグローバル企業、業界トップクラスの企業が多く、私たちはアクセンチュアやIDEOなど、働き方を改革するコンサルタントと提携しています。
MURALの用途はたくさんあります。デザイナー、エンジニアやプロダクトマネージャーなどが、社内メンバーからひらめきを導き出すため、あるいは問題を解決するため。営業担当者がクライアントとワークショップを行う際に活用するためなどに利用されています。
企業だけでなく、政府機関や地方自治体、そして教育機関で、変化を起こしたいと考えている組織でも、様々な形で活用されています。
――日本人は内向的で、アイデアを共有するのを躊躇するケースもあります。
そうですね。内向的な人も利用しやすいよう、「プライベートモード」という機能を最近導入しました。
この機能を使うと、例えば、Sticky note(ポストイット)に意見を書き込み、ボードに貼り付け、皆で共有する形で行うブレインストーミングの場でも、非公開のSticky noteを作れます。そして、ファシリテーターがいれば、ファシリテーターのみに共有し、全体の場で公開するか判断を委ねることが可能です。
内向的な人に限らず、MURALの利用者は、様々なセッションで経験を重ねることで場慣れし、自信がついていきます。そうすると、より積極的に意見を発し、自信を持ってセッションに参加できるようになります。
Image: MURAL プライベートモードでは、メンバーに非公開の意見を書き込んだり、ファシリテーターのみに共有できる。
日本市場でもチーム組成、本格展開を予定
――日本でもすでにユーザーがいるのでしょうか。
はい、まだ社名は出せませんが、日本企業にもご利用いただいています。パンデミックになってからは、アーリーアダプターに限らず、多くのユーザーがいます。
まだ日本語版はありませんが、日本語でのコンテンツ作成は可能です。ビジュアルを重視したUIになっているので、英語が理解できなくてもMURALの使用方法はわかっていただけているようです。
Image: MURAL ビジュアル重視のUIで直感的に操作できる。
当社は、今年8月に完了したシリーズBラウンドで、日系VCであるWiLから出資を受けました。いま同社の協力を得て、日本市場への参入を進めています。今後、日本で営業やカスタマーサクセス担当者やファシリテーターを募集します。そして、来年にはチームを組んで日本市場に本格参入する予定です。