自動運転者やインターネットや無線通信ネットワークに接続する自動車「コネクティッドカー」向けにサイバーセキュリティを提供している Karamba Security。従業員50人以下で、DENSOなど世界18社のOEM、一次サプライヤーに製品を導入している。日本での展開の拡大も狙う、共同創業者でCEOのAmi Dotan氏に話を聞いた。

Ami Dotan
Karamba Security
Co-founder & CEO
1980年よりイスラエルの防衛関連企業Raphaelの研究開発に従事した後、ベンチャー投資家に。世界的なテクノロジー企業を起業・投資してきた経験を持ち、JinkoSolarなど6つのIPOに関わった。2015年にKaramba Securityを設立し、CEOに就任。1976年 Polytechnic Institute of Brooklynで電気工学を学び、1979年にLong Island UniversityでMBA取得。

イスラエルの軍事関係からベンチャー投資へ

―これまでどのようなキャリアを歩んできたのですか。

 私は17年間ベンチャーキャピタリストとして投資し、そのうち2社は時価総額10億ドル以上のユニコーンになっています。それ以前はイスラエルの軍事・防衛関連企業であるRaphaelで誘導ミサイルプログラムの研究開発に従事していました。

 ベンチャー投資家をしているときに、自動運転の領域で適切なサイバーセキュリティ対策がないということで、声をかけられ、この問題に取り掛かることになりました。もし、ハッカーが車の進行方向やスピードをコントロールすることができてしまったら、運転手と乗客の命に直結する大問題となります。工場で埋め込んだ車両の電子制御ユニット(ECU)の設定が決して変更されないように、誤った判定というのはゼロにしないといけないわけです。

Image: Karamba Security

―どのようにセキュリティ対策をしているのでしょうか。

 自動車というのは、実は地球上で一番複雑な交通システムです。ボーイング747のソフトのコードは5000万行ですが、ベンツのCSクラスは1億3000万行、自動運転車になれば3億から5億行にも及びます。通常 1800行に一か所バグが見つかると言われていますが、1億3000万行の中でこの確率でバグが入ってしまえば、何千カ所も脆弱性が見つかってしまうことになります。ハッカーはこういった弱みにつけこんでくるわけですが、我々はこれを未然に防ぎます。

 どういうことかというと、ユーザーサイドで変更可能な部分を作らず、OEMや自動車メーカー以外からの工場設定を変えようとする動きは全てブロックするのです。新しいウイルスがでてくるたびにそれに対応したり、ソフトを更新する必要もありません。攻撃の試みがあっても、問題は発生しませんから、車は引き続き安全に走り続けます。非常にシンプルで、ずっと使えるので、費用が利益を上回ることはありません。

18社のOEM一次サプライヤーに製品提供、更新は不要

―どのようなビジネスモデルになっていますか?

 ライセンスとサポートを提供しています。製品はECUに特化したCarwallと、ECUにつなぐキャンバス向けのSafeCANで、すべてのタイプのECUに対応しています。DENSOやAlpineなど、18のOEMや一次サプライヤー(もしくはTier-1)に導入しています。サポートは、基本的には一次サプライヤーがセキュリティ以外の目的で仕様を変更するなどでない限り、アップデートは必要ありません。ただ、ハッカーから攻撃の試みがあれば、どこに脆弱な点があるかが分かりますので、その情報を集めて顧客に提供しています。

Image: Karamba Security

2018年、ガートナーのCool Vendors受賞

―今後の展望と日本市場への期待を教えてください。

 大手IT調査会社のガートナーが公表しているCool Vendorsで2018年にIoT向けのサイバーセキュリティで表彰されました。ECUとIoTは非常に近く、IoT企業からアプローチを受けています。日本はIoTにも自動運転車にも強く、私たちにとって重要な市場です。既にDENSOなど顧客企業があり、パートナーであるアズジェントと共同で引き続き販路を拡大していきます。IoTについては医療関係、スマホ業界など潜在需要は大きいでしょう。大規模に我々の製品を適用してくれる企業とお付き合いをしたいと考えています。日本のオフィスを運営できる人材も探しています。



RELATED ARTICLES
【寄稿】スマートシティ構想における企業の役割とは? 持続可能な社会づくりに向けた未来シナリオ
【寄稿】スマートシティ構想における企業の役割とは? 持続可能な社会づくりに向けた未来シナリオ
【寄稿】スマートシティ構想における企業の役割とは? 持続可能な社会づくりに向けた未来シナリオの詳細を見る
企業向けサイバー攻撃対象域管理ツールを提供 JupiterOne セキュリティリスクを発見、監視、対処へ
企業向けサイバー攻撃対象域管理ツールを提供 JupiterOne セキュリティリスクを発見、監視、対処へ
企業向けサイバー攻撃対象域管理ツールを提供 JupiterOne セキュリティリスクを発見、監視、対処への詳細を見る
自動運転、サイバー空間、インフラ整備 高精度3次元地図データで世界展開へ ダイナミックマップ基盤
自動運転、サイバー空間、インフラ整備 高精度3次元地図データで世界展開へ ダイナミックマップ基盤
自動運転、サイバー空間、インフラ整備 高精度3次元地図データで世界展開へ ダイナミックマップ基盤の詳細を見る
自動運転やスマートシティ向けに展開 エッジAIチップ・ソフトウェア開発の Blaize
自動運転やスマートシティ向けに展開 エッジAIチップ・ソフトウェア開発の Blaize
自動運転やスマートシティ向けに展開 エッジAIチップ・ソフトウェア開発の Blaizeの詳細を見る
【まとめ】活況の宇宙事業 日本、世界のスタートアップ 
【まとめ】活況の宇宙事業 日本、世界のスタートアップ 
【まとめ】活況の宇宙事業 日本、世界のスタートアップ の詳細を見る
EV、シェアサイクル、相乗り、ハイパーループまでを掲載【モビリティトレンドレポート】
EV、シェアサイクル、相乗り、ハイパーループまでを掲載【モビリティトレンドレポート】
EV、シェアサイクル、相乗り、ハイパーループまでを掲載【モビリティトレンドレポート】の詳細を見る

NEWS LETTER

世界のイノベーション、イベント、
お役立ち情報をお届け
全員にオープンイノベーション
ガイドブックもプレゼント


    新規事業の
    調査業務を効率化
    成長産業に特化した調査プラットフォーム
    BLITZ Portal
    社員の声でイノベーションを効率化する
    アイデア管理プラットフォーム
    q-ideate

    Copyright © 2022 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.