Homieは、住宅売買取引にかかる余分な手数料などを排除することで、売主買主の双方が効率的に取引をすすめられるシステムを提供する企業だ。今回はCo-founder & CFOのMike Peregrina氏に話を聞いた。

包括的な不動産売買システムで、あらたなビジネスカテゴリーを形成

―まずはCFOの経歴と、Homie設立までの経緯を教えてください。

 私は16歳の時に家族でロサンゼルスからラスベガスに移り、UNLVで建築学を学びながら、学費を稼ぐために不動産業界で働きました。ちょうどリーマンショックの時代でしたが、当時はあまりにも消費者ではなく、コミッションに偏重していたため、この業界に変革が必要だと強く思いました。そこで、もう一度大学に戻って金融を学びなおし、投資銀行家としてのキャリアをスタートさせたのです。

 それから2年間で戦略的なスキルや財務モデリング、会計、財務など、取引にかかわるノウハウを取得しました。その後、結婚してユタ州に拠点を置き、VCで働くなかで携帯電話やアプリを軸にした戦略と出会い、これこそが不動産業界に新風を送るカギだと確信したのです。それが原点となって2015年の夏、Homieを設立しました。  

Mike Peregrina
Homie
Co-founder & CFO
ネバダ大学ラスベガス校で建築および経営学の学位を取得。その後、投資銀行などでアナリストやアソシエイトとして勤務。2015年にHomieを設立、最高財務責任者(CFO)に就任し今に至る。
 

―次に、Homieのサービスについて教えてください。

 起業した翌年、製品とビジネスをローンチし、当初は売主側のサポートから始めました。できる限り高値で、迅速に家を売りたいという希望を実現することをミッションに進んだ結果、ローンチからわずか18カ月でユタ州でナンバーワンのブローカーになりました。

 次いで購入者向けのサービスを追加し、売主と買主双方のためのシステムになりました。住宅ローンや保険会社も買収したことで、不動産取引の第一歩から維持に至るまで、一貫して当社で扱えるようになりました。余計な手数料もかからず、当社のサービスを利用していただくことで払戻金制度も用意し、大変好評をいただいています。

 また、継続して顧客とかかわることで住宅ローンの借り換えや家の売却、新たな家の購入、投資用不動産購入のタイミングを察知できることもエキサイティングなところです。新たなビジネスカテゴリーを形成できたと自負しています。  

「顧客第一」が最大理念。「高い家を売ればいい」は時代遅れ。

―競合他社にはない、Homieの強みはどのような点でしょうか。

 まずはテクノロジーですね。取引の進捗状況が一目でわかるようなシステムを提供し、たとえば売却に至るまでの作業フローを顧客自身が管理できるように工夫し、余分な手数料が発生しないように配慮しています。買主も、家探しから保険にいたるまで、すべてHomieの中でおさまるので、これは同業他社と比べて大きな強みだと考えています。とにかく、「顧客第一」の理念を大切に、従業員にも営業成績による出来高報酬のような制度はとっていません。

―ビジネスモデルはどうなっていますか。

 我々の収益モデルは非常にシンプルです。通常は、たとえば住宅販売価格の3%といった形になると思うのですが、当社では一律売主から1500ドル、買主からは買主がクロージングで必要な費用等を差し引いた額(通常約4000ドル)、と決めています。家の価格にかかわらず、金額はほぼ均一なので、同業者の中でもかなり良心的な価格になっているはずです。

世界中の不動産売買の「ユビキタス」を目指す

―今後、海外展開していくプランはありますか。

 現時点ではユタ州とアリゾナ州を拠点にしており、近いうちに周辺の州へ拡張していく予定です。不動産というのはローカルなビジネスなので、地域での存在感を慎重に確立していかなければならないと思っています。しかし、将来的にはアジアやヨーロッパにも広げていきたいですね。

―日本に展開するとしたら、どのようなパートナーが必要でしょうか。

 いくつかありますが、まずは資本パートナーですね。あとは現地の経済や法律、地域ごとの特性や、進出すべき地域など、不動産のダイナミクスを教えてくれるスタッフのいるパートナーは必要です。

―今後のビジョンを教えてください。

 短期的には、適切な買収と人材登用をすすめて、不動産やローンに至るまで、ローカルレベルでのサービスをさらに充実させることです。そして近隣の州へと拡大すること。長期的には、それをさらに拡大させ、余分な手数料がかかる国々の顧客をサポートしていきたいですね。比較的手数料が低い国でも、我々ができることはあると信じています。

―最後に、読者にメッセージをお願いします。

 インターネットとハイテクの登場により、世界はどんどん小さく、スマートになっています。そのなかで日本が技術革新をリードする姿は非常にエキサイティングです。その日本、そしてそこにいるビジネスリーダーと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。



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