スタートアップ・エコシステム拠点形成に取り組む京都府と、一般社団法人 京都知恵産業創造の森、TECHBLITZが開催したオンラインイベント「スタートアップ・アライアンス・リンク」。第3回は、テクノロジーを活かしてカーボンニュートラルの実現に挑む京都のスタートアップ7社の代表らが登壇し、環境に優しい代替素材による商品開発やエネルギーの高効率利用、炭素排出権取引への応用などが期待される独自技術やビジネスモデルなどを紹介した。世界的に脱炭素社会への流れが加速する中、技術力と斬新なアイデアによって持続可能な循環型社会構築への貢献を目指す登壇企業の事業概要を紹介する。

<目次>
1. GaO®パワー半導体で目指す究極の「半導体エコロジー®」
2. CO2を有価物に高効率転換するメンブレンリアクター
3. 二酸化炭素と窒素を資源化する光合成細菌を用いた資源循環型物質生産プラットフォーム
4. ドローンとAIで森林の情報を可視化するソフトウェア 炭素蓄積・吸収量を把握
5. 改質ポリ乳酸コンパウンド(PlaX)製品を展開 石油由来繊維の代替素材に
6. 独自熱電発電技術で、排熱を活用した分散型自立電源の構築へ
7. 多孔性配位高分子でガスを操り低炭素社会実現へ

1. GaO®パワー半導体で目指す究極の「半導体エコロジー®」

FLOSFIA
登壇者:コーポレート本部 主査(経営企画職) 竹内 健吾
所在地 京都府京都市西京区御陵大原1番29号
創設年 2011年
URL https://flosfia.com/
 FLOSFIA(フロスフィア)は、グリーンかつクリーンな技術を用いてイノベーションを誘発して社会に貢献する製品の開発を目指し、「水」から「半導体」を作るイノベーションに取り組む企業だ。霧(ミスト)状にした溶液を用いて、金属酸化膜や金属膜、有機膜などさまざまな薄膜が成膜できる京都大学発のミストドライ®法を用いて、GaO®(コランダム構造酸化ガリウム、α-Ga2O3)の作製に成功。サファイアと似た結晶構造を持ち、自然界には存在しないGaO®は、従来のシリコンに比べ、超低損失・低コストで製造できる可能性があり、半導体デバイスや電子デバイスの高品質化・高機能化と社会実装に向け、ポテンシャルが高いという。GaO®のパワーデバイス応用で、電源・車載・動力領域でのイノベーションの実現を目指す。
Image: FLOSFIA

2. CO2を有価物に高効率転換するメンブレンリアクター

イーセップ
登壇者:代表取締役社長 澤村 健一
所在地 京都府相楽郡精華町精華台七丁目5番地1 けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)別棟320号室
創設年 2013年
URL https://esep.kyoto/
 膜分離システムの設計、開発、販売を展開するイーセップは、セラミック製の機能性分離膜を開発し、「簡単、エコ、高効率な分離を実現する分離膜」を製造している企業だ。独自技術の分離膜と触媒を組み合わせたメンブレンリアクターを利用して、二酸化炭素(CO2)からの合成燃料製造の事業化を目指している。2021年、同社はカーボン・ニュートラル社会への取り組みの一環としてe-fuel事業を掲げ、CO2とグリーン水素からガソリン(e-fuel)を生成する「eSepメンブレンフローリアクター(eMFR)」の開発をスタート。再生可能エネルギーへの需要が高まる一方、そのエネルギーを「どう運ぶか」という課題に対し、分離膜性能の技術向上によって、小型でオンサイトで稼働できるリアクターへのニーズに対応していく。
Image:イーセップ

3. 二酸化炭素と窒素を資源化する光合成細菌を用いた資源循環型物質生産プラットフォーム

Symbiobe
登壇者:代表取締役 後 圭介
所在地 京都市西京区御陵大原1-39 京大桂ベンチャープラザ南館
創設年 2021年
URL https://www.symbiobe.jp/
 Symbiobe(シンビオーブ)は、天然のバイオマス資源と光合成生物を有効活用した資源循環型の物質生産プラットフォームの研究開発を行う京都大学発ベンチャー企業。海洋性紅色光合成細菌によって、空気中や、産業から出る排ガス中の二酸化炭素(CO2)を固定する光合成能力と大気中の窒素固定能力を活用し、CO2と窒素を原料とした次世代のものづくり実現を目指している。事業は、温室効果ガス固定事業、産業用バイオポリマー事業、農業向け窒素肥料事業、水産養殖用飼料事業の4つがあり、これらが循環した物質生産プラットフォーム構築を目指す。現在、温室効果ガス固定のパイロットプラント技術開発・実証や、各種マテリアル原料の量産化プロセスの確立・製品開発などに取り組んでいる。
Image: Symbiobe

4. ドローンとAIで森林の情報を可視化するソフトウェア 炭素蓄積・吸収量を把握

DeepForest Technologies
登壇者:代表取締役 大西 信德
所在地 京都府京都市左京区吉田本町36番地1 京都大学国際科学イノベーション棟
創設年 2022年
URL https://deepforest-tech.co.jp/
 DeepForest Technologiesは、ドローン撮影・データ処理・人工知能モデルが一体となった植生自動識別技術の開発と提供に取り組む。ドローンからAIを用いて、森林の樹木を識別する技術を開発。林業などに取り入れることで、炭素吸収量の推定や生物多様性の保全などに活かしていくことを目指す。同社のソフトウェア「DF Scanner」は、ドローンの撮影データから森林情報を解析するもので、木1本ずつの樹種やサイズを測定できる。今後、炭素蓄積・吸収量を把握する機能を搭載する。森林管理者がドローンの自動操縦から画像処理、樹種・サイズ測定と炭素蓄積・吸収量を把握できるようにすることで、森林管理者が炭素排出権取引マーケットに参画できるようになり、森林管理と精度の高い排出権取引につなげる。
Image: DeepForest Technologies

5. 改質ポリ乳酸コンパウンド(PlaX)製品を展開 石油由来繊維の代替素材に

Bioworks
登壇者:成型品リーダー 三宅 禎輝
所在地 京都府相楽郡精華町光台一丁目7 けいはんなプラザラボ棟7F
創設年 2015年
URL https://www.bioworks.co.jp/
 Bioworks(バイオワークス)は改質ポリ乳酸コンパウンド(PlaX)製品の開発・製造・販売を行い、素材研究開発事業とアパレル事業を展開する。PlaXは、植物由来のポリ乳酸の品質と機能をアップデートした新しい素材。トウモロコシやサトウキビのデンプンから作られるポリ乳酸はコンポスト環境下など温度・湿度・pHが揃うことで加水分解が促進され、微生物によって水と二酸化炭素に分解(生分解)される。地球環境に優しい素材としての期待がある一方、これまで耐熱性や耐久性が課題だったが、同社は独自開発の改質剤をポリ乳酸に加えることで品質改善に成功。PlaXから繊維を作り出す取り組みや、顧客の要望に応じたオーダーメイドの成型品開発を展開する。石油由来の合成繊維の代替素材として幅広い展開が見込まれる。
Image: Bioworks

6. 独自熱電発電技術で、排熱を活用した分散型自立電源の構築へ

Eサーモジェンテック
登壇者: 代表取締役CEO 南部 修太郎
所在地 京都市南区東九条下殿田町13九条CIDビル102(アセット・ウィッツ内)
創設年 2013年
URL http://e-thermo.co.jp/
 Eサーモジェンテックは、半導体事業での豊富な経験と熱電発電に関する独自技術を基に、低温排熱(300℃程度以下)を効率よく電気エネルギーに変換し、回収する熱電発電の開発と提供を行う。開発商品として、フレキシブル熱電発電モジュール「フレキーナ®」があり、日本の基本特許、米国のパテントも取得済み。同商品は、従来のセラミック基板型の熱電発電モジュールに比べ、湾曲が自在で円筒状熱源にも高い密着性で装着できる。そのため、従来品に比べて熱回収効率が高く、既に300社以上からの引き合いがあり、10数社との共同開発を進めているという。実用化事例には、東京ガスとの共同開発による「フレキーナ®」を搭載した排熱管巻き付け型IoT用自立電源などがある。排熱を活用した分散型自立電源構築を目指す。
Image: Eサーモジェンテック

7. 多孔性配位高分子でガスを操り低炭素社会実現へ

Atomis
登壇者:代表取締役CEO 浅利 大介
所在地 京都市上京区御車通清和院口上る東側梶井町448-5 クリエイション・コア京都御車201室
創設年 2015年
URL https://www.atomis.co.jp/
 Atomis(アトミス)は、京都大学高等研究院北川進教授が発見した多孔性配位高分子技術を用い、気体を自在に制御することで新たな価値の創出を目指している。多孔性配位高分子(PCP)は、有機金属構造体(MOF)とも呼ばれ、金属と有機化合物が規則性を持ち連続的に三次元構造を形成しナノレベルに制御された多孔性を有する物質。自由に細孔空間を設計できるデザイン性が特徴で、細孔を用いた分子の吸着、分離、輸送、整列、合成、触媒などの応用が期待できる。将来的には環境・エネルギー事業をコアビジネスに展開する計画で、現在、軽量、コンパクト、スマートな次世代高圧ガス容器として「CubiTanⓇ」の開発に取り組んでいる。環境に優しいエネルギーを自由にシェアリングできる社会を目指す。
Image: Atomis



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