「教師なし機械学習」でデジタル詐欺を防止
―まずはDataVisorの事業について教えてください。
DataVisorではAIとマシンラーニングを利用したサービスを消費者に提供している企業へデジタル詐欺を防止するプラットフォームを提供しています。われわれは主に「dVector」と「dCube」の2つのプロダクトを提供しています。
dVectorは3年以上前にローンチした最初の製品で、機械学習を使ったAIによるプラットフォームです。独自の「教師なし機械学習(Unsupervised machine learning)」技術を使い、詐欺や悪意があるオンラインアクティビティを検出します。dVectorは、保守や運用などの業務も含めたマネージドサービスとしてご提供しています。
当社の製品の特徴は、「教師なし機械学習」を使っていることです。「教師なし機械学習」では、データを学習させる必要がないので、学習のための時間がかかりません。UMLプラグインを追加するだけで、データをクラスター化し、攻撃をより効果的にリアルタイムで検出する本番環境を構築することができます。また、当社の製品は、個々の異常を見つけるのではなく、クラスターやグループのイベントを把握する設計になっています。クラスターを見て、クラスター内の関係を識別するため、検出精度は94%とかなり高いです。
すでに東南アジア、ヨーロッパに進出。日本展開も視野に
―どういった業種の顧客が多いのでしょうか。
顧客は大手企業が中心です。デジタル詐欺やデジタルプロテクションは、世界中の企業が抱える問題です。当社は、オンラインで事業を展開している銀行、ソーシャルコマース、マーケットプレイスなどの業種で顧客基盤を築いてきました。また、イントラネットサービスの大手企業も顧客ですし、通信会社やヘルスケア分野でも顧客を増やしています。当社の製品は、支払いなどの商取引以外でも活用が可能ですし、業種も問いませんので、今後はより幅広い業種で、よりグローバルにユースケースを増やしたいと考えています。
―既にグローバル展開していると伺いましたが、日本でも事業を展開されていますか。
当社の創業者が中国出身なので、中国には大規模な事務所があります。米国以外ですと、他にインドネシアにも顧客がいますし、アムステルダムの旅行関係の企業とも契約を結んでいます。
数年前から事業展開を始めたシンガポールでは、現地の団体が、当社のソリューションにマッチする地元企業を紹介してくれています。また、最近では南アフリカを対象にベイエリアでイベントを行いました。このイベントでは、南アフリカの銀行のトップと具体的な商談ができ、かなり有意義なものになりました。
日本にはまだ進出していませんが、機会があれば日本市場にも参入したいと考えています。その場合、シンガポールで経験があるように日本企業を紹介してくれる現地パートナーを持つ方法か、南アフリカに対して行ったようにベイエリアで日本企業向けのイベントを開催するか、いずれかの方法がよいと考えています。