Marqetaは金融カードの発行企業向けに、オープンAPIを提供する企業だ。今回はCo-founder & CEOのJason Gardner氏にインタビューした。

Jason Gardner
Marqeta
Co-founder & CEO
1993年アリゾナ州立大学を卒業後、Property Bridgeを創業。その後、同社をMoneyGram Internationalに売却。自らもバイス・プレジデントの職に就く。2010年に決済エコシステムのイシュアー向けにプラットフォームのAPIを提供するMarqetaを共同設立、CEOに就任し、現在に至る。

独自のプラットフォームでカード発行や処理業務をサポート。

―御社のビジネスモデルを教えてください。

 我々は、「イシュー・オブ・プロセッサー」と呼ばれる決済エコシステム上にいます。オンライン、オフラインに関わらず、消費者がカードを使って何らかの支払いをする場合、カード番号やメールアドレス、IPアドレスがエコシステムの反対側に伝わります。その先に、「アクワイヤラー」という、日本でいうところのセゾンクレジットや三井住友といった企業が存在します。

 我々の仕事は、責任をもってトランザクションを承認し、実際に売上が発生する店舗に承認メッセージを送ることです。すると店舗から消費者に対し、トランザクションが正常に承認されたことが伝わるのです。

 カード発行や処理ビジネスは40〜50年前から存在しており、そのテクノロジーの多くが初期のフレームに基づいて構築されています。この分野にいる企業の多くが、タンデムやIBMのメインフレームでトランザクション処理を行っています。我々は、現代的なオープンソースのテクノロジーに基づき、イチから総合的なカード発行および処理システムを再構築しているのです。

Image: Marqeta

カード発行会社向けに特化したプラットフォームを提供

―他社にはない強みはなんですか?

 我々の主な仕事は、イシュアー(カード発行)側に、誰でも使えるアプリケーション・プログラム・インターフェース(API)を提供することです。ネットワークにリアルにアクセスできるため、販売店でトランザクションが発生すれば、そのデータが我々の元に送られてくることになります。VisaやMastercardのハードウェアも当社のデータセンターに設置しています。

 この5、6年で、WePayやSquareなど、新しいタイプの決済関連企業が数多く生まれました。彼らは新たなビジネスモデルを提供しており、我々が参入する分野もそこにあります。我々は、今のカード発行および処理に最適だと確信するシステムを構築しています。そして誰でも使えるAPIに基づいたプラットフォームを提供することで、各社のビジネスやオルタネティブレンディング、クレジット、支払いや支出の管理、さらにバーチャルカード作成など、コアビジネスをサポートする業務、あるいはコアビジネスを支援することができるのです。今はオープンAPIが広がりを見せており、Visaなどの大手もイノベーションセンターを通して、あらゆるイノベーター向けにAPIを提供しています。Mastercardもまだ、同じような動きを見せています。

―オープンになるうえで、リスクもあると思いますが、セキュリティ保護に関して、どのような取り組みを行っていますか?

 今はあらゆるところで詐欺や不正行為が横行していますから、カードのエコシステムでもこれは大きな問題です。大事なのは、消費者自身が目を光らせておくことです。毎月きちんと請求書を確認するべきです。また、我々のような企業側も情報の暗号化を徹底すること、そして何層にもセキュリティをかけることが重要です。これは、エコシステムにいるすべての者にとっての問題なのです。

Image: Marqeta

「問題解決が大好き」で、決済に魅入られた

―これまでの経歴や起業の背景について教えてください。

 私は、シリアルアントレプレナー(連続起業家)です。若いころから小さな会社をいくつも持っていました。大学卒業後は「Property Brdige」という決済会社を運営していました。家賃の電子決済システムを提供する会社で、さまざまな決済方法からトランザクションデータを集め、企業の家賃やリース関連の決済方法に変革を起こしました。この会社は、2007年にMoneyGramに売却しましたが、私は決済に魅せられました。その中でも、これまでの体系を打ち破るなら、カード発行と処理の分野だと思い、そこに注目するようになったのです。

 9歳の時からパソコンいじりをしていたくらいですから、私はテクノロジー出身といっていいと思います。問題を解決する作業が大好きなのです。Marqetaのシステム構築も、大きな問題で、完成までに約2年半かかりました。それから銀行やVisaなどのネットワークへの営業活動に奔走し、最後に顧客となる企業を回りました。彼らはすでに20年から40年もこの業界にいるわけですが、我々のソリューションのほうがいかに魅力的かを伝え、見事成し遂げたのです。

イノベーションへのアクセスを求める企業をターゲットに。日本進出も間近。

―御社の将来的な展望について聞かせていただけますか?

 今、この業界には3つの層があります。1つがアメリカ国内最大手の7イシュアー(カード発行会社)です。バンクオブアメリカやシティバンクなどですね。そして2層目が通常の銀行になります。VisaやMastercardの取引先には世界に1万8000ともいわれる、この層の銀行が多いですね。そして3つ目がコマース関連のイノベーターです。彼らはイノベーションへのアクセスを求めており、我々の役割はそこにあります。当面は彼らに向けたビジネスに注力する予定です。いずれは客層を広げ、また銀行とも提携していけたら、と考えています。

Image: Marqeta

―日本市場への進出についてはどのようにお考えですか?

 今まさに力を入れているのが、日本への進出です。CTOのトニー・フォードやチーフ・プロダクト・オフィサーのデイブ・マターがすでに動き始めています。大手2銀行とも協力し、日本のエコシステムについて学んでいるところです。近いうちに日本市場に参入する予定です。

 我々が取り扱うカード発行および処理業務というのは非常に規制が厳しく、また複雑なビジネスです。ですので、国外の市場に参入するには、その国のコンプライアンスや規制についてしっかり学ばなければいけません。また、銀行との深い関係性を構築することも必要です。政府組織が管理する複雑な規制環境やデータ統合についても知らなければなりません。

 まずは、適切な銀行との関係性を築くことが大切だと考えています。ただそこには言葉の壁もあります。これは世界のどの国に行っても同じですが。ただ決済に関しては、国際的なスタンダードが決まっているので、まずはそこから理解し合えたら、と考えています。あとはVisaやMastercardといった世界的なネットワークだけでなく、NTTやセゾンクレジットなど、日本で運用される主要なフレームワークというものもあるので、それらのエコシステムを理解し、統合、運用していけるかを模索することになります。

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