ドキュメント作成のソフトといえば、広く利用されているMicrosoft Officeや、Googleドキュメントなどが思い浮かぶだろう。Codaは従来使用されるソフトウェアの難点を解決した、新しいドキュメントプラットフォームを提供している。2019年のリリース後、瞬く間に2万5000チーム以上で使用され、Kleiner Perkins、Khosla Ventures、Greylockなど大手VCから1億4000万ドルの資金調達も果たしている。今回は創業者でCEOのShishir Mehrotra氏に話を聞いた。

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昔から変わらないドキュメント作成ツールを変革。1年半で2万5000チームで採用

――まずCodaのサービス内容について教えてください。

 Codaはオールインワンのドキュメント作成サービスです。スプレッドシートやプレゼンテーション、多様なアプリ等から良いところだけをとり、オンラインプラットフォームとして提供しています。

Shishir Mehrotra
Coda
Co-Founder & CEO
MITにてコンピューターサイエンスと数学を専攻後、Microsoftにてプロダクトマネージャーを経験。2008年からGoogleにてGoogle TV、Youtube関連のプロダクト開発に携わった。2014年にCodaを設立し、CEOに就任。
 Codaは2つのコンセプトに基づいて設立されました。

 ひとつは、世界はアプリケーションではなく、ドキュメントの上で動いているということ。どんな会社、チーム、人でも、ビジネスを運営するために何を使っているかと聞くと、一般的には「在庫管理、CRM、タスク管理などのアプリケーション」と答えるかもしれません。しかし、実際に彼らが仕事を見てみると、たいていはドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションを使用しているのです。

 もう一つは、これらのドキュメントツールは、40年以上前から根本的に変わっていないということです。私たちが1日中、仕事で使っているツールが長い間変わっていないという事実は驚くべきことであり、大きなチャンスでもありました。そこで私と共同創業者のAlexは2人で「ゼロから全く新しいドキュメント作成ツールを作ろう」と決めたのです。

 Codaは2019年にローンチしたばかりですが、たった1年半で2万5000チーム以上で使用されるまでになりました。Uber、Spotify、The New York Timesといった大企業でも導入されていますし、数千の中小企業にも導入されています。

Image: Coda Codaのプラットフォーム画面

――従来のドキュメント作成サービスとどのような点で異なるのでしょうか。

 私たちのサービスは、カスタマイズ機能が豊富です。数百の不要な機能を取り除き、一人一人がほしい機能だけが備わっています。ボタンやコントロール機能、自動化、ルール設定もカスタマイズ可能です。

 スプレッドシートにも親しみやすい名称がつけられていたり、従来のドキュメント作成ソフトウェアには備わっていない機能があったり、とっつきにくい古いやり方ではなく時代に特化しているのです。

 また、Codaでは、1ヶ所で変更を行うと、それが他のファイルにも反映されます。さらに、他のアプリ等と連携できるPackという機能もあるので、既存のインターフェイスにも融合し新規に設計することも可能です。

著名投資家がリード。累計1億4000万ドルの資金調達

――2020年8月に8000万ドルの資金調達を行い、累計で1億4000万ドルもの資金調達をしています。調達した資金はどのようなことに使う予定でしょうか。

 Kleiner PerkinsのMamoon Hamid氏がリードし、8000万ドルの資金調達を行いました。Mamoonを知らない方のために補足すると、彼はBtoBのSaaS分野で最も優れた投資家の一人と言えるでしょう。彼は、SlackやBox、Yammer、Figmaなど、多くの素晴らしいスタートアップに投資した実績を持っています。そのため、彼に資金調達をリードしてもらったことにとても興奮しました。

 調達した資金の用途は、まず1つ目に、パフォーマンスの拡張性など基盤を強固にすることです。より大手の企業がCodaの導入を検討している現実もありますので、それに対応しなくてはいけません。

 2つ目によりシンプルな使い方をするユーザー向けにプラットフォームを向上させることです。

 そして3つ目には、私たちのエコシステムを拡大させていくことです。Codaを使用して様々なアイディアが生み出せるよう大きくこの3つの面でユーザーを後押ししていきたいと思っています。

――日本市場を含め、今後のグローバル展開の計画について聞かせてください。

 プラットフォームがスピーディーに普及し、現在Codaのユーザーの大部分は米国外にいます。まだローンチして間もないのでグローバル展開という意味では、大きな伸びしろがあります。

 日系企業とビジネスをした経験から、日本のマーケットも非常に魅力的だと思います。問題解決に取り組むコンサルファームなどが良いパートナーになるのではないでしょうか。Codaは、従来のやり方をアップデートできる機会をこれからも提供し続けます。

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