Image: BookingPal
BookingPalは、バケーションレンタル物件の管理業務を自動化し、運用コストを削減している。また、マーケティングソリューションによって物件の稼働率を上げ、管理業者またはオーナーの利益アップを目指す。今回はFounder & CEOのAlex Aydin氏に話を聞いた。

Alex Aydin
BookingPal
Founder & CEO
1985年、東芝に入社し、Project Engineerを務める。1987年、組み込みオペレーティング・システムを開発するProcom Technologyを共同で創業、後に株式公開を達成。Procomでは責任者として、DellやSun Microsystems、そして富士通など提携企業のOEM開発に関わる。2003年にサブプライム住宅ローンを提供するHome America Lendingを、2006年には住宅ローン金利をリアルタイムで比較し正確な情報を提供するIcanbuyを設立し、CEOを務めた。2013年にBookingPalを設立し、CEOに就任。

欧米では定着しているバケーションレンタル

―まずBookingPalのサービスについて教えてください。

 バケーションレンタル物件の管理者向けソフトウェアプラットフォームを提供しています。簡単にいうと、OTA(Online Travel Agent:インターネット上だけで取引を行うオンライン旅行予約サイト)での物件情報の一括掲載などができ、予約情報をリアルタイムで管理システムに同期できるサービスです。

 バケーションレンタルは、セカンドハウスや別荘をオーナーが使用しない間、期間限定の短期賃貸借物件として貸し出す「貸し別荘」です。こうした物件のオーナーの多くは物件から離れた場所に住んでいるため、物件の物理的な管理や集客などを地元の管理業者に委託するケースがほとんどです。

 多くの管理業者はPMSという会計ソフトに近い機能を持ったシステムを使い、複数の物件を管理しています。BookingPalはAirbnb、Booking.com、Expediaなど約40のOTAと連携しており、PMSにある賃貸可能期間や価格などの情報を使って、OTAへの掲載や掲載情報の更新などを一括で行うことが可能です。

BookingPal distribution solution for vacation rental property managers from Booking Pal on Vimeo.

 そして、OTAで発生するステータスの変更をリアルタイムでPMSと同期しています。例えば、Airbnbから予約が入りステータスが「予約済み」に変わると、その他のOTAでもステータスが「予約済み」に変わり、PMSでも「予約済み」情報が反映されます。これを手作業で行うとかなりの作業になります。

 その他、掲載物件のトラフィックを増やすために必要な検索エンジン最適化ツールや、競合物件の相場リストなどのマーケティング支援ツールや、収益管理ツールも提供しています。

―物件を自分で管理するオーナーもいると思いますが、業者でなくても御社のサービスを使うことができますか。

 はい、可能です。所有物件が自宅から近い場合など、業者に委託せず自分で物件を管理しているオーナーさんもいらっしゃいます。当社では、管理業者とオーナーを区別することはありません。同じサービスを使っていただいています。

市場規模は大きいけれどプレーヤーは少ない

―ビジネスモデルを教えてください。

 物件に予約が入るとオーナーが管理業者にコミッションを払うのと同じ仕組みです。当社のサービスを通して予約が入った場合、売上の一部を手数料としていただきます。

 例えば、管理業者が当社のプラットフォームを利用し1,000ドルの取引を行った場合、当社は20ドルを手数料として管理業者に請求します。この場合、売り上げの2%が手数料になります。

Image: BookingPal

―競合他社はいますか。また、それらとの違いはどこにありますか。

 市場規模は大きいのですが、プレーヤーは少なく、主要な競合相手は二社しかいません。一社は、民泊予約サイトの運営と複数のOTAへの同時掲載サービスを提供しているのみで、マーケティング支援や収益管理ツールなどは提供していません。もう一社のサービスは当社と同様ですが、典型的なSaaSモデルで予約が入らなくてもサービスの使用料がかかり、当社とはビジネスモデルが違います。

次はヨーロッパ。そしてアジアへ

―海外、特に日本への進出について聞かせてください。

 昨年からフランスでの展開を始めました。不動産の管理業者が使っているPMSは各国で違いますし、それぞれの国で多くのメーカーが開発・販売しているシステムです。フランスでは5つのPMSとインテグレーションが終わり、すでに多数の管理業者に使っていただいています。また、英国とイタリアにも事務所を今年開き、ローカライズを進めています。

 現在はアメリカとヨーロッパ市場に注力しているので、アジアにはまだ進出していませんが、来年から具体的な検討を始める予定です。中国、タイ、インドネシアやベトナムにもバケーションレンタル物件が多くあります。そして、日本も大きな市場です。

 海外に進出する際には、その国で使われているPMSやローカルのOTAを把握する必要がありますので、ローカルのパートナーが必要になります。現地のOTAや、PMSを取り扱っている会社、または不動産管理業者などがパートナー候補です。



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