【CEOに直接取材】2020年5月に資金調達した、今ホットな米国スタートアップ

【CEOに直接取材】2020年5月に資金調達した、今ホットな米国スタートアップ

Security / E-Commerce / Health Care / Enterprise Software / Education / Silicon Valley / Boston / Vida Health / Enuma / Grove Collaborative / Kentik / Synack / RemoteHQ
2020/07/02
今回は、2020年5月に資金調達を果たした米国スタートアップを新たに6社紹介する。ヘルスケアアプリ、子供向け学習アプリ、環境に配慮されたプロダクトを販売するEコマース、ネットワークインテリジェンスプラットフォーム、ホワイトハッカーによるクラウドソースのサイバーセキュリティプラットフォーム、クラウドベースで可能なバーチャルオフィスの事業を推進する米国スタートアップ6社のCEOに、事業詳細と今後の展望について聞いた。

身体とメンタルの両面にフォーカスしたヘルスケアアプリVida Health



 Vida Healthは、慢性疾患を予防し、健康的な生活に変えていくためのモバイルコーチングアプリだ。

 Co-founder & CEOのStephanie Tilenius氏は「きっかけは、父が糖尿病、肥満、CHF(慢性心不全)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、そしてうつ病という何重もの慢性疾患を患い、それぞれ異なる医療機関へ通院していたことです。またそれぞれの医師から相反する助言をされました。米国では人口の60%が慢性疾患を抱え、また40%が複数の疾患を併発しています。モバイル機器による日常的なケアやリモート診療がない状況で、私はこれに対するソリューションを開発しようとVidaを設立したのです」と語る。

 Vita Healthは、フィジカルなケアとメンタルヘルスの両面にフォーカスする。医療機関に通院しなくても、自宅で自分の健康管理ができる。従業員の健康管理サービスとしてCisco、Visa、PayPal、Boeingといった大手企業で導入されている。

Stephanie Tilenius
Vida Health
Co-founder & CEO
2010年から2年間、GoogleのCommerce and PaymentsのVPを務める。その後、BloomReachのAdvisory Board、CoachのBoard Directorを務めながら、投資家としてNexdoor.comへ投資。2014年にVida Healthを設立、CEOに就任。
 
 コロナ禍でVida Healthのセラピーセッションの実施件数は2倍となった。海外からの関心も高まっているという。在宅で過ごす慢性疾患患者の不安は増大している。長期的な目標は、慢性疾患による苦しみをグローバル規模の問題として解決し、人々がベストな人生を送れるようにしていくこと。

 一時は国際展開もしていたが、現在は米国のみで展開している。Tilenius氏は日本企業に対しては、「日本も超高齢化社会です。健康管理を個人で行うにはコストが高くつきます。こうした状況にある人の支えになりたいと考えます」と語っている。

資金調達額:8300万USドル
5月の資金調達額:2500万USドル
5月の資金調達先:AME Cloud Ventures, Canvas Ventures, Webb Investment Network, etc
所在地:San Francisco, California
URL:https://www.vida.com/

数学や英語を好きになる子供向け学習アプリEnuma



 Enumaは、ポップなデザインで子どもがゲーム感覚で楽しく学習できるアプリケーション、「Todo Math」「Todo English」「Kitkit School」を開発している。

 Co-founder & CEOのSoonin Lee氏は「元々は韓国でゲームデザイナーをしていましたが、米国に移住してから子どもが産まれたことがきっかけで、子どもの学習のためのテクノロジーをデザインしようと思い、創業しました。当社のミッションは、言語や障がいの有無を超えて、全ての子どもをエンパワーメントすることです」と語る。

Soonin Lee
Enuma
Co-founder & CEO
韓国、出身。Microsoftなどで勤務し、2012年にEnumaを共同設立、CEOに就任。
 
 幼稚園から小学校低学年の子どもを対象にした、数字で遊ぶ「Todo Math」は、2013年にリリースされ、東アジアを中心に世界各地で人気を博し、AppleのAppストアでも大きく取り上げられた。

 英語を第二言語として学ぶ子ども向けの「Todo English」は、今年3月に韓国でリリースされ、コロナ禍で自宅で楽しめるツールとして爆発的な人気を博している。「コロナパンデミックは悲しい出来事ですが、そうしたなかでも人々が質の高い学習手段を持てることは重要です」とLee氏は語る。

 学習アプリはアフリカ・タンザニアの村にも試験導入され、字の読めない子どもにも学習効果を発揮した。

 「Todo English」は日本でも今年の夏にリリース予定。Lee氏は「『Todo Math』の日本でのローカライズにあたり、日本の保護者の皆さんにもフィードバックを頂き、大変感謝しています」と語る。

資金調達額:1815万USドル
5月の資金調達額:900万USドル
5月の資金調達先:Kakao Ventures, SK Group, etc.
所在地:Berkeley, California
URL:https://enuma.com/

健康的・エシカル・サステナブルなホームケア用品のEコマースGrove Collaborative



 Grove Collaborativeは、全ての人が手頃な値段で、健康的・エシカル(倫理的)・サステナブル(持続可能)な暮らしを実現できるようなホームケア用品のEコマースプラットフォームを運営している。

 Co-founder & CEOのStuart Landesberg氏は「私の両親は環境に優しい暮らしへの関心が高く、私の育った郊外の家の庭には堆肥貯蔵所があったりしました。ですが私は週100時間も働くようになってからは、忙しさを理由に誠実さよりも利便性を優先してモノを購入するようになっていました。私がそうだったように、米国では消費者の70%が環境に配慮した商品を望みながら、消費者はそのような商品を5%も保有できていないのが現実です。そこで、環境に配慮したホームケア用品のEコマースビジネスを思い立ち、2012年に創業しました」と語る。

Stuart Landesberg
Grove Collaborative
Co-founder & CEO
2007年より、銀行投資アナリストや投資パートナーなどを務める。2012年にGrove Collaborativeを共同設立、CEOに就任。
 
 ハンドソープ、台所用や洗濯用の洗剤、ティッシュペーパーなどのホームケア用品、ハンドクリームやボディローションのような美容品を扱う。売上の大半はホームケア用品だが、美容品の占める割合も伸びている。

 長期的な目標は、消費者向けブランドを再定義すること。プラスチック廃棄品の削減のためにプラスチック・ニュートラルを進めており、2025年までに製品をオールプラスチックフリーにすることも掲げる。

 米国のみで展開しており、国際展開は未定。Landesberg氏は日本企業に対しては、「環境に配慮した消費は今後100年で世界の潮流になり、世界に大きな変化をもたらします」と語る。

資金調達額:2億1230万USドル
5月の資金調達額:8992万USドル
5月の資金調達先:Sculptor Capital Management
所在地: San Francisco, California
URL:https://www.grove.co/

ビッグデータ解析でネットワークを強化するKentik



  Kentikは、クラウドベースのネットワークインテリジェンスプラットフォーム。

 Co-founder & CEOのAvi Freedman氏は「私は創業前の1999年から2009年の間に、Akamai Technologiesでネットワークインフラ運営に携わっていました。それぞれの企業向けに独自のソフトウェアのコードを書き、独自の分析をし、莫大なコストのかかるネットワークとそのエレメントを最適化する。これは大きなビジネスになりますが、私は常に悪戦苦闘してきました。私がその頃にやり残したことが多くあると考え、2014年に創業しました」と語る。

Avi Freedman
Kentik
Co-founder & CEO
1999年、Akamai TechnologiesにてNetwork InfrastructureのVPなどを務める。2014年にKentikを共同設立、CEOに就任。
 
 Kentikはネットワークインフラがいかに運用されているか、リアルタイムで監視し、機械学習で正常か異常かの判断。トラフィックデータを収集し分析し、可視性、パフォーマンス、セキュリティを高める。

 カスタマーには、Zoom、Cisco、eBay、Dropboxなどの事業会社と、IBM、Verisonなどのサービスプロバイダーがある。日本企業との関係では、KDDIをはじめサービスプロバイダー5社が顧客になっている。「収益で見ると日本市場は一番大きなマーケットになります」とFreedman氏は語る。

 当面の方針は、コロナ禍で在宅勤務が長期化する傾向があるなか、世界各地の家庭からアクセスするカスタマーのネットワークを強化することで、そのための投資をしていくという。「グローバルな移動が再開したら、日本のカスタマーにも訪問し一緒に過ごす機会を持ちたいです」とFreedman氏は語る。

資金調達額:6168万USドル
5月の資金調達額:2350万USドル
5月の資金調達先:August Capital, Third Point Ventures, etc.
所在地:San Francisco, California
URL:https://www.kentik.com/

世界最強のホワイトハッカーによるセキュリティプラットフォームSynack



 Synackは、世界最高レベルのホワイトハッカーによるクラウドソースのサイバーセキュリティプラットフォーム。

 Co-founder & CEOのJay Kaplan氏は「私は米連邦政府が公認するホワイトハッカーとしてNSA(国家安全保障局)で4年近く活動していました。大変誇り高き仕事です。それを経て、この社会はサイバー攻撃に非常に脆弱という問題意識を持ち、そこで侵入テストやセキュリティ診断のプラットフォームを起業することを目指し、2013年にシリコンバレーに移って創業しました」と語る。

Jay Kaplan
Synack
Co-founder & CEO
アメリカ国防情報システム局、アメリカ国家安全保障局に務め、2013年にSynakを共同設立、CEOに就任。
 
 侵入テストは人間とAIのコンビネーションで、スマートに行い、現在85か国以上にフリーランスの高レベルハッカーのネットワークを有する。提供するソリューションには、脆弱性診断の「SmartScan」、脆弱性を発見する「Discover」、侵入テストの「Certify」、侵入テストを1年間に当たる365日間実施する「Synack365」がある。

 当面の目標は事業規模を拡大していくこと。欧州では既に数年前から展開しており、日本を含むアジアの一部でも急拡大している。日本で展開するには、「ホワイトハッカーは日本では新しい概念。それを理解していただけるパートナーが必要です。日本にはゲーマーのメンタリティのようなものがあり、そうしたメンタリティのある優秀な人物がハッカーになり得ると考えています」とKaplan氏は語る。

資金調達額:1億1250万USドル
5月の資金調達額:5200万USドル
5月の資金調達先:Kleiner Perkins, GV, Intel Capital, etc.
所在地:Redwood City, California
URL:https://www.synack.com/

多機能バーチャルオフィスのプラットフォームRemoteHQ



 RemoteHQは、オンラインミーティングやアプリケーションの共有などオフィスで必要な様々なことがクラウドベースで可能なバーチャルオフィスだ。

 Co-founder & CEOのWaikit Lau氏は「テクノロジーの進歩とブロードバンドの普及で、オンサイトで行う必要のある仕事が何もかもできるバーチャルプラットフォームを持てないか、というアイデアからRemoteHQを設立しました。これがあれば、離れた場所にある自社事務所に出張して行わなければならない仕事、客先に訪問して行わなければならない仕事、営業の仕事を、全てリモートで完結させることができます」と語る。

Waikit Lau
RemoteHQ
Co-founder & CEO
マサチューセッツ工科大学卒業。NameMediaに買収されたPhoto.netを1999年に共同設立。2001年よりBessemer Venture Partnersにて投資家として勤務。その後、いくつかの企業でCTOなどを歴任。2017年にRemotoHQを共同設立、CEOに就任。
 
 バーチャルオフィスを立ち上げた後は、個人用の部屋、部署ごとの部屋を作成可能。リアルなオフィスに必要なものが完備されている。ドラッグ&ドロップでのファイル共有、デスクトップ、アプリケーション、ブラウザの共有、ホワイトボードやGoogleカレンダーの使用、議事録やTo Doリストなどの作成もできる。オンラインミーティングにおいては、録音や、日本語も含めた9か国語対応のトランスクリプションの作成も可能だ。

 コロナパンデミック前から存在したリモートワーク需要に支えられて成長してきたが、コロナが拡大した3月以降は急激に伸び、幅広いカスタマーを抱えるようになった。

 現在は米国のボストンなど東海岸と欧州で事業展開中。日本で展開するには、「日本のパートナーとともに、プロダクトの日本語ローカライズを進めたい」とLau氏は語る。

資金調達額:270万USドル
5月の資金調達額:270万USドル
5月の資金調達先:TechU, Underscore VC
所在地:Massachusetts, Boston
URL:https://www.remotehq.com/

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