Image: Dialpad
2011年に設立され、クラウドのビジネス電話システムを提供するDialpad。UberやNetflix、Motorola Solutionsなど6万社が導入しており、日本でもソフトバンクがパートナーとなって展開が始まっている。2020年10月に1億ドルの追加調達(累計2億2000万ドル)を行い、新たにユニコーンの仲間入りを果たした。今回は詳しいサービス内容から日本での展開について、創業者でCEOのCraig Walker氏に話を聞いた。

電話会議の議事録をAIが自動で作成し、フォローアップの手間を省略

――御社のサービス内容について教えてください。

 1つ目は、UberConferenceと呼ばれる電話・ビデオ会議用ツール。2つ目は、固定電話の代わりとなる電話システムで、所有している携帯電話やパソコンをビジネス用の固定電話として使用することを可能にします。3つ目は、お客様用のお問い合わせセンターです。

 3つのサービスを統合するのが私たちのAIです。AIは、音声を文字に起こして検索可能にします。会話の要点やフォーローアップアクション等を拾い上げられるのが、私たちが他とは異なる点です。

Craig Walker
Dialpad
Co-Founder & CEO
カリフォルニア大学バークレー校で、法務博士の学位を取得し、テック企業の法人証券弁護士を務める。Yahoo!の社内ベンチャーYahoo! Voiceや、GoogleでGoogle Voice、Google Talk、Google Talk Video等の製品開発に携わった後、2011年にDialpadを創立。

――どのような方がターゲットになるのでしょうか。

 ターゲット層は広いですが、IT部門に加えて、営業部門にも働きかけています。例えば、お客様が「御社が競合他社とどのように違うのか知りたい」と言った場合、AIが会話を読解して答えを画面に表示すれば営業担当の負担が軽くなり、より効率的に業務を行うことができるようになります。

 また、お問い合わせセンターなどのサポート部門でも、お客様の質問に素早く対応できるようになるので、相手も満足します。

――この分野には多くの競合他社が存在します。Dialpadはどのように差別化していますか。

 そうですね。非常に大きな市場ですから、競合他社は存在しています。まずCiscoやAvayaなど、レガシーの電話システムやコンタクトセンターです。

 次にRingCentralや8x8、Five9のなど、第一世代のクラウドの電話システムです。彼らがやろうとしているのは「機能はほとんど同じですが、あなたのサーバーで実行する必要はありません。我々のサーバーで運用すれば、サブスクリプションになりますよ」という提案です。

 そして、いま新しい波が来ています。それがDialpadです。私たちは「クラウドの電話システムにも、もっと良い方法がありますよ」と提案しています。机に固定電話を持ちたいのであれば、それでも構いません。ただ、会社の従業員は皆、ポケットに携帯電話を入れていますよね。私たちは、その携帯電話も活用できるようにしましょうと。

 私たちが本当に実現したいのは、現代のワーカーがどこにいても仕事ができ、どこにいてもオフィスと同じように生産的に仕事ができるようにすることです。そして、電話の通話をすべてテキストに変換して、そこから価値を得られるようにすることです。これが私たちの差別化のポイントです。

――御社の収益モデルはどのようなものですか。

 サブスクリプションベースで、一度登録すれば追加料金等は発生しません。全ての機能が毎月のプランに含まれています。ソフトウェアには毎週何かしら新しい機能が追加されますし、機能改善やデバッギングも毎週のように行なっています。その柔軟性はSaaSの良さでもありますね。

ソフトバンクと提携。今後も技術投資で拡大を予定

――日本にもオフィスがあるそうですね。日本での展開について詳しく教えてください。

 5年前に東京オフィスを設立しています。ソフトバンクと提携しており、ソフトバンクでもDialpadを日本市場で販売しています。

 オフィスのサイズも次の1年で2倍に拡大する予定です。日本は米国に次いで重要な市場であり、経済規模も大きいので非常に楽しみです。現在はソフトバンクと良い関係を築いているので、その関係をさらに発展させることが優先事項ですが、もちろんパートナーとなることに興味のある企業は喜んで受け入れます。

――今後はどのように展開していく予定でしょうか。

 私たちには技術的なアドバンテージがあるので、より一層技術投資していきたいと思います。既にプロダクトはあるわけですから、次の10年間は、今まで10年かけて作り上げたそのプロダクトを改善し続けることで、競合他社に勝るよりよいものを作っていきたいと思います。



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