運搬ロボットを研究開発するfetch robotics。倉庫内での商品の運搬など、今まで人の手を介して行っていた反復作業を代替してくれるロボットだ。あらかじめ倉庫の経路をインプットしておくことで、作業員についてまわり、商品の運搬をサポートしてくれる。ソフトバンクも出資をしている同社CEOのMelonee Wise氏に、ビジネス内容や今後の新しいロボットの計画について、聞いてみた。

Melonee Wise
fetch robotics
CEO
ロボティクスの研究機関兼インキュベーション施設の「Willow Garage」在籍後、ロボティクス系スタートアップ・Unbounded Robotics社を設立。その後、2014年にFetch Roboticsを設立。

物流業界向けのロボットサービス

―御社の事業内容を教えてください。

 物流業界向けにロボットの共同開発とソリューションを提供しています。私たちのサービスによって業務の自動化ができ、人件費の削減、生産性の向上、そして物流業界の劇的な環境変化に対応できるようになります。

 ここ5年間で、商品を提供するスピードはどんどん速くなっています。かつて1週間の猶予があったものが2日間に、かつて24時間のものが1時間にと短縮されています。そういった中、商品を速く物流に乗せるニーズが非常に高まっており、私たちのロボットによってそのニーズに対応できると確信しています。

Image: fetch robotics

―どのようなビジネスモデルですか。また費用はどれくらいかかるのでしょうか。

 私たちは単にロボットを販売するのではなく、ロボットの利用について月額料金を支払ってもらい、クライアントに包括的なサービスを提供しています。サービスには、ソフトウェアやハードウェアの定期的なアップデート、ロボットのメンテナンスなども含まれています。このサービスを“Robot as a service”と呼んでいますね。

 費用はクライアントごとに異なります。クライアントの施設の規模や、人員数、そしてロボットが何台必要かにもよって算出しています。

ロボットは世の中をどう変えるか

―どのような経緯でこのビジネスを始めたのですか?

 私はWillow Garageというロボティクスの会社で長く働いていました。Willow Garageからスピンアウトして、いくつものスタートアップが生まれています。私たちもそのスピンアウトした会社の一つです。2014年に4人でFetch Roboticsを立ち上げ、3ヵ月半という短期間でロボットをデザインしました。その後にソフトウェアを開発したのですが、どんどん人が増えていき、会社設立1年3ヶ月後には社員32名へと増えていました。

―なぜロボットの開発に携わろうと思ったのですか。ロボットが世の中を変えると思ったのですか?

ロボットは少しずつですが、世界を変えていくと思います。私は大きな可能性を感じています。ただ、人々が思っているよりは時間がかかると思います。最初に大きなインパクトのあるもので言うと、自動運転車でしょう。人の運転を減らすという、わかりやすいインパクトがあります。ロボットは、人がやらなければいけないことを減らす手伝いができるのではないでしょうか。たとえば食器洗い機や電子レンジのようにです。

ソフトバンクから出資を受けた理由

―2015年6月、ソフトバンクから出資を受けました。どういう経緯で出資を受けたのですか。

 最初にソフトバンクの方と会ったのは、Willow Garageで働いていたころでした。そして当社を創業した後のタイミングで、ソフトバンクから出資をしたいという連絡があったのです。資金調達するには非常に良いタイミングでしたし、ソフトバンクという多国籍企業と連携できる点に魅力を感じました。ソフトバンクは多くの企業との取引があり、私たちがビジネスを拡大させていく中で、パートナーの関係になれるのではないかと思っています。

―ソフトバンクも「Pepper」というロボットを開発していますが、日本のロボティクスについてはどう思いますか。

 日本のロボティクスは、アメリカで研究しているロボティクスとはタイプが大きく異なると感じています。大きな方向性として、日本のロボティクスはエンターテイメント寄りで、アメリカは実用寄りです。

 典型的な例として、日本のロボティクスは人型ロボットです、足があり、顔があり、バイオリンを弾いたり、電動バイクに乗ったりとエンターテイメント性が高いものです。一方、アメリカのロボティクスでは、見た目も人型ではありません。そして特定の業務に特化したロボットに注力しています。私たちのロボットは物流に特化しています。そういう面で大きく違いますね。

 あと日本はエンターテイメント分野もそうですが、最近はヘルスケア分野にも力を入れているように見えます。たとえばトヨタのHSRです。そういったヘルスケア分野のロボットの開発は進んでいるように見えます。

Googleは競合か?

―2013年にロボティクスのスタートアップがGoogleに立て続けに何社も買収されました。Googleの動きをどう見ていますか。

 Googleは7社のロボティクス関連会社を買収しました。シリコンバレーには30~40社のロボティクスのスタートアップがありますから、7社は小さい数字です。

Googleが買収している会社を見ても、なにか一つの領域に特化しているわけではありません。いったいGoogleが何を開発しているのかは誰もわかりません。Googleのねらいがわからないわけですから、彼らが私たちの競合相手とは言いきれません。

 でも、Googleが大きな競合だと思うのは、人材雇用の面ですね。それはシリコンバレー全体で言えますが、優秀な人材を確保することでは競合と言えるでしょう。

―今後のアジア展開についての考えを聞かせてください。

 いくつかのアジアの企業が、私たちのロボットに興味を示しています。ただ、アジアの国ではロボットの輸入制限があるケースもあります。たとえば中国はロボットの輸入にとても大きな制限があります。もしアジア展開を考えるならば、最初に日本を考えると思います。日本では共同開発できるパートナー、パイロット利用ができる顧客を募集中です。ぜひ日本企業にも私たちのロボットを役立てたいですね。



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